流動する東南アジアの広大な交友関係

狭い小さいと言われてしまうシンガポールだけれど、経済成長著しいタイ、ベトナム、インドネシアまで飛行機でわずか2時間。お隣のマレーシアに至っては路線バスで行ける。

従ってASEANのこの地域を股にかけてビジネスをしている人は多い。まるで東京から大阪へ行くような感覚で国境飛び越え、自由に人々が行き来している。そんな移動が活発な地域でヒキコモっている僕は、地の利を完全に無駄にしている。

でも、そんな僕にも今朝はタイからお客さんが来た。

まぁわざわざ僕に会いに来てくれたわけではないんだけどね。彼はバンコクで日系企業の駐在員をしていて、シンガポールに来るのはなんと今週だけで2回目。彼は出張が多い人だとはいえ、ASEAN地域の人の流動性の高さを思い知る。

彼と知り合ったのはかれこれ6年前。その頃僕はホステルでアルバイトをしていた。そこからゆるい関係が続き、僕がバンコクに遊びに行ったり、彼がシンガポール出張で時間が空いたときに軽く飯を食ったりする。

今朝も僕の近所でわずか40分だけ時間が空いたと言うことで、ホーカーセンターでお茶をしてからシンガポールの裏路地を一緒に散歩した。



シンガポール裏路地散歩

変化の激しいシンガポールだけれど、僕の住むインド人街は一歩裏路地に入れば時が止まったような空間が続いている。

大通りと平行する裏路地には趣がある。

道行く人々の話し声や車の喧騒が聞こえてくるのに、その姿は建物に阻まれて見ることができない。そんな裏路地では、なんだかパラレルワールドに迷い込んだみたいな不思議な気分を味わえる。

移りゆく人々と再開発の嵐の真っ只中にある、時代に取り残されたような古い建物。まるで流れの速いシンガポールに必死にしがみつく、小さな中洲のように見える。

すると日本から突然やってきて裏路地に住み着いた僕は、さながら中洲に引っかかった浮草のようなもんか。



広大な交友関係

長年シンガポールに住んでいるのに、友達ができないと嘆く人が沢山いる。

これはシンガポール人の性格や距離感が掴み難いという趣旨で言う人もいるけど、国籍を問わず仲良くなった人がすぐに別の国に引っ越してしまうのが大きい。

6年前に彼はシンガポールで駐在をしていたんだけど、それから2年ほどでバンコクへ異動になってしまった。その頃一緒に遊んでいた人たちも、もうほとんどシンガポールに残っていない。3年に満たない僅かな間にみんな国境越えて移動してしまった。

たとえ友達が出来ても周りに残らないのは、ASEAN地域の人の流動性の高さ故のお悩みと言える。

でも僕は最近これを面白いと感じる。

いわば薄い人間関係が東南アジアに広がっている感覚。散らばった各人それぞれが、別々の国や文化に揉まれ日々成長している。だから久しぶりに会うと話題に困らないし、その時間から学びも多い。

みんな経験と知識を積み増してどんどん特別な人になっていく。

ヒキコモってばかりいないでもっと外の世界を見よう。新しく開通した地下鉄駅まで彼を見送ってから、僕も頑張ってベトナム行きの飛行機を予約した。