恐縮しちゃって良いサービスを楽しめない

日本のコンビニでお釣り受け取る時、レジのおねぇさんが手を軽く添えてくるやつ。

あれ。

僕はあれがどうしても苦手で、コンビニでは必ずApplePayで払い「レシート要りません!」と言い捨てて足早に退店する。これだけ聞くとひどい潔癖症のようだけど、実は真逆で「うわぁ僕の手はさっきトイレの後洗ってないんでぇぇ汚いですぅぅぅ(=^> <^=)」って感じ。

そこは手くらい洗っとけって話なんだけど、それ以外にも僕は「真人間」のクオリティを満たしていない部分が多々ある。自分の汗臭さが移らないか心配なので服屋で試着するのに躊躇するし、床屋にいくとタバコを吸ってそうな風貌の男性スタイリストに当たるようトイレに立ったりして順番待ちを調整する。頭の臭いに顔をしかめられたら嫌だからだ。

いちおう毎晩風呂には入っているし、客観的にみて僕はそこまで不潔な人間ではいかもしれない。それでもたまに自分の体臭に自分で絶望したりするので、僕に関わる人にはそんな風に幻滅してほしくないんだよね。

そんな風に嫌われることを異様に恐れるのをいい加減止めたいと思っているんだけど、これがどうにも上手くいかない(=^・・^;=)

良いサービスに恐縮しちゃう

ヨーロッパ諸国にいくと特に顕著だけど、良いサービスを受けるには客側にも然るべき立ち振舞いが求められる。例えばドレスコード、フォークを使う順番みたいなテーブルマナー、ナプキンの使い方、ギャルソンの呼び方、チップの払い方。そんなある種の様式美をキッチリ踏襲することで「自分はこの店にふさわしい人間である」ことを示し、店側もそれに答えて相応のサービスを提供する。

当然、お客様は神様ではないのだ。

ちなみに現地の常識であるコレを理解せずヒンシュクを買う日本人観光客は多く、レストランで勝手に空いている席に着いたり、大声でウェイターを呼んだり、チップをケチったり…。ヨーロッパでそういう姿を目の当たりにすると、日本人を礼儀正しい民族だと思っているのは残念ながら日本人だけかもしれないと感じたりする。

でもさ、マナーってそんな簡単に守れないよね。

僕なんてじっと座ってるのが苦手だから食事中に貧乏揺すりしたり、メインが出てくるまでの間にナプキンで手悪さしたり…。あと面白い話題とかビックリした時に声が異様にデカくなる癖があって、手悪さに失敗してスプーンを床に落とした時など「うぁ!!」とか咄嗟に叫んで店中の注目を集めてしまい、あの時はマジで穴を掘って入りたかった。

だから良いサービスを提供する場所に行くと「いや僕にその資格ないんで放っといてくださいぃぃ(=^> <^=)」って気分になる。

高いレストラン、星付きホテル、空港の有料ラウンジ、フルサービスの飛行機…。そういう場所は僕にとって居心地が悪い不快な空間だ。

プロにお願いすることを学ぶ時

そんなんだから移動にはいつも格安航空会社LCCを使う。マイルとか早割とか面倒くさいシステムがなく、チケットの値段が全てなのもわかりやすくて良い。

でもたまに事情があってフルサービスの飛行機に乗ると、スッチーがなんでもやってくれようとするのに恐縮する。例えばビールが飲み放題だからそりゃ何回もおかわりするわけだけど、3本目くらいからだんだん恥ずかしくなってくる。もうキャビンの冷蔵庫から取り放題にしてほしいな。そうすれば僕だって空の旅を楽しめるのに。

サービスを受けるのが苦手だから、僕は多少無理してでもなんでも自分でやってしまおうとする。ちょっと工夫したりクオリティを我慢すれば自分でも出来ることを、わざわざ他人の手を煩わせてやってもらうのが心苦しい。

ところが段々年齢とともに人生のステージが上がって、そうも言っていられなくなってくるだろう。

例えば親の介護が始まったら、素人の僕がすべて自分でこなすことは不可能だろう。身体が不自由になるより先に脳の寿命が来てしまう昨今の高齢者は、なんの知識も技術もない素人が片手間に介護できるものではない。晩年に認知症を患った祖母を見てそう感じた。

だから近い将来そういうことになったら自分で無茶して年老いた両親を怪我させるより、良い施設やヘルパーさんを探してキチンとおカネを払えるだけの収入を確保する方が得策だ。

いつまで経っても実年齢に精神年齢が追いつかない。だけど、そろそろプロにおカネを払ってお願いすることを学ぶ時なんだろうな。