名前を変えてお手軽に生まれ変わる

日本人は自分の本名にこだわる傾向が強い。特に男性。

英語圏に長く住んでる日本人でさえ、英語名ではなくマサとかエミとか、本名を覚えやすく短くした呼び名を使う人が多い。僕も本名が短いのでそのまま使っている。

そんなんだから「日本人はなんでイングリッシュネームを持たないんだ」とよく聞かれる。

これはいつも回答に詰まる質問だ。なんでだろう。

確かに日本と文化が近く、漢字ベースの名前をもつ中国人や韓国人も、デイビッドとかエイプリルとか、本名とは別に対外国人向けの英語名を決めている人が多い。

それで友達の台湾女子になんでサニーっていう名前にしたの?ってきいたら、台湾では学校の英語の授業で、最初にイングリッシュネームを決めるという。そして授業中はその名前で呼び合うのだそうだ。その時決めた「サニー」を使い続けていると。

なるほど、日本の英語教育は読み書き中心で、ディスカッションの授業がない。だから英語で名前を呼び合う機会が全くないんだな。

日本ってそもそも英語教師が英語しゃべれないもんね。非正規臨採ばっかの学校教師は「キツい・危険・給料安い」の底辺がやる仕事に成り下がっている。日英バイリンガルは英語教師なんて割に合わないブラック職には就かないんだ。

他に考えられるのは、日本人は両親が名前に込めてくれた思いに、どこか見守られながら生きているフシがある。「千と千尋の神隠し」で湯婆婆が千尋の名前を奪って支配するのが象徴的だ。

日本人にとって名前はただの識別記号じゃなく心の拠り所だから、安易に他の名前で呼ばれたくないんじゃないか。

それにしても両親の思いを大切にしているから改名しないっていうのは、「親からもらった身体だからピアスや入れ墨は悪」という理論に、ちょっと似ている。面白い文化だ。

改名のインパクト

しかも実際、日本で本名、とくにファーストネームを変えるのはなかなか大変みたいだ。

探検家の高野秀行氏が「怪魚ウモッカ格闘記」の中で改名しようと頑張っていらっしゃったけど、法律のシバリが強くて苦労なさっていた。

名前をコロコロ変える人が少ないからこそ、社会的にそういう制度も整ってないのかもな。

シンガポール人は人生に悩んだら気軽に名前を変えて、運気の流れを変える文化がある。

シンガポールには人生に悩んだら名前を変える文化がある

これを日本でやったら、レアな分より大きな効果が得られそう。もしかしたら周りの人からの扱いも違ってくるかもしれない。

例えば地味な名前で実際地味な性格の人が、思い切って田中ピカチュウとかになったら性格まで変わりそうだ。

お手軽に生まれ変わる

僕も最近「ししもん」に改名したくてFacebookとかの名前はすでに変えた。

というのも、同じ場所で同じ人と同じことをやり続けるのが苦手で、定期的に全部リセットして生まれ変わるのが好きなんだよね。

僕が知らない土地に行って、僕のことを誰も知らない社会で、ゼロから暮らし始めるのってワクワクする。魔女の宅急便みたいな。

人生追い詰められてもお手軽に生まれ変われる。物理的に死ぬのは無駄。

でも実行するには一大決心が必要だし、苦労もある。

もし改名するだけで非日常を味わえるなら、お手軽な人生リセットになりえないだろうか。