シンガポールに移住して早5年。一介の現地採用労働者として、僕が敬愛している男性がいる。この方だ。
2017年5月25日、東日本に激震が走った。明治製菓の人気お菓子「カール」が東日本で販売を終了するというのだ。なんでも、カールで採算を取るには、全国に5ヶ所ある工場のうち4つを閉鎖して、香川県のみで生産し西日本でのみ販売する必要があるのだとか。
さっそくフリマアプリには混乱に乗じて法外な値段でカールが出品されるなど、にわかにお祭り騒ぎとなった。
でもまぁ、東日本にお住まいのカールファンの皆さんには申し訳ないけど、僕にはぶっちゃけ「ふーん」くらいのニュースだ。明治製菓はかねてよりタイに工場を持っていて、東南アジアに展開する製品はすでに現地で生産体制と流通経路を整えている。さすがのMeiji。アルファベットで書くと読みにくいぜ。
だから、たとえ東日本で販売終了になってもシンガポールでカールが食べられなくなることはないだろう。
なんか味が違うんだよね
実際この予想は正しくて、販売中止がニュースになって1ヶ月以上経った今でもシンガポールのカール戦線に異常はない。普通の値段で普通に売ってる。
ところが、シンガポールにお住まいの皆さまにお伝えしなければならない不都合な真実がある。このMade in Thailand、タイ王国謹製のカールは、肝心のお味が日本のカールとは一線を画すのである。
なんていうか、同じ材料を使用して同じ生産工程で作ってる努力をすっごい感じる。ところが確実に違うその食感。。。なんかバリバリする。あのサクサク・フワフワがない。
それにも関わらず、舌と歯と歯茎にまとわり付いて、貴重な唾液を根こそぎ吸収していくあの感じだけは見事に再現されている。肝心なのはそこじゃないんだよ(=^ – – ^=)
こんなのカールじゃねぇ。パッケージだけカールの「南国カール」だ!!
かくして、タイで大人買いした「南国カール」を東日本向けに高値で逆輸入する僕のビジネスプランはあえなくポシャった。
この味の差は日本のおじさんの汗と涙と血尿かもしれない
この歴然とした味の差はなんだろう。
パッケージをよく読むと「日本の明治製菓によるライセンスと厳格な衛生管理の元にタイで製造された」とある。肝心の製造業者はタイ語で書かれているのでわからない。でも英語の部分だけ読むと、ライセンス供与されたタイの現地企業によるOEM製品であることがわかる。
つまり直接的なカタチで明治の社員が製造に関わっていない可能性がある。そうなるとあのフワフワ・サクサクの「日本カール」と、このバリバリ「南国カール」の違いは、日本の工場で働くおじさん達の汗と涙と血尿を伴う、超ド級の努力によるところなのかもしれない。
実際、日本のおじさんの頑張りは尋常じゃない。イスラム国の戦闘員だって、日本の企業戦士ほどには頑張っていないと思う。日本のおじさんが、安い給料とストレスでハゲてデブって血尿に苦しみ、痴漢冤罪に巻き込まれて過労死のリスクを背負いながら繰り出す超ド級の努力は、決して無駄じゃない。それはタイのOEM製品とは一線を画する「日本カール」の品質に現れている。
これに気付いて以来、日本に足を向けて寝られない。
ま、僕は真似しないけどね。酔っ払えば南国カールも美味いよ。