小学生のときから「ではペアを作って練習しましょう」みたいなノリが嫌いだった。
僕は大概のことにやる気がないから、相手のノリに合わせてやる気があるフリをするのが疲れる。でも、だからといってグズグズしていると「あまった人は先生とペアになりましょう」という風に処刑される。
それならば最悪の事態を免れるために早く「同じようにダルそうな人」を捕まえてペアに落ち着いてしまったほうがいい。ところがさじ加減を間違えて自分よりもダルい人とペアを組むと、度を越えてグダグダになり課題がクリアできず別のバッドエンドを迎えることに。
同じように「この課題は班に分かれて協力してやりましょう」みたいなのも嫌いだ。班のメンバーをまとめたり、まとめられたりする労力のほうが、協力するメリットをどう考えても凌駕している。
大抵のことは1人でパパっとやったほうが効率がいい。
例えば班に分かれて壁新聞をこしらえるとなると、色々言うけど自分ではやらない人、隣の班にちょっかい出して戦力にならない人、6人班なのにその中でグループを作り出す女子、などなど、まるで日本企業みたいではないか。
結婚と家族は効率が悪い
ここから、結婚して家族を持つ人生は非常に不効率ということがわかる。
ペアを組まないと処刑してくる「先生」はもういない。独り身であれば、相手にあわせて自分のやる気の無さを取り繕う必要もないし、残念な相手と組んで御免こうむるリスクもない。
ダルいのでそれはやらない。即断即決。とても効率がいいし、何よりラクでストレスがない。
さらに、結婚してないと解決できない問題というのはこの世の中にほとんどない。それにも関わらず、なんでペアを組ませる授業が日本の学校では多いのだろうか。効率が悪く、作業の本質ではない部分でストレスが発生するやり方をわざわざ教える意味がわからない。
同じように「家族」も人生の効率を悪化させる。
例えば「日本の仕事がキツいからゆるい外国に移住しよう」となったとき、家族がいるとほとんど無理ゲーになってしまう。家族を呼び寄せるにはランクが上の就労ビザを得る必要があり、そのためにはランクが上の仕事を得る必要があり、そういう仕事は大抵激務だ。
仕事がキツいから海外に移住したいのに、海外でキツい仕事に就くのでは本末転倒ではないか。
結婚すると親戚づきあいというのも発生する。色々言うけど自分ではやらない義父、邪魔ばかりして戦力にならない義母、親戚の中でグループを作りはじめる叔母さん、などなど、これもまさに不効率だ。
ダルいのは俺だけじゃなかった
非婚化・少子化などと社会問題になっているけど、この原因は決して「出会いがない」とか「給料が低いから」ではない。出会いが少ない田舎の方が結婚する人が多く、給料が低い職業の人たちのほうがたくさん子供を産んでいることからもバカバカしさがわかる。
非婚化・少子化の真の原因は「結婚・家族が不効率でダルいから」である。
グローバル化によって世の中が爆速で変化する時代を、誰しも生き抜かなくてはいけない。流動性の高い社会では、今まで経験したことがないような問題が次から次へと発生する。
これを乗り越えるのに、いちいちパートナーの意見を聴いて、自分の方針とすり合わせ、家族を説得して皆で協力して取り組む、みたいなノリでは遅すぎるしダルいのだ。
これはいわば10人乗りの屋形船で川下りをするようなもので、あっという間に岩にぶつかってバラバラになるだろう。うまく舵取りが出来る人もいるだろうけど、クタクタに疲れそうだ。
それならば身軽なカヤックで、むしろ激流を楽しんでやろうと思う人が増えても不思議はない。
非婚化と少子化はグローバル時代の「合理的選択」なのである。