IT系転職求人倍率が4倍!30代半ばの僕が日本にキャリア戻す最後のチャンス!?

日本でIT系エンジニアの転職が超売り手市場というニュースを読んだ。転職市場全体では2倍程度のなか、IT業界は4倍。僕の専門分野で人手不足が顕著なようだ。

これには正直グラっときた。

僕は30代半ばだし、転職年齢としては最後のチャンス。日本で5年、海外のまぁそれなりな大手で3年働いてきた。そこまで流暢じゃないにしても英語で技術的な話もできる。いくつか失効してるけど20代で取った資格もある。

海外の現場のブリッジエンジニア的なポジションに、日本採用で着けないだろうか。

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ここ数年、長年日本で働いていた中国人労働者が中国に帰るケースが多いと聞く。中国が経済発展した結果、日本よりも待遇が良くなってしまったのだ。求人倍率4倍というと、同じような逆転現象が日本とシンガポールの間にも起こっているように感じる。

自国民の失業率を改善するため、2012年以降シンガポール政府は外国人労働者の数を絞ってきた。外国人を採用したい企業はたくさんあるのに、就労ビザが出ず、内定を複数持ちながら泣く泣く帰国する人もいる。その結果、必要な人材を確保できず、シンガポールから撤退する企業もチラホラ。

これじゃ本末転倒だと思うんだけどね。

さらに、今後は既に発行した就労ビザの更新も絞るらしく、2018年は大手駐在員も含め、在星日本人の帰国ラッシュになるだろう。シンガポールのオワコン化が止まらない。

そんな中、ビザの心配をしなくていい日本で、簡単に職が見つかるなら千載一遇のチャンス。日本で採用されて駐在員として東南アジアに帰ってくるのはアリな選択肢に思えた。

一瞬だけね。

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保育士不足とIT人材不足の根は同じ

確かに今、シンガポールより日本の方が職を得やすい状況にあるかもしれない。

でも給料はどうだろう。労働環境はどうだろう。

売り手市場というから日本の転職エージェントのサイトで求人情報を覗いてみると、なんか年金税金を引かれると今より手取り額が下がりそうな案件、そして給料は良いけど要求水準が高く、なおかつめっちゃ忙しそうなポジションが並んでいた。

ってか具体的な業務内容と勤務先住所が明記されてないのはなんでなんだぜ?「勤務地:大阪もしくは東京近郊」とかナメてんのか。勤務地も絞れない段階で求人を出すな。素人か。

要約すれば「どこでもなんでも出来る安い人材、大募集!」そんなのばっかりだ。

そもそも理系大学には必ず電気情報系の学部がある。技術系の高専や、ITに特化した専門学校だって沢山ある。一億人口がいる国で、これで人手不足っておかしくないか。

思えば人手不足なのに「誰にでも出来る仕事」とか揶揄される国家資格業、保育士だってそうだ。資格と能力を持つ人は沢山いるのに、労働環境と給料が劣悪で、あえて保育士として働くメリットがない。

IT業界も同じなんじゃないか。

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人月工数で見積もり出すのを止めろ

シンガポールの米系IT企業に転職してビックリしたのは、派遣や請負がいないこと。全員自社の正社員。そして自社製品を作り、自社ブランドで売っている。

そして年次という概念がない。僕の同僚には新卒から50代のオバちゃんまで、民族性別宗教問わずいる。だから求人に年齢制限がない。具体的に示される必要スキルがあるなら、具体的に示された場所で、具体的に示された給料で、その通り働くことができる。

「30代半ばだから」転職出来る最後のチャンスとか思った自分が恥ずかしくなる。

日本のIT企業のガンは「人月」「工数」という概念であると断言できる。自社が誇るブランドとクオリティがあるなら、その製品に対して値段をつけられる。「保守1件なので100万円です」と。そこにどれだけ専門的なプロを投入するかが経営手腕と言える。

それが出来ず、投入した労働者の時給で請求額を出すなら「ウチは人貸し屋なんで独自の技術はありません」と宣言しているようなものだ。人月ビジネスは、単価が同じ労働者がみんな同じ能力を持ち、入れ替え可能な部品である時、初めて成り立つ。でも実際のIT人材は職人だ。1人1人個性があり、得手不得手がある。

そこで一様に商品棚に並ぶ「IT奴隷」になりたいか。

IT人材不足は、専門分野も経歴も違う人たちを、十把一絡げに労働時間で売ろうとする「悪しき商習慣」が招いたビジネスモデルの破綻だ。破綻した業界で敢えて働こうとする人は少ない。

昨今、世界のIT業界はますます少数精鋭化している。

にも関わず、日系IT企業のマネジメントは相変わらず無能なおっさんが占め、改善の兆しはない。台湾企業に買収されて一撃で黒字化することからも、日本人経営者の無能が証明されている。

日本のIT業界が人手不足なのは、時代遅れのビジネスモデルを脱却できない「オワコン企業」が淘汰されているに過ぎない。