シンガポールの会社は有給休暇と病欠が別にある。僕が働いている会社では1年間にそれぞれ14日ずつ、合わせて28日!
体調が悪い時や、ぶっちゃけ急用ができた時もこっそり病欠を使っちゃうので、有給休暇がめっちゃ余る。日本で働いていた時からは考えられない事態だ。
有給休暇とはバケーションのこと。1週間以上連続で休んで里帰りしたり、周りの同僚たちは北欧や日本へ旅行に行く人も多い。
僕も7月に2週間帰国したんだけど、それでもまだまだめっちゃ有給休暇が溜まっている。せっかく東南アジアのハブに住んでいるんだから、エネルギーをもらいにタイやベトナムに行こう。きっと面白いブログのネタをいっぱいゲットできるだろう。
…そう考えはじめて2ヶ月が経った。
シンガポールに移住して脳のワーキングメモリーが減った
日本で社畜やってたときは、常にエンジン全開で必死に生きていた。満員電車と仕事を乗り切るのに必死。休暇を取るのも必死だ。
それに僕は日本の空気が合わないので、海外に脱出したくて仕方なかった。当時は海外旅行を計画するのがツラいとか思ったことなど一度もない。
シンガポールに移住してから、南の島のカメハメハ大王みたいにパンツのゴムが伸び切った生活をしている。雨が降ったら遅刻して、風が吹いたらお休みだ。
日本でベタ踏みだった心のアクセルから足を放して、クリープでノロノロ進んでいる感じ。人生をノロノロ運転に切り替えて、僕の人生は劇的にラクになった。鬱っ気も改善したし、精神安定剤デパスから完全に足を洗うこともできた。
ところが心のエネルギーを減らして困ってることもある。具体的には脳のワーキングメモリーが更に減った。
ワーキングメモリーとは短期記憶とそれを処理する能力のことだ。マルチタスクが苦手、忘れっぽい、ケアレスミスが多いなどなど、ADHDをはじめ発達障害の特徴はこのワーキングメモリーが生まれつき少ないことが原因と言われる。
でもADHDだってエイヤーって頑張れば一時的に能力をブーストすることができる。日本で働いていた時は、毎日常にブースト状態で生きていた。そして病んだ。
もう一生頑張りたくない。でも頑張らないといつまでたっても飛行機を予約できないんだな。
飛行機を予約するのがツラい
旅行を計画するのに考慮すべきことはすっごく多い。
ほかに休暇を取る同僚はいないか、上司の許可は取れそうか、お客さんに影響は無いか、休暇の申請ってどうやるんだっけ、そもそも今の季節タイやベトナムはどんな気候だろう、ってかタイとベトナムどっちに行こう、うわっ正規料金たっか!、どっかLCCがプロモってやってないか、そんな時はスカイスキャナー!、ってかそもそもタイとベトナムどっちにいこう…
面倒くさい!面倒くさい!面倒くさい!わーーー!!!ってパソコンを閉じして「今日できることは明日もできる、うん」などと諦める。
しかもこういうタスクの延期はTODOリストに溜まっていき、心の負担になる。もう二ヶ月も悩むと、そもそも旅行に行かなければラクになれるのではなどと思い始めた。
予定を入れる恐怖
ワーキングメモリーが足りないと、予定を管理できなくなる。僕は昨日、今日、明日、明後日くらいしか時間の感覚がない。それより前は大昔。それより先は遠い未来。
そんなんだから人との約束や予定を忘れてすっぽかしたり、二重に約束してしまったりする。こんな風に自分の能力の低さで周りの人に迷惑をかけるとすごくヘコむ。
なので長期旅行にいくとこの期間になにか約束をしていたんじゃないかと不安になる。外せない予定が入っているだけで、心の負担がずっしり重くなる。これはもう恐怖だ。
予定表をつければいいとアドバイスされるし、実際スマホのカレンダーに予定を書き込んでいた時期もある。ところがそもそも予定を書き込むのを忘れるんだなこれが。抜けだらけの予定表は意味が無いので結局見なくなる。
二週間くらいスケジュール管理を努力してみたけど、結局ぼくのすっぽかし癖は改善しなかった。そして無駄に疲れた。
その日何をするかはその日に決めたい
もうね、その時が来たら場当たり的に対処することにする。
まずは何も考えずに1週間休暇を取る。そして何もせずにその日を迎える。家で暇だったらスカイスキャナーを開いて、翌日に安い飛行機がないか調べる。
行き先はどこでもいいや。ぶっちゃけどこへ行ってもビールのんでブラブラするだけだし、聞いたこともない街に行くのも楽しかろう。
その日何をするかはその日になってから適当に決めるような生活に落とし込んで、もっと気楽に生きよう。そうしよう。