シンガポールには人生に悩んだら名前を変える文化がある

シンガポールには大人になってから名前を変える人がたくさんいる。

単に呼び名(ニックネーム)を変えるレベルの人もいれば、正式に戸籍上の名前を変えて、パスポートや身分証を全て再発行する本格派も多い。

そういう文化なので、年に1回は周りの誰かが改名して「これからはジェイソンって呼んでくれ」とか突拍子もなく言われたり。

改名の理由をたずねると、軽いのから重いのまで人それぞれ。

結構面白いので今日はこの話を書こう。

オトコ運を上げるため

まず1人めは清楚可憐な婚活女子。中華系の45歳。推定体重0.1トン。

このままでは婚期を逃してしまう!焦った彼女は風水師に相談に行った。

出だしからツッコミどころが満載だ。風水の館じゃなく結婚相談所いけし!痩せろし!そして君の婚期はすでに地平線の彼方だ!!

しかも風水師のアドバイスがこれまたぶっ飛んでいて、恋人ができないのは彼女の名前に「燕」という文字が入っているせいだという。この文字のせいで鳥のように浮気になって、オトコがどっかへ飛んでいってしまうと。

いやいや、そもそも飛んでいっちゃうオトコがいないんですって!

あぁ、僕も風水師になって適当な事言い放っておカネもらいたい。。。

しかも彼女はこのアドバイスに従って、風水師が考えた味気ない名前に本当に改名しちゃった。なお、それから5年経っても彼女に恋人ができたという話は聞かない。

ヤバい。

スペイン人になるため

2人目はホステル管理人時代の僕の同僚。

彼は中・英・福建語に加え、スペイン語を話す語学の天才。しかもスペインのスペイン語と、南米のスペイン語を切り替えられるというホンモノである。

ところが彼には気に食わないとキレて手がつけられなくなる欠点がある。

これで彼は人生をメチャクチャにしてきた。シンガポールで高校に相当するポリテクニックをキレて退学し、仕事も半年続いたためしがない。家庭でも暴力を振るうため、妹は無理してコンドミニアムを買って出ていってしまった。

そんな彼の夢は、スペインで闘牛士になること。

ヤバすぎてもうお腹いっぱいだけど続けるよ…。

ある日、僕がホステルのカウンターで売り物のビールを飲んでいると、彼が意気揚々とやってきて更新したてのパスポートを自慢してきた。

そこには苗字から名前まで、完全にスペイン語の彼の新しい名前が刻まれていた。本格的にミドル・ネームまである。

ヤバい。

っていうか法律的にそんなことが出来るのか。これで公共の手続きや、予備兵として招集された際の呼び名まで、全部スペイン名になってしまう。そもそも読み方わかんないし、発音できない人もいるのでは。。。

「これで!俺は!スペイン人だ!!」

いやいや、それ、シンガポールのパスポートだから。。。

ヤバい。

毒親の支配を断ち切るため

住宅難のシンガポールでは、結婚するまで実家で暮らすのが一般的。そんなんだから三十路を過ぎても親の支配下に置かれ、相当のフラストレーションを貯めているシンガポール人も多い。

僕の友達もそのひとりだ。

シンガポールでも35歳になれば独身でもHDBという公団住宅を買える。そこで彼はこのタイミングで実家を出て、晴れて独り暮らしを始めた。でも時すでに遅し。親に対するフラストレーションは限界を迎え、強烈な憎悪になっていた。

ところがシンガポールではどんな毒親でも、両親を大切にしないと人格を疑われるようなことろがある。僕が1年以上日本にかえらないと「両親に顔見せしてこい」とアチコチから要らぬこと言われるくらい。

だから彼が親と離縁するのは社会的に難しいということで、せめてもの抵抗として親から貰った名前を捨てた。

「もうあんたの息子じゃない」と案に伝えるために改名したのだ。

重い。。。

人生に息詰まったら改名して運気の流れを変える

こんな風に、シンガポールには気軽に名前を変える文化がある。

ここに挙げた3名様はもちろんネタとして面白い人達を選んだ。シンガポール人が皆こんなにぶっ飛んでるわけじゃないので、そこは誤解しないでほしい。

それにしても、人生に困ったら改名して運気の流れを変えるというのは、疫病が流行る度に遷都しまくっていた中世の日本みたいで面白い。

なんか毎日ダルいから僕も「ししもん」に改名しようかな(=^・・^=)!