東南アジアには「給料が安いけどグダグダで楽な仕事」という日本にはない生き方がある。
僕はうつ病で日本の会社を退職した後、Skype英会話の先生を訪ねてフィリピン・セブ島で1ヶ月くらい何をするでもなくグダグダしていた。この体験が僕の人生観を大きく変えた。
今日は、日本人のスタンダードから降りて、こうしたグダグダ人生に切り替えるメリットとデメリットを書く。
日本で生きるのに求められる水準は高い
海外就職というとまだまだ意識高いおハイソ(死語)な文脈で語られがちだ。メディアはやたらめったら海外で成功した日本人にばかりスポットライトを当てて、そういう人はもちろん凄いのだけど、がむしゃらに成功を追求しないと海外に出られないような印象を与えている。これは非常に罪深い情報操作だと思う。
実際は、グダグダ生きたい怠け者も、海外に出て働くメリットがある。それは日本には存在しない「給料が安いけどグダグダで楽な仕事」にありつけるかもしれないからだ。
日本で人生詰むとしたら、大抵は仕事絡みだと思う。しかも、業務スキルそのものというよりは、人間関係とか長時間労働とか、職業のメインストリームから外れた本来は些末であるべきことが原因になることが多い。日本で経済的に自立して生きていくには、専門知識以外に「人間力」とかいう曖昧な基準を満たし続ける必要がある。
例えば昨今、日本の満員電車が観光名所になっている。ドイツ人が駅の混雑をテーマにした写真集まで出した。スーツ着て女性は化粧までして、あんな奴隷貿易船にぶち込まれて何時間も毎日毎日ぐちゃぐちゃにされるのは、外国人にとってはある種のアトラクションくらい、あり得ない非日常なのだ。
人生詰んだら根本的に人生を変える必要がある
こんな狂った日常にも適応出来るバイタリティあふれる人はいい。生まれ育った国で勝手知ったる仲間たちと、人生を全うできるのは幸せの王道だろう。でも、日本でこの王道に乗れない人も悲観する必要はない。むしろ悲観するのは時間と感情エネルギーの無駄だ。
人生詰んだら、自己啓発書とか読んで小手先の工夫で現状維持を目指すのではなく、リスクをとって人生のパーツを根本的に替えていく必要がある。人生のパーツとは勤め先、友達、住む場所、喋る言語なんかだ。血の繋がった家族を変えることは出来ないけど、付き合い方をマルっと変えることはできる。
これらを手っ取り早くまるごと取っ替えられるのが、海外移住だ。
そういう意味で、グダグダ生きたい怠け者も海外に出て働くメリットがある。特に東南アジアには、何をするでもなくグダグダ暮らしている現地の人が多い。ASEAN地域の経済首都であるシンガポールでさえ、昼間からランニングシャツにビーサンという格好でタバコをふかしている「働き盛り」のおっさんがたくさんいる。東京で言えば上野の下町って感じだ。
タイやベトナム、フィリピン、インドネシアといった東南アジアの新興国は、急速な発展を遂げる一方、そんなの関係なしに自分のペースで生きている人たちがかなり多くいる。ガッツとかエネルギーが低い怠け者であるがために、日本の曖昧で高い要求水準を満たせない人は、自分に合わない日本を降りてこうした新興国のまったりとした空気に溶け込むと、人生がかなり楽になると思う。
最初は旅行者としてグダグダすればいい。ただし、ビザなしで滞在できる日数に限りがあるのでそこは注意だ。そしていくつかの国の、いくつかの都市でグダグダしてみて、自分のマッタリズムと波長がある場所を見つけたら、ゆるい仕事を探してみるといい。
大抵、現地の職業を斡旋するジョブ・エージェンシーがある。うまくすれば、日系の転職会社が支社を出しているかもしれない。転職エージェントは日系でもいいけど、海外転職先として日系企業を選択すると、日本人駐在員様の小間使いとして奴隷階級に堕ちるので注意が必要だ。東南アジアで就職するなら日系企業は絶対に避けるべし。約束だよ☆
自分の人生にだけ責任を取れれば満点
もちろん東南アジアのグダグダ職に就くデメリットもある。それは、もしいつか愛する人が出来た時に、自分以外の人生に責任を負えないところだ。
近代社会において責任とは、払えるお金の額を意味する。なので稼ぎが少なくてもマッタリ働く人生を選んだ時点で、死ぬほどつらい社畜生活から解放される代償として、誰か大切な人の人生に責任を負えなくなる。結婚や子供など、そういう人生のオプションを諦めることになる。
でも考えてみれば、それは日本でも同じことだ。毎日死にそうになりながら正社員の地位を維持しているような人は、もともと他人の人生に責任など負えない。そういう人生は、何かの拍子で無理が利かなくなった時点で全てが終わりの綱渡りなのだから。そんな不安定な状態で「家族をもつ」とは、愛する人を自分の綱渡りの道連れにすることなんだ。
だったら、自分の人生だけに照準を絞って、マッタリズムこそが自分にとっては幸せなのだと受け入れて、南国で気楽にグダグダと人生をおくるのも悪くない。そう、本来の人間とは、自分の人生にさえ責任を取れれば100点満点なのだ。
まとめ
人生が辛くなったら、他人の人生に無駄に責任を持つのを放棄して、東南アジアに移住すると人生イージーモードになると確信している。そのカギとなるのは、東南アジア特有の「給料は安いけどマッタリした仕事」である。すなわち、海外に出たとしても日系企業に転職したら意味ないので注意するように。