アジアの同僚たちが全く貯金してないことがレイオフで判明した

部署の閉鎖により僕を含む30人以上が職を失うことになった。

それで同僚たちはすっかり就活モード。そろそろ書類選考にいくつか通っていよいよ面接が始まるらしく、先週の木曜日など先輩も同僚たちもみんな仮病で病欠。連休前に転職活動の駒を進めるべくみんな必死なんだろう。

そんな差し迫った状況だからか、わざわざ僕のところへやってきて求人情報サイトで見つけた日本語話者や日本人指定の案件を教えてくれる親切な同僚もいる。

それなのに僕ときたら働く気が全然ない。

良い話があればシンガポールに残ってもいいかなと思うけど、非常階段で昼寝が出来るような仕事がこの世知辛いご時世にあるとは思えない。それに会社都合なので退職金も割増しで出るらしく、差し迫ったお金の心配もない。

むしろその泡銭を使って三十路バックパッカーをやってやろうと思っているくらいだ。そんな旅の計画を話すたび、同僚たちは口を揃えてこういう。

「退職金を旅に使っちゃって次の仕事が見つからなかったらどうする」

そしたら虎の子の貯金を切り崩して必死に仕事を探すさ。いろんな国で1年くらい職探しすればなんか見つかるっしょ。

「1年暮らせる貯金があるのか。そりゃいいな」

え!? 逆にみんな貯金ないの?

ヤバくね(=^・・^;=)

アジアの現地採用は親が太い

特にタイやベトナム、フィリピンからやってきた同僚たちは、同じ現地採用にもかかわらず全然貯金をしていないようだった。月の給料を翌月までに全て使ってしまう自転車操業。

海外現地採用は職を失ったが最後、その国に滞在することができず世界規模で路頭に迷うリスクを孕む。だから一定額の貯金を持っていることは最低限の保険だと思ってたんだけど。

チャランポランな僕からしてもちょっと考えられないほど能天気だ。

でも同僚たちの話を聴くと、どうやら彼らは貯金しなくても良いようなもっと確実な保険を持っているようだ。

そう、親が太いのである。

例えば部署に対する風当たりが怪しくなってきた当初、清華大学に入ってMBAを取ると言い残して辞めてった中国女子がいた。

清華大学といえば北京大学と(立地的にも)並ぶ、泣く子も黙る中国の名門校だ。彼女はキャミソールで出社して来るような絵に描いたようなキャピキャピギャルで、ぶっちゃけあまり賢いイメージを持ってなかったんだけど。それだけに思わず「チンファ?!」と二度聞きしちゃった。彼女は中国産のビリギャルってヤツか!?

すると別の中国人同僚がボソッと。

「彼女は地元に戻るのさ」

えぇっ(=^・・^;=)

つまりコネってこと?今の時代にそんなことが可能なのか。清華大学は13億人から選ばれし特に理系の天才が集まる最高学府なのに。でも調べると中国の大学には正規の運営とは別に、どうやら共産党系のマネジメントも組織されているらしい。

なるほど、共産党地元幹部のご子息だったのね。薄給の弊社でプリティでキュアなキラキラ女子を演じられたのはそういうことかい!

うらやましい(=^・・^=)!

でもぶっちゃけ、そんなのはビリギャルだけではない。

旧共産圏だったつながりからかベトナム同僚女子は退職後はロシアに留学すると言うし、香港男子はシンガポールを離れてイギリスで家族のビジネスを継ぐと言う。

他にもしつこくキリスト教を布教してくる韓国男子がいると思ったら、モルモン的な韓国起源の新興宗教幹部の息子だったり。それで実家の住所をストリートビューで見たらソウル市内の緑地公園に隣接した豪邸だった。

ヤバい(=^・・^;=)

そんなふうに国籍を問わずシンガポール現地採用アジア人には親が太い人が多い。僕はそんな上流階級の人たちと働いていたのか。

僕はこんなんで良いのか

清華大学MBAの彼女ほどあからさまにコネを使って栄転帰国する人は稀だ。

それにしても必死に転職活動をしてシンガポールにしがみつく人も、その多くは太い親族の後ろ盾がある。地元の盟主って感じ。だから彼らがシンガポールしがみつく理由も、金銭的に親族に頼って自分のメンツが傷つくのが嫌という理由が強そうだ。

それに比べ僕ときたら。

当然年老いた両親に頼ることなど毛頭考えていないし、そもそも不可能だ。それにも関わらず労働意欲もない。

ないないずくしじゃないか。

必死に転職先を探し回る同僚たちを見ていたら、比べてもしょうがないのはわかっているのに自信を失ってしまった。我ながらメンタルの浮き沈みが激しいヤツだな笑

でもまぁ、ない袖は振れない。

働きたくないうちは良い仕事など出来ない。

とりあえず退職金の半分を使うまで世界を放浪して、その過程でいくつか作品をネットに公開しよう。ここまできたら腹をくくってやりたいことに集中しよう。ウェブ系のエンジニアとブロガーとして、僕は自力で生計を立ててみせる。