書けない時は本を読む。ここ4ヶ月くらいで読んだ本たち

日本で普通に暮らせずコケたけど多民族国家に移住したらラクになったよ。

漠然とこんなメッセージを発信すべく、2017年1月にこのブログを開設した。そこからざっくり2日に1回のペースで1000文字以上の文章を書き続け、今のところ121記事ある。

最近は安定的に月間1万PVを超えるようになり、読者の方々とシンガポールでお会いしたことも。ありがたいお話。

僕はちょっとしたこだわりをもって文章を書いている。それは自分で読み返してつまらなかったら公開しないこと。そして自分で読んでもつまらない文章を書いちゃう時は、無理にうまく書こうとせず読書に徹する。

本を読んでいると、その内容だけじゃなく言い回しや文章構成なんかも作家さんから影響を受ける。つまり上手な文章をたくさん読むと、次からちょっとだけ上手に文章が書けるようにな気になる。

読書感想文

そんなわけで今日は、8ヶ月間で幾多のスランプを乗り越えてきた僕が、ここ最近読んだ本たちをご紹介します。

太田愛『犯罪者』上下巻

白昼の駅前で起こった通り魔事件を発端に、事件がどんどん大きくなって大企業や政治家の汚職にまで切り込んでいく。本屋で働く友人からの勧めで手にとったら、あれよあれよとのめり込んで仕事が手につかず。うっかり仕事中に読了しちゃった程に面白いサスペンス小説。

著者の太田愛氏はTRICKや相棒のような人気ドラマの脚本も手掛けた人物。実に緻密に張り巡らせた伏線が、物語の終盤で綺麗に繋がっていく様はまさに芸術。

ただし分厚い。ある程度の速度で文章を読み慣れていないと、いくら面白くても途中で挫折してしまう可能性がある。

太田愛『天上の葦』上下巻

上で紹介した「犯罪者」があまりにも面白かったため、続編である「天上の葦」も会社で一気読みした。「犯罪者」は政治家と大企業の汚職が題材なのだけど、どちらかと言うとサスペンスとしての面白さに重きが置かれている。でも「天上の葦」では現実の政治により深く突っ込む。

マスメディアのあり方、言論の自由に対する政府権力による弾圧。昨今話題になる重いテーマに、更にヘビー級に重い太平洋戦争を絡めて見事にまとめ上げている。

政治的なメッセージが強くなり、その強烈さを補うかのごとくあまりに複雑に絡み合った伏線に若干疲労が溜まる。ただ、ちゃんと物語の終盤では全てが一本に美しく収束するのは相変わらず美しい。

そんなわけで物語は直接関係しないけど、同じ三人組がドタバタ劇を演じるので「犯罪者」を読んでからのほうがずっと楽しめる。

海野つなみ『 逃げるは恥だが役に立つ』 9巻(完結)

9巻をもって無事完結。本作を読んで、家事力・収入・社会性があれば結婚する意味は何ひとつ無いと確信した。タイトルが秀逸なのでこのブログの参考にしている。

橘玲『幸福の「資本」論』

言ってはいけない」以降、全作読み漁っている橘玲氏の最新作。

過去に書いた内容の繰り返しや焼き増しが多いのが難点だけど、文章構成のお手本にしている作家さんの1人。ある事実やデータを示して、そこから合理的に思考し結論を導くスタイルはとても勉強になる。

ブログはどうしても裸の王様というか、感情を発露するゴミ箱になりやすい。そこで感情を脇において、経済的合理性を羅針盤に論を勧めていく氏の文章は、客観的な文章を心がける上で役に立つのだ。

本作ではまず「金融資産」「人的資本」「社会資本」という、幸福になるために手に入れるべき3つの価値を定義する。その達成度から人生を8つのパターンにわけ、それぞれの方法で幸せになるためにはどうすべきかを具体的に論じる。

本書の枠組みで僕が目指すべきは断然「ソロ充」なので、そこの部分を重点的に読んだ。この内容については別の記事で具体的に掘り下げようと思う。

石黒正数『 それでも町は廻っている』16巻(完結)

尊敬する石黒正数先生が「コミュニケーションの教科書」と位置づける代表作「それ町」シリーズが遂に完結してしまった。

なんちゃってメイド喫茶でバイトすることになった女子高生のほのぼのコメディ。東京下町の丸子商店街が舞台で、僕は大田区の近所に住んでいたこともあり思い入れがある作品。

物語は完結しちゃたけど、実はまだ楽しみがある。

「それ町」は時系列があえてバラバラに描かれているので、最終巻の最終話は実は物語の最後じゃないのだ。1~16巻に隠された真の最終話を探すべく、せっかく全巻手元にあるんだし、読み直して時系列に並べてみたい。

なお、本作のあとに発表された「回覧板」で答え合わせができる。

本作最大のパズルをゆったりと楽しむために、1週間くらい「それ町休暇」を取ることを計画している。

諫山創『進撃の巨人』23巻

2017年は「アイアムアヒーロー」に続き、それ町まで完結してしまった。寂しいのう。。。もはやリアルタイムで追っている漫画は進撃の巨人だけ。

連載モノに入れ込むのはリスクがある。作者の健康、雑誌の廃刊、単行本の売れ行きなんかで突然死しちゃった名作は数知れず。かといって5年おきに最新刊が出るみたいな仮死状態もファンの心臓に負担がかかる。当然、アイアムアヒーローみたいな終わり方は絶対困る。伏線を放っ散らかして完結していいのは宇宙広しといえど村上春樹先生だけだ。

さて、そんなファンの心配をよそに、進撃の巨人は一向に終わる気配がない。地下室が開いたあたりで伏線が超新星爆発しちゃって、もはや物語のメインストリームが何本あるのかわからない。

作者の諫山先生はまだお若いし、これだけ流行れば資金繰りで行き詰まることも無いと思う。だけど、この先いったいどういう展開になるのか全く想像できず、ただただ心配でならない。

pha『ひきこもらない』

「プロのニート」ことphaさんの最新作。

前作「持たない幸福論」あたりからたぶん本格的に売れちゃって、Twitterを拝見している限りニート廃業(笑)に追い込まれたっぽい。テレビで放映されたギークハウスのドキュメンタリーもかなり話題になったし、最近はお忙しそうなTweetが目立つ。

組織に馴染むのが苦手で人と会話すると恐ろしく疲弊するというphaさんの文章を読んでいると「自分も楽しいことを実践しよう」っていう勇気が湧いてくる。

そんな人に向けて具体的にどうすれば引きこもらず社会と接点を持ち続けられるかを指南したのが本書だ。

いろいろ楽しいことが満載の日本の生活が羨ましくなった。あまりに羨ましすぎて紹介されていた名古屋のサウナにうっかり行っちゃったよ(=^・・^=)

発達障害に効くと噂のサウナ。ウェルビー栄店でロウリュを体験してきた

思ってたよりたくさん読んでた

意外とたくさん本を読んでた。これでご紹介したかった本のまだまだ半分くらい。

なにか困ったことがあったら同じように困ってそうな人の本を探す。すると丁度いい感じの回答が大抵存在する。僕くらいの凡人の悩みなど、はるか前にエラい人たちがサクッと解決して、ご親切に本にまとめて公開してくれている。いい時代だ。

そんな感じに共感できる作家を見つけたら、ちょっと興味の対象から外れても著作を片っ端から読んでみる。そうすると思っても見なかった見地を得られてトクした気分になる。

読書は宝探しだ。

ググればタダだし速いと言う人がいるけど、書籍は300ページくらいあるので情報の深さが違う。本から得た体験は自分の人生の血肉になって、明日の生活をちょっとだけ新しくしてくれる。

この体験の積み重ねが「共感してもらえる文章を書く人」という理想の自分への近道だと信じている。