獲得したスキルの値段を知りブラック企業を駆逐しよう

Udemyというオンライン学習プラットフォームにハマっている。

ここでは得意分野について自分の授業をビデオに撮れば、誰でもそのコンテンツを学びたい人に売ることができる。つまり誰でも先生になれるわけだ。例えば僕が習っているウェブデザインや機械学習についての講習で言えば、その道で実際に働いている人から直接ノウハウを学ぶことができる。

Udemyを始めて驚いたのは、講座のジャンルを問わず、今から学ぶスキルをどのようにしてお金に変えれば良いのか説明する講師が多いこと。どのように料金を決めれば良いのか、どのように顧客に請求すれば良いのか。そんな具体的な指南。

こうした講座には、その道の「プロとして稼ぐ」という明確なゴールが定められている。

例えばカナダ人が教えるウェブデザインの講座ではこんな感じ。

「僕は最近獲得した顧客に、作業1時間あたり8000円請求している。相場がわからないなら、条件を入力すると適切な見積もり額を提示するサイトをこしらえたから使ってくれ」

時給8000円…。

今の自分にそんなスキルは無い。もっと安くていいから細々とやりたい。骨の髄までデフレが染み付いた身としては、ついつい逃げ腰になってしまう。

ところが世界で戦うには値段を下げてクオリティーも下げるのではなく、業界の相場を満たすスキルをきっちり身に付けなければならない。ウェブデザイナーとして身を立てるならば、1時間で8000円の価値を生み出さなければいけないんだ。

それがプロとして食べていく覚悟と言える。

報酬や役職はご褒美ではない

何かを学ぶときに、そのスキルがいくらで社会に売れるのか意識する人は少ない。文学部と経済学部。理学部と工学部。得られる知識と卒業後の年収が明確に変わってくるにもかかわらず、偏差値や学校の立地なんかで専攻を決めてしまう。

この原因はスキルにまつわるお金について、誰からも教えてもらえないからだろう。

フランス文学や天文学みたいな稼ぐことを前提としていない貴族の嗜みならまだしも、僕など庶民の学問である工学部卒なのに、習った技術をどうお金に変えるのか、この技術はいくらが相場なのかという授業は記憶にない。

自分が会得した技術の相場を知らぬまま社会に出ると、会社が勝手に作った給与規定で、せっかく身に付けたスキルを二束三文で買い叩かれる。そしてそれを理不尽とも思わない。

これは日本だけじゃなく、シンガポールでも同じだ。

大したことないスキルを高く買えという意味で、まぁ状況は真逆なんだけどね。

米系資本の多国籍企業である僕の勤務先では、いろいろな国籍の人たちが働いている。そしてその中には出世欲がとても強い人もいる。

ところが実際上司に媚へつらってやっとこさ昇進しても、程なくしてクビになる。これは給料が上がった分だけ求められるスキルも高くなったのに、それを満たすだけの結果を出せないからだ。

給料が上がる以上、当然要求される水準も上がる。

特に管理職は、マネジメントという学問を修める必要がある専門職だ。これを意識せずに昇給と肩書きだけ求めて現場から昇進しても、管理能力の欠如により職責を満たない。現場で実績を出すのと、現場をコントロールして実績を「出させる」のは全く別のスキル。そこには「もしドラ」のような具体的なスキルと知識が必要。

生産性が低い日本企業がバタバタ潰れてるけど、効率重視の外資企業も良いことばかりじゃなかった話
ExcelとWordのマクロを駆使して業務改善(手抜き)するのが得意なんだけど、新卒で入った会社で先輩が三ヶ月手作業でやってたのを1日に落とし込んだら「先輩のメンツを潰した、3人月の工数が客先から...

米系企業は社員を性悪説で取り扱うので、窓際や閑職といった降格はありえない。逆恨みして会社に悪影響を及ぼさないように、ヘマした社員は瞬殺でクビになる。

日本に限らず、昇進や役職を頑張ったご褒美だと考えている人がまだまだ多いのだろう。

同一労働・同一賃金

そんな実力主義の働き方を追求すると、同一労働・同一賃金の原則に行き着く。スキルにわかりやすく値札が付いていて、それを誰がどのように達成するかはどうでもよいのだ。

ところが日本の伝統的な企業社会では、真逆にことが進んでいる。

賃金の差はその人が何が出来るかかではなく、正社員と非正規、元請けと下請け、日本人と外国人といった、もはや近代の身分制度だ。

安く使えれば良いという低いモラルでマネジメントした結果、得難いスキルを安く使い潰し、結果、得られる成果物もレベルが下がっている。

メイド・イン・ジャパン信仰など、まさに根拠のない信仰にまで堕ちた。しかも信ずる者が救われるとは限らない

貴重な才能を低賃金で使い潰して長期的成長を毀損し、この損失が積み重なり全体が地盤沈下しているのが日本の企業社会だ。

スキルの相場を知りブラック企業から身を守る

などと、僕ごとき無名がいくら文句を書き殴っても社会は変わらない。それより自分が変わった方が近道だし、楽に理想を達成できる。

確固たる専門スキルを持ち、その技術がいくらで売れるのか世界の相場を知る。

そうすれば企業と対等に交渉できる。それでもまだ企業がスキルを買い叩こうとするならば、明確にその企業がバグっている。

でも大丈夫。

確実に換金できるスキルを持っているなら、そんな割りに合わない社会に堂々と三行半を突きつけられる。会社との給与交渉が決裂しても、その道でフリーランスになればいい。地盤沈下している伝統的な日本社会で難しいなら、海外に出て外資に転職することも可能だ。

自分のスキルに1円でも高く値をつける社会に、国境を越えてサクッと移住できるのが21世紀のグローバリズム。ブラック企業を1社残らず駆逐するためにも、スキルがある者から理不尽な環境を脱出しよう٩꒰⍢ ꒱۶⁼³₌₃