以前、断酒するために瞑想にハマった時期がある。結果的に2ヶ月くらいで挫折したんだけど。。。本書で紹介されている「瞑想」という行為は、宗教とは全く切り離された具体的なやり方だ。もともとアジアで行われていた座禅やヨガのような修行を、白人がヨーロッパに持ち帰り、宗教要素を排した上で独自に「マインドフルネス」として発展させたらしい。そして今、もともとはアジア発の概念にも関わらず、アジアが欧米からマインドフルネスを休息法として逆輸入しているというわけだ。確かに寺で座禅にふけるとなるといろいろ抵抗があるけど、フィットネスクラブのカリキュラムとしてなら気軽に参加してみようという気にもなる。やっぱ白人は商売上手だ。
酒に代わるリラックス方法が必要なんだ
瞑想と呼ばれる状態を作れると、僕の場合「脳のザワザワ」が落ち着いて、ほろ酔い気分と似たラクな状態になれる。でも、修行が足りないからかもしれないけど、瞑想をやめると速攻でザワザワした雑念が戻ってきて、砂嵐のように頭をグチャグチャにする。その点、酒を飲めばある程度の時間は心の平穏が持続するし、なにより呼吸に集中しなくてもいつでもどこでも惰性で楽になれる。水と僕は低きに流れる。2ヶ月は瞑想を頑張ったものの、その手軽さと圧倒的なザワザワ抑制効果により、再び酒を飲み始めてしまった。
でもアルコールは健康に良くない。もうね、身体でそう感じる。これは毒であると。なので、その後も瞑想のようなザワザワ抑制方法を模索していて、出会ったのがこの本でである。今住んでいるシェアハウスの友人が紹介してくれたのだ。パラ見すると軽そうな内容だったので、晩飯後に何の気なしに読み始めたら全く止まらず最後まで一気に読み終えてしまった。若くて美しい女性がベーグル屋のガタガタ経営をマインドフルネスを利用して立て直すという、なんとなくベストセラー『もしドラ』っぽいストーリー展開を踏襲していてマーケティング的にも上手い。
この本で「最高の休息法」として紹介されているマインドフルネスという瞑想は、もしかしたら僕にとって酒にかわるリラックス方法になるかもしれない。そんな希望を与える読後感だった。
主人公が女医さんという設定で、医学論文が参照されまくる
瞑想というとどうしても心構えやスピリチュアルなものとして紹介されがちだ。でもこの物語の登場人物の多くが医者で研究者であるため、ほとんど全ては医学論文に基づいた具体的なデータを元にいろんな種類の瞑想がテクニックが伝授される。いわばマインドハックとでも言うべきアプローチである。これは新しい。著者自身が医学研究者である点も心強い。
僕が一番心惹かれたのは「瞑想を続けると脳の構造が物理的に変わる」という点だ。幼少期に強いストレスを受けると脳の大切な部位が萎縮して機能不全になるなど、悪い方向に変化する例なら聞いたことがあった。だけど瞑想をマスターすることにより、雑念に囚われないストレス回復力の高い脳に根本的に変化させることができるかもしれないのだ。これも医学論文の引用というかたちで紹介される。
なんと心強い。つまり、僕は物心がついたときから脳のザワザワに苦しんできたけど、この脳のバグは治せる可能性が出てきた。DMNという、まさにザワザワとした雑念を司る脳の部位の活動を低下させることが、マインドフルネス瞑想の肝であるというのも新しい。
断酒のきっかけとして実践あるのみ
久賀谷亮『最高の休息法』を読んで、自分も生活に取り入れてみようというモチベーションを与えてもらった。とりあえず昼休みと就寝前に、時間を決めてマインドフルネス瞑想を実践することにする。効果を感じたらまた記事にするね。