パスポートがない!
今日の昼の便で2週間日本に帰国するんだけど、渡航前は大抵てんやわんやだ。
とは言えもはや毎度のこと。そんな焦る必要はない。シンガポールの外に出るときにもっていくアイテムは限られている。家も狭い。
結局今朝もう一度パスポートを捜索したら、ベトナムからの帰国便で着たダウンジャケットのポケットに入ったままグニャグニャになっていた。
これで祖国に帰れるぜ(=^・・^=)♬
ってゆうか、そのダウンジャケットがうっすらと白くカビていたのに、パスポートって絶対にカビが生えないんだよね。濡らして放置してもフニャフニャになるだけで絶対カビない。
恐るべきジャパニーズ・テクノロジー!
絶対にカビないパスポートの技術も、社畜がサービス残業して開発したんだろうか。
追憶の祖国
日本で暮らすのが嫌で海外に出たくせに、なんで2週間も東京にいるのか。せっかく長い休暇を取れたんだから、日本の用事をさっさと切り上げて台湾あたりでのんびりしたらどうだ。
本当にその通りなんだよね。
日本のいろんな風景が様々なトラウマにつながっている。
学校のチャイムを聞けば子供時代の恥ずかしい失敗がフラッシュバックしてくるし、新宿のオフィス街に行くとガラス張りのビルに過去の自分の苦しんでいる姿が見える。
それでも今回、僕は2週間東京にいるつもりだ。まぁ耐えられなくなったらピーチで台湾に逃げるかもしれないけど。
それは日本で暮らす記憶を更新するためだ。
日本社会についてブログで言及することが多いにもかかわらず、僕が覚えている祖国の情景はもう10年前のものだ。
海外に出て6年。その前の3年間はうつ病のどん底でめちゃくちゃだった。うつ病になると認知能力や記憶力が壊滅する。この期間に何があったのかは正直あまり覚えていないし、かろうじて覚えていることも客観的な事実に基づいているか怪しい。
だから僕がブログで書く東京の風景は、もう10年近く時間を止めたまま。
これが最近文章を書いていてとてもストレス。
もちろん日本のニュースを追いかけているけれど、いろんなところに新しい施設ができたり制度が変わったり、昔は空気のように当たり前だったセクハラやパワハラが原因で高級官僚が辞任したり。
働き方改革やプレミアムフライデイみたいな制度が出来て、実際にサラリーマンの生活が変わったのか。飲み屋の雰囲気は昔のままだろうか。スーパーのお惣菜の値段は僕がお世話になっていた頃と変わらないだろうか。
そんな日本で暮らす日本人なら誰しも空気のように知っている社会のパラメータを、僕は共有していない。
日本に2週間住んでみる
今回の帰国は今年亡くなった祖母を弔いに墓参りに行くのが大義名分。
女性にもかかわらず太平洋戦争で陸軍に志願し、当時珍しい女性の技官としてフィリピンで終戦を迎えた彼女。
そんな勇猛果敢な彼女ももう10年以上認知症を患い、めったに顔見せない僕はおろか、介護する親族すら誰も認識することができなくなっていた。だから肉体としての祖母が亡くなってしまっても、初孫として認知してくれなくなった時に比べればショックは少ない。
というわけで今回僕は、2週間東京で暮らしてみるつもりで帰国する。
東京で暮らす人たちが何を感じどのような生活をしているのか。10年ぶりに生きた日本の空気感を更新しに行く。
だから特に何もしないつもり。
実家で寝泊まりしてチャンスがあれば旧友に会いに行く。そんなイベントがない日は街に出て本屋を覗いたり、赤ちょうちんで飲んだり、東京郊外の人がするような何気ないことをしたい。
よし、そろそろタクシーを呼んで空港に向かおうかな。