親の世代が出来ないことで成功を狙いに行く

子供の時はウダツが上がらないオトナの象徴だった「クレヨンしんちゃん」の父ひろし。

ところがいざ自分が彼の歳になった時、その存在に到底及ばない事実に驚愕する。

35歳で郊外に庭付き一戸建とセダンを持ち、専業主婦の奥さんに子供が2人犬1匹。その家計を支える650万円の年収。そもそも35歳の係長で650万円貰えるということは、お勤めの商社ってのも中堅以上なんだろう。

時代を言い訳にすることは出来る。

バブルを経験した世代とそれ以降では戦っている土俵が全然違う。日本経済がグングン伸びている状況では、企業の業績も良いし昇給しやすいだろう。

でも、父ひろしはただラッキーだったわけじゃない。適切なタイミングでちゃんと挑戦をしたからこそ、その結果として時代の成功をもぎ取ったんだ。

時代により挑戦する方向性が違う

クレヨンしんちゃんの設定によると、父ひろしは秋田県出身。

高校卒業後に上京し、その後商社に就職。慣れ親しんだ地元を敢えて離れ、忙しい都会で忙しく暮らす道を選んだわけだ。

地方から労働力を吸収し、日本は東京から豊かになっていった。このビッグウェーブに乗ることは時代にあった挑戦だと言える。そしてマイカーと庭付き一戸建てはその先にある成功そのものだ。

ところが今や人口が年々減って国の経済規模そのものが縮んでいく時代。東京は最早繁栄の象徴ではなくなってしまった。

時代によって挑戦する方向性は変わる。

そして成功のカタチも変わる。

もちろん結婚して郊外に家を持つような親世代と同じ成功を掴める人は良い。

でも昨今それはますます難しい。

商社に入りたくても入れない、昇進したくても空きポストが無い、結婚したくてもできない、子供を持ちたくても激務の仕事と両立できない、家を買いたくてもとても買えない。

これは没落先進国の特殊な事情だと思っていたら、イケイケ新興国シンガポールに移住してみても日本とほとんど同じ状況だった。

不動産バブルが半世紀続いたシンガポールの親世代と違い、最近は無理して家を買ってもローンが重くのしかかる上に値崩れして売りぬける事も難しい。外国人の労働力を活かして急成長した親世代の経済と違い、今や外国人は高学歴化したシンガポール人の職を脅かす存在になっている。

どこの国に産まれようと時代が移ろいゲームのルールが変わったにも関わらず、親世代の成功像にいつまでも固執するとジリ貧になる。もちろんそれでも運良く変わらぬ勝利を掴む強者はいる。

でもその影で夢破れた「社会的敗者」が大量生産される社会は幸福とは言えない。

この状況を避けるには、常にその時代の最新の「成功像」を求めることが幸せを掴む近道。古い価値観をいち早く捨てて時代にあった幸福に挑戦をするんだ。

グローバル時代の成功とは

じゃあ現代の幸せとは何なのかという話になる。

その答えは「人それぞれ」だ。

どんな場所にいてもインターネットにさえつながってしまえば世界中から欲しい物を買える。外国の外資企業に労働力を提供して対価を得られる。見知らぬ国のスタートアップに指一本で資本を提供して資産を劇的に増やすこともできる。

財サービス市場、労働市場、資本市場が国境を超えるグローバル時代。

そんな今の時代に全人類共通の幸福や成功は定義できない。

ここで注目すべきは親世代の幸福や成功も、その時代では最先端の生き方だったと言うことだ。

海外移住が自由にできなかった当時は、日本と言う国が世界の全てだった。だから東京と言うその中心出て行って全力で戦う事は、世界で戦うことを意味した。それがグローバル化した今では活躍の場が日本という1つの国を飛び出して、バトルフィールドが世界全体に広がったに過ぎない。

ならば親世代の昔にはできなかった今最先端の生き方とは何なのか。それを模索するのが有効だろう。

僕は具体的に次の3つだと考えている。

  • 場所にとらわれない生き方
  • 組織にとらわれない生き方
  • 人間関係にとらわれない生き方

父ひろしの若かりし頃は東京という日本の中心に行って精一杯頑張るのが正解だった。それが今では世界経済の中心に行って頑張る必要がある。しかもその中心は情勢によって刻一刻と移動している。

父ひろしの若かりし頃は大手商社に勤めてその組織の中で昇進していくのが正解だった。だけど今や大企業でも呆気なく潰れる。猛き者も久しからず。どの国のどの組織でも有効な技術や知識を身に付け、組織にとらわれない仕事をするのが今の正解。

さらに今や一緒に仕事をするのは日本人だけではない。世界中の様々なバックグラウンドを持つ人たちの中からビジネスパートナーを選び、自分のやりたいことを実現するチームを作る事が出来る。

こんな生き方ができるようになったはここ最近のことだ。

親世代が東京に働きに出る事は、現代では海外に就職することを意味する。そして親世代の大手商社は、現代の多国籍企業。さらに親世代が地方の方言を隠してがんばってNHKみたいな共通語を使う事は、今では日本訛りを隠してアメリカ英語で仕事をすることなんだ。

新しいゲームのルール

日本経済が上昇していた時代に生きていた人を羨む事は簡単だ。

でもゲームのルールはここ30年で完全に変わってしまった。この状況でノスタルジーに浸るのは残念ながら無駄でしかない。有効な戦略は、新しいルールをいち早く理解して有効な戦略を着実に実行していくことだ。

具体的には親世代が日本の大手企業に勤めるかのごとく、海外の多国籍企業に挑戦すること。そこで組織にとらわれない専門性や技術を身に付けること。さらに文化が違う世界中の人たちとそれを実現する行動力。

新しいゲームのルールに最適化した人生を送り、当時の父ひろしのような幸せをもぎ取りたいものだ。