デパスは即効性のある精神安定剤で、脳がザワザワと邪念でうるさい時に1錠飲めばあら不思議。一撃でこころの静寂と深い睡眠が得られるという最強のおクスリである。ところが日本政府が向精神薬を個人輸入するのを禁止しちゃったので、結果として人生で何度目か知らぬ脱デパスの道を歩むことになった。
シンガポールは医療費がクソ高い上に医薬品をネットで買えない。そこでインドのジェネリックを日本で個人輸入し、それを国際宅配便でシンガポールに転送していたのだけど、このルートが絶たれてしまった。買えなくなる寸前で出来る限りのデパスを大人買いしてあるものの、いつか来る枯渇に備えておクスリに頼らない生活を模索している。
麻薬とかで累犯する芸能人に同情しちゃう
デパス断薬はマジでキツい。向精神薬依存から脱するのは本当につらい。まず寝られない。とにかく寝られない。脳が夜になるとデパスが入ってくることを覚えてしまっていて、もはやそれ無しでは寝られなくなっている。疲れて眠くてしょうがないのに意識のスイッチがどうしてもOFFにならない。
極論、寝なければいい。徹夜すればこんな状態でも朝方に1~2時間の質の悪い睡眠を得ることは出来る。いつでも目覚められるような浅い夢と妄想をいったりきたりする感じ。常に意識っぽいものがある。完全にはOFFにならない。そして外が明るくなって絶望する。
翌日はアタマがボアンボアンでもちろん仕事は出来ないし「ただ生存している」ような無意味で苦しいだけの1日になってしまう。そんな日は脳に綿を詰められたような異物感で何にも集中できず、ただ眠くダルい時間がグダグダと過ぎ去る。デパスさえ飲めば。そればかり考えている。
こんな時は違法薬物で累犯する芸能人に同情してしまう。実際、僕は何度もデパス減薬に挑戦しては、深い眠りが欲しくてまた手を出してしまう。化学物質に依存するというのはかくも恐ろしい状態なんだ。
一気にゼロに減らすから離脱症状が出るというが…
一気に断薬せず、徐々に減らせば離脱症状が出ずにソフトランディング出来るという。本当だろうか。
僕はデパス1mgで深い眠りと昼間の平穏を得られる。逆にこれ以上増えると昼間眠さが出て活動できないから、ちょうどいのが1mgなんだな。
で、これを徐々に減らす。指で1mgの錠剤を半分にして、それ以上は包丁でもっと細かくする。1mg錠の4分の3で夜中に何度も目が覚めるようになるけど、昼間の生活に影響は殆ど出ない。軽い寝不足状態という感じ。1mg錠の4分の3で一週間くらい過ごして身体を慣らしたら次は半分の0.5mgにする。
僕はいつも0.5mgまでは減らせる。睡眠の質は落ち、朝起きるのがツラくなる。仕事の能率も落ちるし、仕事でしゃべる英語がおぼつかなくなる。疲れやすくなり、ちょっと人と話したり作業するだけで布団に倒れ込みたくなる。それでもとりあえずサラリーマン稼業がこなせるギリギリラインは維持できる。
で、耐えに耐え0.5mgで一週間過ごす。睡眠は浅いままだけど、慢性的な寝不足状態に慣れる感じ。そして、一週間後にその半分の0.25mg、錠剤の4分の1にすると、完全に寝付けなくなる。意識がOFFにならない。それでも血中にデパスが溶けているので、完全に断薬した時ほどのショックではないけど、脳に綿を詰められたような異物感も出始める。数日は耐えられるものの0.25mgは持続不可能ライン。昼夜問わずネガティブな考えが頭をグルグルと無限ループ。段々ウツっぽい症状も出てきて一週間くらいが限界。減薬して鬱病になったんじゃ本末転倒だ。
瞑想に期待している
なにかデパスに代わる精神安定法を身に着けて、クスリに頼らず寝られるようになってからじゃないと、断薬によって極度の睡眠不足で鬱になってしまう。減薬と同時に瞑想やストレッチ、ツボの刺激で自律神経を整える必要がある。今はとりあえず瞑想を会得して半分の0.5mgで寝られるようにしようと努力している。こうした心と時間の余裕があるのがありがたい。
問題は血中デパス濃度が低い時は瞑想状態に入りにくいことだ。デパスが薄いとADHD的な集中力の無さで瞑想を初めてすぐに気が散って深い状態を得られない。断薬するための瞑想にデパスが必要とは絶望的再帰ループだ。とはいえ「最高の休息法」という本によると瞑想には練度があるらしく、練習次第でより短時間で深い状態に到達できるらしい。これは希望の光だ。瞑想は耳栓をすればどこでも出来てお金がかからないのが良い。あとは練習あるのみ。瞑想を会得して脱デパスを目指す。