バンコクの肺と呼ばれる緑豊かな集落「バンカチャオ」に何も調べずに向かったら大変だった話を書いた。
今日はこの続編。
バンコク側のクロントーイ船着き場から、20円の渡し船でバンカチャオ側にチャオプラヤ川を渡ることができる。
この渡し船でバンカチャオ側の2ヶ所の船着き場に寄れるけど、船を降りてすぐに自転車を借りられるBang Krachao Pierがお勧め。なお、もう1つの船着き場に僕は行っていないけど、こっちでも自転車は借りられるかもしれない。
ご存知の方がいましたら教えてください。
自転車でGO!
そんなわけで、Bang Krachao Pierの船着き場がそのまま貸し自転車屋になっている。総合病院の目の前にある調剤薬局みたいな美味しいビジネス。
1日借りて250円くらいだった。
っていうか、ここで貸している自転車、全部違うデザインなんだけどさ。。。
もしやそこら辺からパクってきたんじゃあるまいね。。。
あまりに日本の放置自転車保管所みたいな雰囲気だから、心が汚れている僕は思わず疑ってしまったよ。
まぁ安く貸してくれるならどうでもいいや。マイペンラーイ。
変速付きの真っ赤なママチャリを相棒に、いざ出発(=^・・^=)!
…だけど、なんか足りない。
そう、ビールだ。
放浪中は地図を見るのが嫌いなので、適当な方向に汗だくで迷走することに。すると、なんだかレトロなスーパーが目に入った。ここで迷わずビール休憩。
すごい。
この共産主義国を思わせる充実の品ぞろえ。
商品で埋まっている棚の方が少ない。バンコクは週末に大雨だったので買い占め騒動とかあったのだろうか。でもビールは冷蔵庫にビッチリ在庫してくれてたので、普段からこんなもんなのかもね。
アルコールに厳しい仏教国タイは、お昼から夕方までビールを買えない時間帯がある。田舎ではあまり真面目に守られていないというけど、バンカチャオは首都の目と鼻の先。
ここはぬるくなる前に飲みきれる分を買い溜めておくべきだろう。
そんなわけで飲酒運転しちゃった☆ マイペンラーイ。
太陽、青空、白い雲、緑豊かな熱帯の森。最高だ。
なんかこの雰囲気、インドネシアの田舎町に似ている。思わずペットボトル入りでガソリンが投げ売りされてないか確認しちゃったくらい。
実際インドネシアの田舎はゴミが散乱しててもっと汚いけどね。。。
バンカチャオは観光にチカラを入れているのか、標識の類も親切かつ洒落たデザインで、ゴミ箱も要所に設置され、どこもかしこもいい感じに清潔だった。
バンカチャオの集落は全体が蛇行するチャオプラヤ川に囲まれている。いわば中洲のような感じ。
だから埋め立てられた場所以外はこの様な湿地。家も沼地に杭を打ち込み、コンクリートで固め、その上に建っている。これは、あまり長持ちしなさそうだ。チャオプラヤ川が氾濫したらどうするのだろう。
ハイビスカスが綺麗。
それにしても道に人っ子一人いない集落だ。
地元の人達はどこにいってしまったのだろう。働き盛りは朝晩渡し船に乗ってバンコクへ通勤しているのかもしれない。そして子供と老人は暑いから引きこもっているのだろう。
でもこの人影が見えない程の過疎っぷりが異世界みたいで気に入った。それでいてビールはちゃんと売ってるしね。
などと異世界の妄想に浸っていたらすっかり細道に迷い込んでしまった。
とは言え地図は見たくないので二度目のビール休憩。
タイの大衆ビールというとチャーンとシンハ。まぁ大差はないんだけど、シンハの方が若干濃くて好きだ。
ちょうど良い気分になってきたし、再び走り出したらこの風景。
これめっちゃフィリピンの田舎に似ている。思わずジプニーが後ろから爆走してこないか確認しちゃったくらい。ジプニーは乗っても乗って無くても危ないからな。
日本と韓国の町並みがなんとなく似ているように、どうも東南アジアも国によらずこんな風景に収束していくのかもしれない。
などと考えていたら唐突にチャオプラヤー川に突き当たってしまった。
これは思いがけず絶景!
首都バンコクの摩天楼を背景に、大河のこちら側には昔ながらの建物。また雲の感じも良い。しかも一部の電信柱が水没していて、これまた終末世界っぽくて良い。
住むとなると大変そうだけど、ここでゆとりのある時間を過ごせる幸せを噛み締め、ビールと一緒に飲み干した。
さて、バンカチャオは相当観光にチカラを入れているっぽく、サイクリングロードが道の両サイドに整備されている。このサイクリングロードは車道より優先させていて、道が細くなるとサイクリングロードはそのままに、車道がどんどこ狭くなる。
その結果、もはやスクーターでも走破できなそうな細い車道や、曲がりくねってどこを通るべきか混乱するような場所も…。
そもそもSUVが通れるくらいの道幅なのに、それを4車線に分けるのはいかがなものか。ここをクルマもスクーターも自転車も歩行者も通る。
マイペンラーイ笑
かと思えばこのような洒落乙カフェが唐突に存在していたり、バンカチャオの集落は面白い。炎天下なので涼みに入ろうかと思ったけど、なんとなくビールを提供してなさそうなのでやめた。
気持ちよさそうに寝ているメス犬さん。
お世話になったフィリピン人英会話の先生がYou bitch!というところ、無理やり日本語で「メス!イヌ!」という癖がある人だったのを思い出した。
それでこのお犬様を意味もなく「メス!イヌ!」と罵倒したら、ギロリ睨まれ、また眠りに落ちていかれた。僕もこのような生活を希望する。
メス犬様を見ていたら僕もホステルでお昼寝したくなってきた。帰ろう。
最後の最後は地図をみて、最短でBang Krachao Pierに帰投し、船着き場併設の美味しいビジネスから最後のビールを買った。
シンハがなくて少々不満。殿様商売が劣化する良い例だ。
それにしても…なんて長閑なんだ。
人口密度が低いのが良い。そして自然が近い。かと思えば、チャオプラヤー川の対岸には摩天楼。不思議な集落だ。なんとなく新宿御苑っぽくもある。
なぜここだけ開発を免れているのだろう。
貸し自転車の殿様商売様は「渡し船が来たら教えてやるぜ」って言ってたくせに、確信していた通り教えてくれなかったね。
僕が往路でも乗るべきだったクロントーイ船着き場からいらっしゃった20円渡し船がこちら。料金は向こう側に着いてから、船着き場のゲートで払う。小銭を用意しておこう。
すぐ飽きそうかもだけど…こういう仕事っていいな。
僕が小学校のころ、練り消しを買いに行った、文房具屋のオヤジさんとかね。
そんな、成功や自己実現とは無縁の、それでいて食いっぱぐれない仕事。こういうのが、先進国では次々と食えない仕事となり、移民に奪われ、やがて役割そのものが消えていく。
特別な才能や、目を引く学歴や、身体を壊すほどの努力をしなくても、なんとなく生きていくに足る仕事。そういう仕事が多い社会こそが、余裕のある包容力をもった住民を幸せにする街だと思う。
この渡し船でバンコクへ通勤している人は、毎日この船で空間を超越する。インドシナ半島の経済首都から、途上国の雰囲気を残した緑豊かなバンカチャオへ。
両方のいいとこ取りとも言える。これは豊な暮らしだなぁ。
などと良いことを書きたいと思ってたのに、このオッサンは乗船から下船まで一度もスマホから目を離さなかった。もうちっと、記事を書く身にもなってほしい。
日が落ちかけたチャオプラヤー川の絶景も、見慣れればInstagramに負けてしまうのか。
そんなわけであっという間にクロントーイの船着き場に到着。この船はチャオプラヤー川を上っていく別の路線。バンコクで河は市民の往来だ。
船着き場から出ると、何の変哲もないバンコクのうらぶれた路地に放り出される。青空に花が咲き乱れ、メス犬様が眠る、時間が止まったようなバンカチャオの余韻はこの瞬間に消え失せる。
ここはタクシーが入ってこられない細いSoiなので、ワット・クロントーイのお寺から渡し船に乗る場合はこの距離を5分ほど歩かないといけない。
そしてこちらが路地を抜けたところの風景。左手の派手なのがワット・クロントーイ寺の山門であり、クロントーイ船着き場への入り口。ここから入っていくように。
この後方にはこのようなバンコク港のメインゲートがババーンと存在しているけど、ここから入ると僕のように迷走した挙句に地元のおっちゃんオバちゃんに迷惑をかけることになる。
っていうかやっぱり、国際港のコンテナターミナルに、普通に外国人が徒歩で入れちゃうのはマズいと思うんだよね。。。マイペンラーイ。。。
これで今日の放浪はお終い可と思いきや、地図で調べたらクロントーイ船着き場から日系銭湯「湯の森」バンコク店まで2km弱しか離れていないことが判明。
すっかり酔いも冷めて元気が回復してきたお散歩ジャンキーの僕は、結局銭湯まで歩いちゃった。しかも湯上がりビールに気分が良くなって、さらにそこからBTSアソック駅までも歩いちゃった。
途中、クラフトビールBARや洒落乙つけ麺屋などもあって面白かったので、Soi Sukhumvit 16の珍道中は別の記事にまとめる。
我ながらクレイジーおサンパーである。なお、ここに書いた距離を酔っ払ったノーマルおサンパーが踏破しようとすると、行き倒れたりバイタクに轢かれたり、危険が待っている。この記事の内容は参考程度にしておいてね。
そんなわけで、あっという間に4000字。長いのに最後までお付き合い頂きありがとうございました(=^・・^=)!