自由と束縛を隔てる窓

僕の人生を思い返すと、窓から外を眺めてばかりいる。

くだらない学校のつまらない授業にうんざりして、教室の窓から景色を眺めていた記憶はおそらく誰にでもある。でも、そんな虚しい時間が卒業後も延々と続くなんて、学生の時は正直思ってもみなかった。

鉄筋コンクリートの壁は「組織」と外の世界を隔てる檻だ。

僕のように組織の中の社会に一切興味がない人間は、外界との唯一の接点である窓に想いを馳せ、コンクリートの檻にぽっかり空いたその穴に自由を切望する。

つまらない学校、つらい仕事、居場所のない家庭。僕が窓の景色を眺めるときは、所属している人間組織に心底うんざりしている。

尾崎豊が「卒業」で歌っているように、窓の外に広がる吸い込まれるように深い青空を見上げて、己の不自由を嘆く。世界はこんなに広く輝いているのに、僕は狭いコンクリートの檻に自身を閉じ込めたまま、くだらない連中と肩を並べて毎日人生を無駄にしている。

学校選びを間違っただろうか。仕事選びを間違っただろうか。

生きてるのがツラいことってけっこうある。 日本で働いていた時は月曜日の朝とか出勤するくらいなら死んだほうが楽なんじゃないかとか思ったも...

それが、自分の所属する組織のせいじゃなく、僕自身に組織に馴染む能力がないのだと気づくまでに、僕はあまりにも長い時間を無駄にした。

その後、程なくして僕はどの組織にもいられなくなり、挙句の果てには日本にもいられなくなって、リュックひとつで旅に出た。

もはや、そうするしかなかった。

窓を「外側」から眺める日々

僕は都会が好きだ。都会には包容力がある。

「地域の絆」みたいなドロドロした感情が薄いから、僕のようなヨソ者が1人紛れ込んだところで誰も気にしない。世界のどこに行けど、都会にはそんな「感情空間のギャップ」がそこかしこに存ポッカリと口を開けている。そういう隙間にひとたび入り込んで仕舞えば、その街をろくすっぽ知らない人間でもその空間で束の間の「日常生活」を営むことを許される。

僕は多摩と呼ばれる東京の郊外で育った。高校卒業後も大学や仕事の関係で、さいたま市や川崎市、つくば市なんかのいわゆるベッドタウンを転々とした。...

そんなわけで僕が何週間も「沈没」する場所は、世界のどこの国でも大きな街ばかり。すると目に飛び込んでくるのは高層ビル群だ。

日本にいられなくなってから、実にいろんな国のオフィス街を見上げてきた。

街全体が超高層化しているマンハッタンのダウンタウン。砂まみれのオフィスビルが立ち並ぶニューデリー郊外の新興経済都市グルガオン。二度の世界大戦を生き延びた石造りの教会とガラス張りの高層ビルが渾然一体としている欧州の金融首都フランクフルト。スラムのバラック街に突如現れるフィリピン・セブ市のIT企業集積地区。

こうした地域では僕がどうしても馴染めなかったスーツに身を包み、安定した給料をとっているビジネスマンが働いている。それはまさに、在りし日の自分自身の姿だ。

今、無職の僕はそんな高層都市の労働者の姿を、窓の「外側」から眺めている。

心の奥で、もう一人の僕がささやく。

「お前は今【窓の外の世界】にいるんだぜ。小学生から見つめ続けた憧れの空間に。昼間からビールを飲もうが、青空を心ゆくまで堪能してそのまま寝ようが自由だ。幸せだろう。いったい他に何を望む?」

それはある種の脅迫だった。

ふたたび窓の内側へ

無限の自由の代償として僕が払わなければいけないのは、リスクだ。

組織があんなに嫌いだったのに、いちど組織を離れると、途端に稼ぐ手段が無くなる。組織があんなに嫌だったのに、いちど組織を離れると自分の健康管理に必要な医療保険すら維持することができない。

僕は組織を離れて初めて自分の能力に何が足りないのか、具体的に思い知った。端的に言えば、それは組織に頼らず安定的に「お金を稼ぐ手段」だ。

僕はいわゆるコミュ障というやつなので、大勢でワイワイやるより一人で部屋にこもって静かに音楽を流して酒を飲んでるのが一番幸せだ。日本の生活に詰...

結局僕は1年足らずで【窓の外の世界】を放棄して、また壁の内側で大嫌いな「組織」に所属している。

壁の内側に避難したのは逃げたわけではない。ここで体勢を立て直し、形勢をひっくり返してやる。要は組織に頼らずに最低限自分が暮らしていく経済力さえ身に付ければよい。とても単純なことだ。

しかも幸いなことに今の僕にはその経済力を手に入れるために、どのように行動すれば良いのか手に取るようにわかる。

後はそれを実行するかどうか、僕の意志が問われている。

コメント

  1. 梶原隆徳 より:

    自由と束縛というキーワードで検索、たまたま辿りつきました。
    塀の外の自由を手に入れると、確かにリスクが付録で付いてきますね。
    境遇は違えど、同じような感覚があります。
    人生は楽しむためにあります。楽しむためにどうしたら良いか考えて頑張りましょう!

    • @_1_9_ より:

      梶原さん、コメント頂きありがとうございます(=^・・^=)!
      気楽に生きたいと工夫をしております。ユルくよろしくです~