萌え萌えキュン♡とか言わない家事のプロ、フィリピンのメイドさん

日本の飲食業はすでに外国人労働者無しには成り立たなくなっている。介護の現場もそうだ。

シンガポールは中華・マレー・インドというコテコテ3民族からなる多民族国家で、さらに人口の1/3を外国人が占める。 そんな環境で暮らして...

低賃金で文字通り死ぬまで働く奴隷を国内で使い潰した醜い日本企業は、外国から低賃金労働者を受け入れる議論をこれからもっと活発にしていくに違いない。

人材不足などと言わず、素直に奴隷不足と言えばいいのに。経団連と連合の意地汚いおっさんの動きに今後も注目だ。

そんな低賃金労働者の代表格、忙しい共働き夫婦の生活を支える家事代行業の人たち。今日は東南アジアで一般的なメイド文化と、それを担うフィリピンから来たメイドさんについて書く。

萌え萌えキュン♡とか言わない

このブログの読者の方々は、ほとんどが日本在住の日本人でいらっしゃる。なのでそもそも家事代行のプロ「メイドさん」について親しみがないと思う。

まぁ僕もメイドカフェとか好きだし、台湾に行っても小籠包など食わずに高鐵駆使してメイド喫茶巡りだし、たまに帰国したら秋葉原の馴染みの店を巡礼しちゃうよね。そんなんだから、メイドと言えば黒のミニスカワンピースにフリフリエプロンの、若くて美しい女性のイメージだ。

ぶっちゃけ現実世界も例外なくそうあるべきだと思うのだが、日常生活のキャラクターデザインにはあまりにも夢がない。大変遺憾だ。

シンガポールでメイドをしてらっしゃる女性たちは、Tシャツショーパンにサンダルを履いた、常にかったるそうなフィリピン人のおばちゃまである。高貴な仕草でアールグレイとか淹れてくれないし、肝心のフリフリ成分は微塵もない。

このおばちゃんたちはフィリピンの他にもインドネシア、ミャンマー、カンボジアといった東南アジアの近隣新興国から、ASEANの経済首都であるシンガポールにメイドとして出稼ぎに来ている人たちだ。

あまり知られていないけど、メイド輩出国フィリピン国内でも、家事手伝いに地方出身の貧しい女性を雇う事が一般的だ。メイド業界最大手のインドネシアでも多分同じ状況だと思うけれど、実体験として知らないのでここではフィリピンの事情だけお話ししよう。

フィリピン国内でもメイドを雇うのは一般的

うつ病がひどかった時に、僕がセブ島でしばらく面倒みてもらった女性など、彼女本人を含め家族も誰一人として働いていない。

それにもかかわらず彼女の家庭では当然のようにメイドを雇っていた。

この一家は、アメリカ空軍の運転手として出稼ぎをしているお父ちゃんからの仕送りで支えられている。そのお父ちゃんは現地で女を作ってもう何年も家には帰ってないんだけど、仕送りだけは律儀に続けていると言う。

それで公式に浮気されているお母ちゃんは何も文句を言わない。適当な時間にグダグダ起きて、24時間テレビがつけっぱの居間に、女ばかりの一族郎党が三々五々集まってくる。

日が高くなると近所のショッピングモールにボロいトヨタで繰り出し、一族みんなでご飯を食べる。たいていはケンタッキーみたいなジャンクフード。

このまえ友達と昼飯を食ったんだけど、メニューが違うにも関わらず彼らの飯が全体的に茶色くて、ざっくり言うと油で炒めた炭水化物と肉って感じ。なん...

その後はスマホをポチポチしながら海賊版DVDでアメリカドラマでも見て、日が暮れると眠くなった順に勝手に寝る。そんな毎日が延々と続く。

フィリピンはGDPの1割が出稼ぎ労働者からの海外送金なんだけど、その実態はこんな感じ。

こんな彼女らの認知症になりそうな刺激のない毎日を支えているのが、超有能なメイドさんだ。

などと書きたいんだけど、この一族の家事を支えているメイドさんも、輪をかけてお気楽なものだ。そもそも昼になっても起きてこない。掃除洗濯を日が暮れる前にいい加減にこなして、麺を茹でて甘辛いソースを絡めるだけの毎日同じ炭水化物をこさえれば、クソ安いながら給料がもらえる感じ。

フィリピン国内のメイドの給料は、安い安いと言われるシンガポールより、そこら辺のスズメが惜しみなく涙を流すほどに安い。月給1万円を割ることもザラだ。

でも心配いらない。メイドに臨時収入が必要なら、家人の留守中にそこら辺の家財道具をパクって勝手に売っ払ってしまえば良いのだ。実際それで警察沙汰になったらしいけれど、懲りることなく泥棒メイドを雇い続けている僕の友人なのである。

彼女らいわく、取り調べに警察に払う賄賂のほうが、盗まれた腕時計より高額なのだとか。うーん、なんというか、工夫とか改善とかそういう面倒い概念がフィリピン社会全体に存在しない感じ。とりあえずグダグダとストレスがない日常こそが正義なのだ。

素晴らしい。

ただ、あまりにもメイドのやる気がない日は、メイド部屋のドアが乱暴にノックされ、タガログ語でおばちゃんたちに怒られている。

それでもメイド部屋に無理矢理踏み込む事は絶対にない。最低限のプライバシーと人権は尊重されている。そんな意味で、日本の社畜よりフィリピンのメイドの方が大切に扱われている。日本の社畜は根腐れ日本企業からの仕打ちを重く受け止めるべきだ。

さて、僕がお世話になったセブ島の人たちは、ローカル言語セブアノ語を喋る。こんなんでもセブはなんちゃってフィリピン第二の都市なので、比較的裕福な地域だ。だからメイドさんがやってくるような、マジで仕事が無くガチで貧しい地域の人は別の地方言語を話す。

そんな訳で、メイドに指示を出すのに、普段と違う共通語タガログを使うのがとても印象的だった。

多言語国家フィリピンでは、しゃべる言葉がそのまま経済的な地位を表す。だから貧しい地域出身でも裕福な家庭の人は、現地語ではなく流暢な英語や正式な文法に則ったタガログ語を話す。

これから日本社会でも貧富の格差がさらに広がると予想される。すると日本語しかしゃべれず外国人労働者に指示を出せないのはゴミクズ人材と履き捨てられ、カネのある人たちはそんな日本人を見下し、流暢な英語で会話するようになるかもしれない。

そんな悲しい事態がフィリピンでは現実に起こっている。

出稼ぎに行けるのはメイド界のエリート

こんなグダグダなフィリピン生活から僕が学んだのは、給料が安いならそれに見合った安いっぽい仕事さえしていれば良いということ。

忠誠心など微塵も必要ない。会社に忠誠を誓って欲しいなら月給5000兆円くらい払うべきだ。

この気づきにより、僕のうつ病はフィリピンであっという間に回復した。

愛してるぜフィリピン(=^ェ^=)!

二階建てバスから見える高層アパートHDBの景色。

その一方で、フィリピンにも頑張ってでも給料を上げたい人がいるのも事実。フィリピンのメイドさんに関して、そういう志高い人たちは海外を目指す。

目指すはアメリカ、シンガポール、ドバイだ。

悪徳ブローカーに高い渡航費を払ったとしても、ひとたびシンガポールに来ちゃえば給料が5〜10倍になる。日本で月給20万円のシステムエンジニアが、サンフランシスコに行けば一撃で100万円になる感じ。そうすれば祖国に送金して家族を養えるだけでなく、メイドとしてのキャリアも劇的ランクアップ!

とは言えそんな簡単に人間は変わるものではない。給料5倍のシンガポールでも、家財道具を盗んで売っぱらったり介護を頼まれた老人を虐待するメイドがいるのも事実。。。

結局世界のどこへ行けど、安く使おうとするゴミカス雇用主の下では、適当にグダグダと働けば良いのだ。

日本の社畜がシンガポールのメイドさん達から学ぶことは非常に多い。