シンガポールの目抜き通り、オーチャード。東京の銀座のような場所で、ブランド品のショーウィンドウが並び、駐妻マダム御用達の有名レストランが軒を連ねる。
ここに僕みたいなのが紛れ込むと、場違いな居心地の悪さを感じる。
原因は2つある。
1つ目は、全てが高い。もちろんどうしても欲しいものがあれば買えないことはない。だけど明らかに分不相応だ。それで萎縮しちゃう。
2つ目は、その値付けが適正価格からあまりにもかけ離れている。別に原価が何割でとか、そういう話をしたいんじゃない。単純に値段の割にクオリティが低すぎる。
特に飲食に関しては酷い。さして美味しくない料理と、不機嫌な店員による不快なサービスにも関わらず、2人で軽くディナーしただけで1万円を超えてしまう。これでは質・量ともに物足りなさを抱えながら会計することになる。
こういう体験が重なると、オーチャードから足が遠のく。
これは在星日本人最底辺の僕だけじゃなく、コンドミニアムに住みレクサスに乗ってるような地元の人も同じ。彼ら中流以上のシンガポール人たちもオーチャードに見切りをつけて、ネット通販で中国から直接お取り寄せするようになった。中国語ネイティブなので本当に気楽になんでも買っちゃう。羨ましい。
さらに頼みの綱だった中国人爆買い需要も落ち着いてしまい、オーチャードはここ数年閉店ラッシュ。いつまでも開かない「新店舗準備中」が目立つ。
モノの需要が減ったわけじゃない。「オーチャードで買った」というステータスのために、不当な中抜きをされるのみんなバカバカしくなったのだ。
良いサービスにお金を払えるって素晴らしい
そんな感じで消費社会に失望していた僕なのだけど、バンコクで6日過ごしてお金を払う喜びに身震いしている。
もちろんタイは物価が安いから、普段ガマンしているものがお財布の射程圏内に降りて来たってのもある。
でもそれだけじゃない。
なにかサービスを受けた時に、心から感謝の気持ちが湧いてくる。そしてちゃんとお礼をしたくなる。会計の時には満足感しかない。
例えばこんな感じ。
マッサージ師さん
シンガポールでもたまに必要に迫られてマッサージに行くんだけど、マッサージ師はチラチラケータイみながら他の人と大声でくっちゃべる。おしゃべりがしたいけどしょうがないからマッサージしてやるっていう態度。挙げ句の果てには「好きでこんな仕事やってんじゃない」とか客相手に愚痴りだす始末。
マジで不快だ。
まぁそれはいいとして、バンコクについて2日目にボートに乗って水上散歩に出かけた。それで疲れ果ててふらりと入ったマッサージ屋さん。健全なヤツね。そのサービスはシンガポールとは全然違った。
ケータイいじったりおしゃべりしないのはもちろんのこと、ワットポーで10年修行しただけあって技術もハッキリ違いを感じられるレベル。無駄に話しかけて来ないけど、力加減や客の選択が必要な時は、ちゃんと英語で聞いてくる。
これがプロの仕事ってヤツだ。
クラフトビールBAR、3BeaRs
タイでにわかに流行っているクラフトビール。小さな醸造所で作られた地ビールといった感じ。
この3BeaRsはタイのブランドなんだけど、醸造は台湾で行なっているらしい。理由はわからないけど、多分、暑い気候はビール製造に向かない。今回ベトナム製のクラフトビールも試したんだけど、やっぱりまだまだ欧州勢に品質で敵わない。発酵がうまくいっていない印象が残った。
でもこの3BeaRsはアジア勢のなかで健闘している。
日本だと「よなよなエール」とか「インドの青鬼」みたいに、コンビニで買えるレベルでペールエールやIPAを楽しめる。でもやっぱりIPAを飲むなら生ビール。
駅から遠いのが難点だけど、そこいくと3BeaRsのレストランBARは満足度が高かった。なにせ平日だったせいかお客さんは僕だけ。超絶リラックスして、お洒落な空間を独占してビールを楽しんだ。
クラフトビールBAR併設のカプセルホテル LAF
今回泊まったカプセルホテル型のホステル、LAF。BTSアリー駅から徒歩5分の距離にあるアットホームな宿。ここも流行りに乗ってIPAの生ビール、ニトロ・コールド・ブリュー珈琲が飲めるBARを併設している。
でも最高なのはフレンドリーでありながら、適切な距離感で接してくれるスタッフさんたち。彼らのおかげで、今回のバンコク旅行は大満足のまま終われそうだ。
スーパー銭湯 湯の森 バンコク店
シンガポールにも進出しているスーパー銭湯チェーン「湯の森」が、ここバンコクにもある。
詳しいレビューは帰国後ネムラにゆっくり書くとして、とりあえず素晴らしかった。
Xinさんが記事にしてらっしゃる通り、シンガポール店より確かに湯船が狭い。だから風呂メインで行くと、客数の割にせせこましい印象を受けるかもしれない。
http://www.sinlog.asia/entry/2017/09/26/201410/
でも僕が銭湯に行く目的はサウナだ。湯船には最初の1発目しかザブンしない。
それで肝心の湯の森バンコクのサウナは、冗談抜きに日本を含め、今まで体験した中で1番良かった。
まず、プラスチック製のトタンで囲まれた半屋外エリアに設置されたログハウス。実はこれがサウナなのだ。天井からシトシト降り注ぐ太陽光でサウナを楽しめるなんて。サウナっていうと薄暗い箱って感じだけど、初めて体験する太陽光のみで浴びるサウナは心までデトックスされるようだった。
さらにテレビがない。聴覚過敏の僕はテレビを敵視している。
静寂の中に、ログハウスの外から鳥のさえずりが微かに聞こえる。ログハウスの木材の香りも手伝って、まるでフィンランドの森のサウナなんじゃないかと錯覚するほど。
ふと薄暗くなったかと思えば、雨が降り出した。僕は落ち着きたい時に自然音のホワイトノイズを静かに流すんだけど、まさにそのお気に入りが雨音だ。
木の香り、柔らかい太陽光、静かな雨音。こんなサウナは他に知らない。
感謝の意を込めてお金を払っていきたい
もうね、こういうその道のプロによるサービスを受けた後の満足感が半端ない。
幸福と感謝の気持ちでいっぱいだ。
シンガポールで忘れていたお金の使い方。今後は感謝出来るものにだけお金を使っていこうと思う。それは幸福になるお金の使い方だ。
【写真の編集が追いついておらずシンガポール帰国後本気出す】