今日は春節1日目。日本で言えば元旦にあたる、全世界の中華系の人たちにとって1年の節目になる大切な日だ。ご多分に漏れずシンガポールも中華文化圏なんだけど、今朝スタバに行ったら平然と通常営業だった。
一方でショッピングモールの殆どの店はシャッターが降りている。日本で社畜をやっていた僕としては「元旦なのにスタバ店員さんはご苦労様なこった」と哀れに感じたのだけど、よく見るとカウンターに入っているのはみんなマレーかインド系の人たちだった。彼らにとって中華系の正月である春節はそんなに大切なイベントではなく、イスラム教やヒンドゥー教に従った独自の正月「ハリラヤ」や「ディパバリ」のような宗教祭日のほうがずっと重要な意味を持つ。
確かにシンガポールでは中華系の人たちが人口も多いので雇いやすいだろうし、バリバリ仕事したい勤勉な人も多いように感じる。でもだからといって中華系ばかり雇っていたら年末年始に労働者を確保するのが難しかったろうし、無理強いすればベテランの離職につながるかもしれない。でも普段から人種と文化の違う人たちをまんべんなく雇用しておけば、それぞれの祝祭日に休暇を与えられるし店を閉める必要もなくなる。
これはシンガポールもしくはこの店舗だけなのかもしれないけど、グローバル展開するスターバックスはさすがだと感じた。
多民族国家の強み
まさに多様性の良い効果を引き出す人事戦略だと思う。
先に書いたとおり、この春節の期間は多くの店が閉まる。でもシンガポール人口は4割が外国人で中華文化と関係ない生活を送っている人たちが多くいる。だから春節に合わせて何日も店を閉めるのは機会損失だ。
文化の違う人たちが世界でも有数の人口密度でひしめいているシンガポール社会。正直、文化摩擦も多いし実力行使の衝突を避けるために法律が厳し目に設定されている。そうした努力の上で初めて成り立つ工夫ではあるけど、スターバックスの人事戦略に新年早々感心した。
日本でも人口減少により労働者が確保できなくなり移民を入れる政策が実行に移されようとしている。そのための社会設計としてシンガポールのやり方は大いに参考になると思う。