さてさてバンコクからシンガポールに帰国しちゃった。
今日は分量が多すぎて現地で書けなかったバンコクぶら歩きシリーズ第二弾。何も調べずにバンコクの肺と呼ばれる、緑豊かな地域バンカチャオを訪ねてみた。
ある日、バンコクで駐在員をしてる友達から耳寄りな情報を手に入れた。なんでも大都市バンコクからチャオプラヤ川の向こう側には、開発を免れた自然豊かな地域が残されていると言う。しかも、そこへはバンコク港からの渡し船で簡単に行けるという。こりゃ行くしかない!
やー、何も調べずに裏歩きするのをモットーにしていたけど、今回はさすがに英語もまともに通じない場所だけに、ちょっと無謀だった感がある。実際いろいろ困ったんだけど、その珍道中は本編でどうかお楽しみください。
BTSトンロー駅前のカフェ&ホステルがめっちゃオシャレ
とりあえず友人の話ではバンコク港から渡し船が出ていると言う。だからバンコク港に1番近いトンローからタクシーに乗ろうと考えた。
トンローは日本食レストランが多くて、日本人の駐在員が固まって住んでいるエリアだ。
軽くラーメンでも食べてから出発しようと思っていたんだけれど、トンロー駅を出ると駅前におしゃれなカフェが目についた。まだこの日のブログを書いていなかったこともあり、何も考えずふらり立ち寄ったのだけれど、これが大当たりですごく快適だった。
このカフェはホステルも併設していて、話を聞いているとお客さんの多くは白人のようだ。バンコクはヨーロッパからの旅行客が多い。だから彼らの間で口コミで広まっているらしい。
僕を最初に雇ってくれたシンガポール女子もそうだけど、このカフェも経営者は若い女性だった。僕が泊まっているカプセルホテル型のホステルも、経営者は若いバンコク育ちの女性。
東南アジアの起業家には女性がとても多い。日本で起業と言うと、才能に恵まれなおかつ心配になるほど激務をこなす印象がある。でもシンガポールをはじめ東南アジアでスモールビジネスを始めた女性たちと言うのは、もっと全然リラックスしている。
これは1つに貧富の格差によるのだと思っている。
おそらく彼女らは資産家のご令嬢。そのためか、お金の心配を一切していない。利益とか度外視で良いサービスを提供していたりする。これは僕の完全な憶測だけれど、資産家というのは自分のビジネスを長男に継がせようとするのだと思う。だから娘に家督をつがせない分、何かやりたいことがあるならそれに惜しみなく投資してくれるんだと感じる。
まぁそんなわけでトンロー駅前のカフェはとてもよく、ブログの執筆もはかどり有意義な時間を過ごせた。
さてコーヒーを飲むと甘いものを欲する。カフェの洒落乙ケーキでも食べればいいのかもしれないけど、せっかくバンコクにいるのだからストリートフードでお腹を満たそうと思った。そこでちょうどマンゴー専門店が目に入ったので、ざく切りマンゴーともち米、これにほどよく甘さを足したココナツミルクをぶっかけるカオニャオマムアンを買った。
買った後で気づいてしまった。どこで食べよう。
でもまぁそこは僕なので、ストリートフードはストリートで食べるのが通と言うもの。
うん、美味。
日本だともち米を甘く食べるとなるとおはぎ位のもので、フルーツと合わせる発想は無い。ところがこれがマンゴーの程よい酸味と合わさって、とても良いハーモニーを奏でる。
バンコク港に行ってみたけど場違いだった
さて、お腹も膨らんだことだし、バンコクの肺と呼ばれる自然豊かなエリアにいこうではありませんか。駐在の友達からは港の側から渡船乗れると聞いていたので、流しのタクシーを捕まえて迷わず港に行くように伝えた。
それでついたのは、このような場所。
もうね、着いた瞬間に分かる、ここじゃない感。
そこはコンテナを積んだ大型トラックがバンバンと到着する、バンコクの物流拠点だった。でも守衛のおじちゃんにここは入ってもいいのかと聞くと、めんどくさそうに手をひらひらしていた。英語が伝わっているのかすら危うかったけれど、とりあえずゴーサインと判断した。
そんなわけで、場違いに感じながらも、うずたかく積まれたコンテナの間をてくてくと歩いた。
ヤバい。
ここはもうどう考えても一般人、しかも外国人がうろちょして良いエリアじゃない。
トランスフォーマーで言えば、絶対敵に変身するであろう凶悪な巨大重機がガッコンガッコン動き回り、何トンあるんだかわからないコンテナがひっきりなしに大型トレーラーで運ばれてくる。
正直まぁ男の子だし、こういう巨大重機には胸が騒ぐ。
とは言え僕が目指しているのは自然豊かな、バンコクの肺だ。全く間逆の環境に紛れ込んで、右往左往している自分に少々絶望した。
おばちゃんの小舟でチャオプラヤー川を渡る
そうこうしてるうちにバンコク港のイミグレーションオフィスにたどり着いた。
ここなら英語が通じるかもしれないし、船着場がどこにあるか教えてもらえるかもしれない。最悪「ここで何をしているんだ」と怒られるかもしれないけれど、守衛のおじさんのお墨付きで中に入ったわけで、最悪彼のせいにすればお咎めを食らわないだろう。
などと考えたのは完全に認識が甘かった。
英語が通じないのはもちろん、バンコクの肺に行くための渡船が必要だと身振り手振りで訴えてGoogle地図まで出したのにもかかわらず、西の方向を指差すばかり。
でた。
これは途上国あるある。よくわからないことを外国人に尋ねられたときに、その有り余るホスピタリティーから、知らないと否定できない。それで適当な情報をとりあえず渡してお茶を濁す。
しょうがないから言われた通りトボトボ西へ歩いていると、人の良さそうなおっちゃんがバイクに乗って話しかけてきた。それで、バーンカチャオに行きたいんだと伝えると「マジかよ」ってなリアクション。
まじイミグレオフィスの連中は全員校舎の裏に呼び出しだ。
とりあえず乗れと言うので、彼のバイクに2ケツして船着場まで連れて行ってもらうことにした。
いや、そのつもりでいたんだけど、実はおっちゃんもバーンカチャオにどうやっていけばいいのか皆目わかっていない感がある。
大丈夫なのかよ俺。どうなっちゃうのよ俺。
とりあえず連れていかれた守衛所で何やら議論が行われている。なんだか大事になってしまった。これはやっぱり怒られちゃうのだろうか。
何やら電話越しにおっちゃんたちが怒鳴っている。やっぱりまずいことになってしまうのだろうか。
そんな感じでガクブルしていたら、気の良さそうなおばちゃんがボートに乗ってポンポンやってきた。
どうやらこのおばちゃんが僕をチャオプラヤ川の対岸まで連れて行ってくれると言う。
さっきの電話は、このおばちゃんを手配してくれていたらしい。何と言う親切。おばちゃんは300円程度を要求してきたけど、もちろん喜んで払った。おっちゃんたちにもお礼がしたかったんだけど、かたくなに固辞された。
適当になんとかなるバンコクっていい街だな。
チャオプラヤ川から見たバンコク港のコンテナターミナル。やっぱり外国人がウロチョロして良いエリアでは無いように見える。
何かと物騒な世の中なので、この辺のセキュリティ意識はもうちょっとあっても良いのではないか。その意味でタイほどグダグダな国もそうそう無い。
こうやって見ると大都市バンコクと、チャオプラヤ川を挟んで自然豊かなバンカチャオのコントラストが著しい。超高層ビルが聳えるバンコク側に対して、昔ながらの高床式の住居や木造のボート、それからヒルギ(マングローブ)が繁茂する湿地帯。
植生からするに、やっぱり海から海水の逆流が多いようで、汽水域に特徴的な植物がいくつか見られた。
日本だと水害の危険性から川沿いに家を建てている人はあまりいない。川沿いの土地は草野球する空き地があったり堤防の上をジョギングしてる人たちがいるような、公園のような活用のされ方をしている。
ところがどういうわけかバンコクの人たちは水辺に家を建てるのが好きだ。だから「河原」と呼べるような場所はなく、高床式の住居で水面までビッチリと覆い尽くされている。だから対岸の景色をのんびり眺めるには船で川に漕ぎ出すしかない。
チャオプラヤ川からバンコクを眺められただけでも、道に迷っておばちゃんにお世話になった甲斐あったと言うもの。ありがとう、おばちゃん。
バンカチャオへの正しい渡船乗り場について
結局僕はタクシーで行き先を伝え間違い、バンコク港の東端に行き着いてしまった。ところがバンカチャオへの渡船は、それから1キロほど西へ川を登ったところにある。
だからタクシーの行き先にはKlong Toey port(クロントーイ)を指定すると良いと思う。船着場の入り口にはワット・クロントーイという有名なお寺があるので、そのお寺の名前を告げるのも分かりやすいと思う。
クロントーイ船着場からバンカチャオ側へは、かなり頻繁に渡船が出ていて料金はわずか20円だった。往路のおばちゃんがべらぼうにフッカケていたことが帰り道で明らかになったわけだが、イレギュラーな道順で僕を連れてきてくれたことに純粋に感謝している。
そしてもうひとつ重要なのは、正規の20円渡船で行けるバンカチャオ側の港が2つある。とりあえず船着き場ですぐに自転車を借りられるBang Kachao pierが便利だと思う。
そんなわけで痛い目にあったけど
無事バンカチャオに到着したものの、もうこの時点でかなり疲れ果てた。それでも行き当たりばったり何も調べずに現地を目指す僕の旅は止められない。
多分インターネットで事前に調べると、容易にクロントーイ船着場の情報は得られる。そして島に着いたらベタという闘魚の博物館に寄り、アジアンカフェで洒落乙なランチを食べて、水上マーケットを見学することになる。
でもね、そういう大正解のルートは男1人で巡っても何も面白くないのだよ。
僕にはやっぱり自分の足で情報かき集めて、現地の人たちにお世話になりながら、旅路を進めていく方法が面白くてしょうがない。
後半の記事は自転車を借りてバンカチャオでビールを飲んだ記録です。もうすぐ書き上がりますのでご期待ください。