住みやすい国とはどんな場所か

「どこの国が住みやすいか」ってのは在外日本人定番のお題。

西欧やアメリカに憧れを持つ人が多いけど、はたしてそこが住みやすいかと問われると、皆しばらく考えこんでしまう。それで、カナダだ、いやオーストラリアだ、北欧だ、一周まわって日本も意外と…などなど喧々諤々するんだけど、結局答えは「人によるね」ってところに発散していく。

このお題でシンガポールほど意見が別れる国も珍しい。

ユルくて居心地良い、おカネがあれば住みやすい、全てがコスパ悪く住みにくい、たとえ住みやすくても退屈、もう耐えられないから来月去ることにした! ←えっ!

こんな風にシンガポールの住みやすさについては肯定派と否定派にキッパリ別れてかなり盛り上がる。

住みやすさについては、まずインフラ面と文化面を分ける必要がある。

インドネシアやベトナムは魅力的な国だけど、首都空港に電車が繋がっていないんじゃ出だしからタクシーとガチンコ勝負になる可能性がある。ジャカルタやホーチミンの無限渋滞には辟易するし、インフラが整っていないと一撃で生活の質が下がる。

じゃあ逆に息苦しいレベルに正確な公共交通機関があるのに、なぜ僕は日本でかくも生き難いのか。今日はこっちの文化面に絞って、あくまで僕の価値観で住みやすい街について考えてみようと思う。



無駄なルールが少ない国は住みやすい

僕はゴミ出しができない。

無駄に高齢者が元気な日本には、ごみ集積所の監視に余生を捧げる暇な老人がウジャウジャいる。僕はゴミ爺・ゴミ婆と呼んでいた。

僕は毎朝ゴミ爺に怒られる。分別が出来ないのと、ゴミの曜日を間違えるからだ。

ゴミの分別って狂気の沙汰だ。アルミ缶とスチール缶はまだしも、じゃあカセットコンロのボンベはどうするって話。ビンの色別けもヤバい。洋酒の瓶ってのはカラフルだ。この青とオレンジの瓶はどうするんだぜ?

ある朝、束ねた古紙の縛り方を怒られたときは、逆ギレしてゴミ爺を来世でサナダムシにする呪いをかけたくらい(=^・・^#=)

さらに、僕は火曜日と金曜日がゴッチャになる。何故だかわからない。明日は土曜日!とウキウキでいると、まだ火曜日で絶望したり。ちなみに英語で暮らすようになったら、今度は火曜日と木曜日もゴッチャになる。

もうダメだ。脳がバグってるとしか思えない。

日本社会は全員が高いIQもっていることを前提に設計されている。格安SIMのアクティベーションから確定申告まで、嫌がらせとしか思えないほど複雑。だから曜日や空きビンを認知できないパッパラパーは、日本でとても生き難い。

そこいくとシンガポール社会は僕みたいなアホにも優しく設計されている。

ゴミ箱にさえ放り込めば、毎日どこに何時でも、袋にも入れずに生ゴミも乾電池も何でもゴッチャ混ぜグチャグチャで良い。結構キレイめなお姉さんが、フンって鼻水を直接ゴミ箱に噴射していることも。あまりにも自由すぎる。

もしゴミ爺がシンガポールを旅行したら、心不全でサナダムシになってしまうだろう。

そんなことはどうでもいいとして。

税制がシンプルすぎて税理士がいないし、SIMカードはただ挿せば使えるし、駅や公共施設は数字とアルファベットが読めればなんとかなるように出来ている。

無駄なルールが少なく、誰にでもわかりやすく設計されている国は住みやすい。



共通前提が少ない国は住みやすい

バックパッカーの聖地と言われるタイのバンコクだけど、長く滞在するとなかなか共通前提のシバリが強い社会だと気付く。

国王陛下への尊敬と仏教の教えが渾然一体となったタイの人たちの複雑な価値観。外国人はその殆どから自由ではあるけど、現地に溶け込んで楽しく暮らすなら彼らの価値観を忖度していく必要がある。タイで働くなら尚更だ。

宗教色が強い国はこの傾向にある。

ムスリムが多数派のマレーシアやインドネシア社会は、イスラム的価値観を体現している。そこで暮らす中華系の人たちは、シンガポールの中華系より熱心に宗教を信じていると感じる。仏教・道教・キリスト教とかね。そうしないとイスラム色に飲み込まれてしまうんじゃないかな。
宗教色が強い国からは「無神論者である」と容易く口にできない社会的圧力を感じる。

こうした宗教や風習に基づく共通前提が多い国は住みにくい。

一方で、シンガポールはローコンテクスト文化とでも言おうか。僕のように「クリスマス?正月?めんどくせ」みたいな人でも、何処の風習にも従わずに暮らすことが可能だ。

明るい北朝鮮・罰金国家などと言われるけど、常識的に振る舞っていれば怒られることはない。日本人がやらかすのはタバコのポイ捨てと駐車違反。あと酒に酔ったら暴力暴言と女性への接し方を注意されたし。僕が言うなってかな…。

シンガポール社会の共通前提をあえて言うなら「人に優しく」だと思う。

電車やバスでの席の譲り合い、老人や子連れへの気遣い。そういう小さな親切を街の至る所で目にする。まぁ「当然助けろお前!」という「横柄な弱者」がいる問題もあるんだけどね…。

いずれにしても「人に優しく」と心の片隅で意識していれば、シンガポールで楽しくラクに暮らせる。

共通前提がユルい多文化共生国家は住みやすい。

価値観は人それぞれ

結局、価値観は人それぞれ。人によって幸せを感じる国は違う。

刺激は要らないからとにかくユルくラクに生きたいならシンガポールはかなり住みやすい。情に厚いタイ、厳格な戒律のイスラム諸国、非日常が好きならインフラが整っていない国もアドベンチャラスで楽しいかもしれない。

そりゃたまに愚痴りたくもなるけど、外国人として住まわせてもらっている分際で、現地の文化や人に文句ばかり言うのは失礼だよね。最近僕もシンガポールをディスり過ぎた感があり、ここらで中和する記事を書いておいた。

免罪符免罪符。

今後も自分にあった国で楽しく暮らしていきたい。