通勤時間に関するジレンマ

マレー半島の先端に位置する都市国家シンガポールは島の南側のごく一部だけが栄えていて、その様子は新宿とお台場を混ぜたような雰囲気。整然と区画整理された埋立地にガラス張りの高層ビルがそびえ、世界中から集まってきた優秀なビジネスマンが闊歩している。

でもCBDと呼ばれるそんなビジネス地区を少し離れると、残りの国土には埼玉や千葉のニュータウンを思わせる画一的な高層公団住宅がひたすらどこまでもそそり立っている。先進的なイメージを抱かれるシンガポールだけど、この公団住宅は「公団住宅」と聞いたときに日本人がイメージするものにかなり近い。

そして僕はこの雰囲気が好きではない。

僕は東京郊外のまさにそんな集合住宅で育った。

だからその無個性な外観や巣箱を思わせる画一的な町並みを目の当たりにすると、その昔に日本で経験した嫌なことをどうしても連想してしまう。だから僕はシンガポール南部の限られた都市部に家賃をちょっと無理して住んでいる。

もうひとつ、僕がシンガポールの都市部に住みたい理由は、娯楽の全てがそこに集中しているからだ。シンガポール郊外は「住むところ」でしかなく、寝る以外の活動は都市に出てくる必要がある。日本の田舎でイオンモールが進撃しているように、買い物に関してはシンガポール郊外でもほとんど事欠かない。それでもやっぱり面白そうなことはたいてい都市部に集まっているのだ。

シンガポールでも長距離通勤している

ただ都市部に住むことにも問題がある。

僕の会社はほとんどマレーシアと言えるほど郊外にあるのだ。実際にオフィスの窓からマレーシア領が見える。シンガポールは東京23区とだいたい同じ大きさだから、無理してお台場に住んだために毎日赤羽あたりまで通勤していることになる。日本だとこんな距離は普通だけど、各駅停車しかないシンガポールにおいてコレはキツい。

とくに僕はトイレがない環境でお腹を下す過敏性大腸炎になってしまい、満員電車に耐えられず日本を出る決意をしたほど。それなのに南国で海外就職してどうしてわざわざこんな長距離通勤をやっているのか自分でも謎だ。

通勤時間が好きという人はいないと思う。人生の無駄としか思えない。だから日本で働いていたときもずっと出来るだけど会社のそばに住んでいた。転勤が多かったので大変だったけど、ちょうどシェアハウスブームが始まった頃だったので、随分楽しい暮らしをすることができた。

今朝はシンガポールの地下鉄でお腹を下しトイレに駆け込んだ。そのためもう電車では間に合わないので優雅にタクシー通勤。国の端から端までタクっても1500円くらいのはシンガポールの良いところだ。

シンガポールの都会と郊外の勤務先。

タクシー通勤はこの良いとこ取りを可能にするかも知れない。そのためにはこのブログを繁盛させて毎朝のタクシー代くらいは稼いでみたいものだ。