パスポート取得している日本人はたったの24%と言われる。そんな中、さらに日本を飛び出して海外に住んでいるのはわずか1%止まり。
在外日本人はまだまだ少数派。
しかもその殆どは外国人と結婚して移住した人と、会社の命令で海外に赴任した駐在員と考えられる。だから自分の意思で海外に職を求め移住したいと思っても、圧倒的に情報が足りないのが現状だ。
そして単身海外に挑戦したその先のキャリアというのはもう殆ど情報が無い。
このシリーズでは海外現地採用を経験し、日本に帰国した人々にスポットライトを当てる。海外就職したからと言って、そこに骨を埋める必要はない。いつでも日本に帰国して海外の経験を活かした仕事に就くことも出来るんだ。
そんな人生模様を紹介することで、もっと気軽に海外に職を求める人が増えればいいな。
今日ご紹介するのは本場スペイン仕込みのスペイン語を武器に、メキシコで現地採用を経験した休憩中の旅人さん。その後バックパッカーとして南米を巡り、現在は帰国して九州で働いていらっしゃる。
メキシコ!まさに異色の経歴の持ち主。
現地採用というと東南アジアが多いなか、まさかのラテンアメリカ。凄いなぁ。これは面白い話をお伺いできそうだ(=^・・^=)!
それでは休憩中の旅人さんのインタビュー、始まります!
休憩中の旅人さんインタビュー
休憩中の旅人さん:はい、お疲れ様です。カンパーイ!
休憩中の旅人さん:語学はあまり興味ありませんでしたが、外国事情は興味ありました。地球儀を眺めて、色々な国や都市の名前を覚えたり、図鑑で世界の国旗を眺めているような小学生でした。
その後、小学校5年生の時に姉妹都市交流でオーストラリアに行く機会があって、それが初めての海外でした。外国人と交流をするのもほぼ初めてで、幼いながらに大きな刺激を受けたのを覚えています。
中学高校の間は特に何もなかったのですが、オーストラリアでの体験があったからか、英語はある程度は好きでした。でも1番好きだった世界史ほどではなくて、少し得意な科目、という程度でした。
休憩中の旅人さん:確かに小5であの経験をしていたのは大きかったなあ、と思いました。ししもんさんは初海外はどこに行かれたんですか?
その当時は仁川空港から長距離便に乗り換えるのが1番安かった時代なので、このときのソウルの体験はとても役に立ちました。
休憩中の旅人さん:あ、僕もオーストラリア以降最初に行った海外は、大学2年のときに、男2人でソウルでした!笑
それにしてもオーストラリアからのスペイン留学!!ラテン系の彼女でもできたんですか(=^・・^=)?
休憩中の旅人さん:そうですね、スペイン留学の話でした!大学に入ってから、第二外国語でスペイン語を取っていたんです。そしたら、2年生の夏休みに1ヶ月だけ英語を勉強しに行ったカナダのトロントで、大量のスペイン人やスペイン語圏の人たちと知り合って…
もう、彼らのノリとかフレンドリーさにハマってしまったんです。
本当に強烈な思い出です。帰国した次の日に、気付いたらスペイン語の参考書を買っていた程でしたから。笑
休憩中の旅人さん:学部には留学のプログラムはなかったのですが、大学自体にそういう制度があったので、それに乗っかって行きました。
休憩中の旅人さん:専攻は国際政治でした。
でも、カナダに行ってからは、それよりもスペイン語に身が入っていました…笑 それで色々と迷った挙句、実は就活せずに大学4年生の後期からスペインに行ったんですよ…^^
休憩中の旅人さん:確かに社会のレールから外れる感じはありましたけど、スペインに呼ばれているような気がして落ち着かなかったんです。
休憩中の旅人さん:それが語学留学なんですよ。
周りから見たら、なんで大学4年生にもなってわざわざ「遊学」してんの?って感じもあったと思います。でも自分としては「入り口は何でも良いから、しっかりスペイン語を身に付けて将来に繋げよう」とは思っていました。
スペインで現地人の仲良い友だちができたり、海外生活の楽しい部分がやっとわかり始めた頃に1年の留学が終わったんです。そしたら就活体制に入り始めた10月頃、たまたまメキシコの求人を見つけたんですよ。
休憩中の旅人さん:そうなんですよ!そのときは、スペイン語力もC1レベルが求められていて、ちょっと当時の自分にはハードルが高そうでしたが、すごく興味があったので先方に連絡をしてみました。
そしたら、ペーパーテストとスカイプでの面接を実施して下さり、最終的に採用されました。
休憩中の旅人さん:勿論スペインは大好きでしたが、まだ中南米は行ったことがなかったので、現地での生活にもすごく興味があったんです。
それに、好きなスペイン語で仕事ができるのは喜ばしいことだと思いました。スペイン時代のルームメイトがメキシコ人とパラグアイ人だったことも、影響しているかもしれません。
休憩中の旅人さん:こうやって振り返ると統一されているようにも見えますが、実はいつも行き当たりばったりです…笑
ちなみにメキシコでの現地採用はどのような職種だったんですか?
休憩中の旅人さん:職種は、日系自動車部品工場での通訳及び翻訳です。
休憩中の旅人さん:そうですね。基本的には会社が全部サポートしてくれました。日系企業の進出が相次いでいて、通訳系の職種は慢性的に人材難らしいので、ビザは下りやすいと思います。
その後、合計どれぐらいメキシコにいたんですか?そしてメキシコでの職場環境はどうでしたか?
休憩中の旅人さん:結局、3年半いました。メキシコは、僕が働いていた会社は仕組みやルールもそれなりにしっかりしていたので、環境は良かったです。ただ、メキシコは法律自体が結構ブラックなので、現地採用でも待遇が悪くて苦労している日本人は見たことがあります。
休憩中の旅人さん:さすがにそこまでではないですが、自分からすると日本に一時帰国するのも大変そうな給料だったり、休みが少ない、ということもあるみたいです。
ちなみにメキシコは中南米で比較的経済が発展してるわりに、最低賃金は最低クラスなんです。いくらだと思いますか?
休憩中の旅人さん:そうですね。当時は1日400円~450円くらいでした。
休憩中の旅人さん:そう!時給じゃなくて、日給なんです!!
休憩中の旅人さん:物価は、一般的な生活用品であれば日本の半分から3分の1程度でしょうか。さすがに最低賃金ギリギリって人は少ないみたいですけど、国民の6割は日給12ドル以下、なんて記事を読んだこともあります。
休憩中の旅人さん:そうですね。アメリカには約5000万人のラテン系移民がいると言われていますが、その7割ほどはメキシコにルーツがある人々です。
食事の物価ついては貧富の差が激しいので、150円程度でお腹いっぱいになれるし、逆に1人2000円以上出して食事をすることもあります。
僕は日本でウツ病になった経緯からアンチ日系企業なんですけど笑 メキシコに進出した日系企業は働きやすかったですか?
休憩中の旅人さん:現地の日系企業はメキシコでは比較的きちんとしている方だと思います。ただ、日本人駐在員を相手に商売をする代理店系の仕事は大変だとも聞きました。欧米資本も入ってきてますが、あまり関わりがなかったのでよくわからないです。
ただ韓国系の企業も結構あって、上司はとても厳しいけど給料は日系の倍だと聞いたことはあります。
同じ国の資本でも進出した国が違えば企業文化も違ってくるのは興味深いですね
休憩中の旅人さん:確かに同じ国の資本でも、進出国によって違いがあるのは興味深いです。異文化同士の反応の仕方が違うのでしょうね。
休憩中の旅人さん:治安は都市によりけりです。僕が住んでいたところは日系企業も多く、治安もメキシコの大都市では1番か2番に良いところなのですが、それでも強盗被害の話は聞きます。
個人的な肌感覚としては、危ないと言われているところに近づかない、夜道を酔っ払って1人で歩かない、程度に気を付ければ問題はない、という程度です。
ただ、日系企業や他の外資系企業が集積している他の都市では、強盗被害の頻度も高いようです。多分、最低限のことに気を付ければ大丈夫かとは思いますが、旅慣れてない人、海外慣れしてない人がいきなり行くと、慣れるまではちょっと大変かもしれません。
休憩中の旅人さん:それはマフィア抗争の激しいいくつかの州での話です。僕が住んでいたところでは全く聞いたことありません。アメリカとの国境沿いの北部に、そういう場所が多いようです。
休憩中の旅人さん:元々メキシコは3~4年くらいの予定で、その後についてはまた考えようと思っていたんです。南米を放浪しようと思ったのは、やはり興味があったからです。スペイン語も話せるし、メキシコに住んだ経験もあったので、そういう視点から各国を見てみたいと思いました。
休憩中の旅人さん:まあ、メキシコで大変だとかきついなあ、と思ったこともありましたが、良い部分も沢山あったので、そこはイーブンですね。最初から日本に帰ると決めていたわけではなかったんです。
ただ、スペイン→メキシコと来たので、そろそろスペイン語圏は離れてもよいかなあ、とは感じていました。それで一度日本に帰ってきたら、暫くはここでゆっくりしても良いかなあ?と何となく思ったんです。旅疲れや海外生活疲れもあったと思います。
そんなときに偶然今の仕事を見つけて、そのまま就職しました。
休憩中の旅人さん:まず生活としては、食事が美味しいし便利だし、この四季がある感じも懐かしくて良いです。あと、色々なところで日本はもう先進国じゃない、と仰る方も多いのですが、やっぱりメキシコと比べるとスムーズに行くことが多いしインフラも整っているので、暮らしやすいとは感じています。
休憩中の旅人さん:仕事は、またスペイン語を使っています。
休憩中の旅人さん:そう、スペイン語一本でここまで来てしまったことに不安も覚えつつ、まあそれが自分の道なのかなあ?と受け入れてもいます。今は日本と言っても職場自体は多国籍なので、すんなり入っていけたかな?と思います。ガチガチの日系企業だったら大変だったでしょうね。
休憩中の旅人さん:九州は地理的にも東アジアの玄関口ですし、東京や関西とはまた違って独自に国際的に発展している印象はありますね。
休憩中の旅人さん:滞在期間はまだわからないです。今の仕事で学べてることが結構あるので、それが楽しいです。でも、また海外にも行きたいし、やっぱりスペイン語圏以外の国にも興味があります。
休憩中の旅人さん:1つ挙げるなら、ドイツがすごく気になってます。
休憩中の旅人さん:僕も真っ先にビールが来ます!笑 あとは旅人が多いこと、製造業、サッカー…
休憩中の旅人さん:最高ですね!
語学は専門スキル
休憩中の旅人さんのインタビュー、いかがだったでしょうか(=^・・^=)!
語学は当然のスキルで海外を目指すならプラスアルファの専門性が必要と言われる。確かに英語についてはその通りだろう。
でも日本語ネイティブに話者が少ない言語なら、語学力だけで海外に出て仕事が見つかるかもしれない。そして帰国後もキャリアがつながる。
そんな希望を与えてくれる休憩中の旅人さんの人生。
僕も負けないように自分の道を進み、数年後にはドイツで一緒に乾杯したいな!