シンガポール人は引越ししない

Twitterで最近流れてきた画像にこんなのがある。『ドラえもん』ののび太が、しずかちゃんと結婚前夜にジャイアン、スネ夫、出木杉に祝ってもらっている画。そして「幼馴染と結婚前夜まで一緒にいられるのは幸せなことだ」と。僕が育ったのは救いようのないド田舎だったので、当時のモラルのない人達とは出来る限り顔を合わせたくないのだけど。。。

とはいえ、それが幸でも不幸でも、物心ついてからのご近所さんが、結婚前夜になっても隣に住んでいるという状況は、シンガポールの普通である。政府による持ち家政策により、20階建ての高層アパート(公団住宅)を一生のローンで買うのがシンガポールの「普通」。そして、公団住宅を買うには事実上結婚してないといけない。その結果、まさに結婚前夜まで実家で両親と暮らすのがシンガポールの若者の普通である。日本と同様に少子晩婚化が進むこの国では、一生実家を出ないまま人生を終える人も、社会構造上増えていくと思われる。

問題のある隣家から逃げられない

同じ文化の血族たる日本人同士でさえ、ご近所付き合いというのは何かと問題が起こるものだ。それが多民族国家のシンガポールであれば、文化や宗教が違うことにより、日本とは比較にならない問題が起こる。朝5時に爆音で宗教音楽をかけて祈りをささげる人、むせかえるお香を24時間絶やさず焚く人、毎日3食カレーばかり作る人、虫だらけの盆栽を放置してジャングルにしている人、3LDKに15人で住んでいる家族、そんなのが普通にお隣さんなのだ。

とは言え日本のように簡単に引っ越せるわけではない。そもそも公団住宅を買ったが最期、引越しするという概念があまりない。シンガポールの不動産はめっちゃ高く、25年ローンで最初の家をやっとこさ買うのに、さらにもう一軒など至難の技である。一軒目の家を売って、二軒目を買うことは出来ない。なぜなら購入手続きをしてから実際に住めるようになるまで数年かかるのだ。一軒目を売って頭金にしたら、二軒目の建設中に住処がなくなってしまう。

一応、ご近所トラブルの仲裁機関はあるのだけど、彼らの隣人に対する愚痴を聞く限りほぼ機能していないのが実情のようだ。そんなわけで、隣人とトラブルになってもひたすら耐え忍び、死ぬまで一生ご近所なのがシンガポール生活である。ヤバい。

嫌になったら引っ越せる自由が必要だ

一般的に、勝手知ったる隣人に囲まれ、生まれ育った街で暮らしていくのは幸せだろう。でも、これだけ激しく変化する複雑な時代では、不都合な状況からはササッと逃げられるのが大切だと思う。苦労に耐え忍ぶのは無駄な努力だ。嫌なこと、嫌な場所、嫌な人からは何も考えずに逃げた方がラクに幸せになれる。これが容易に出来ないシンガポール人の生活は大変だと思う。