僕は半ば本気で発達障害の本質は睡眠障害なんじゃないかと思っている。
1ヶ月に3日くらいはよく眠れる日があるんだけど、そういう日は普通に頭が働くし人が多い場所にいって騒ぎたいとさえ思う。要はちゃんと寝られさえすれば「普通の人」になれる気がするんだ。特に会社をクビになって僕が苦手とする勤労から開放された今、この思いは確信になりつつある。毎晩よく寝られればいつもハツラツと活動的な人生を送れるんじゃないか。いままで抱えてきた困難や劣等感をまるごと全部解決出来るんじゃないか。
ところが夜になり目を閉じると、この期待は失望に変わる。
ザワザワ…。ザワザワ…。
将来の不安、今日あった出来事、日本の友達との思い出、ブログ記事のアイデア、「クサイξ」と「プサイψ」って何の物理変数に使われてたっけ…。そんな脈絡のない考えが次から次へと意識をジャックしては消えていく。これじゃ寝られない!そう思って何も考えないように試みるも、持続するのは2秒くらい。呼吸でさえ別の意識の引き金になっていつまで経っても脳が自由にならない。
ふと時計を見ると午前2時。寝ようと試みてからもう2時間も経っている。
絶望。
翌朝仕事がない無職で良かったと安心する一方、このまま真人間から外れた生活リズムでしか暮らせないなら人生の可能性が先細っていくばかり…。
そんな危機感からもう長いこと睡眠関係の本を読み漁ってるんだけど、どれもイマイチ参考にならない。っていうかこの世の快眠法はそもそも生ぬるいんだよ。「健康な人がグッスリ寝るためは」みたいなのを、物心が付いた頃からの重症不眠症の僕が参考に出来るわけがない。
ってかぶっちゃけもはやグッスリ寝たいわけじゃないんだよね。
そう60点。
なんとか合格ラインを超えて、明日1日「真人間レベル」を保って生き抜けるだけのエネルギーを貯めたい。そのために60点の睡眠を毎日ベッドで苦悶することなく自動的に得たいんだ。苦労しても30点の睡眠しか得られず、目覚ましを鳴る前に止めてミシミシいう心臓に鞭打って起き上がるような朝を改善したいだけなんだ。
そんな「発達障害のための」「もはや昼職無理な人のための」100点満点を無理して目指さない睡眠法は無いのだろうか。
何も考えずに寝る練習
睡眠って食事排泄くらいド基礎な生理現象にも関わらず、どうして満足に寝られない人がこんなに多いのか。Kindle書籍で「不眠症」「快眠法」などと検索するたび睡眠に関する本の多さに圧倒される。そんな掃いて捨てるほどある巷の快眠法をのべつ幕なしに取り入れていたら結局続かないし、しかも玉石混交ならまだ良いのだけど僕に合った方法に出会うことが出来ずにいる。
こうなったらもう自分で自分にあった睡眠法を確立するしかない。翌朝のコンディションを気にせずに睡眠障害に取り組める無職の今こそ、スッと寝られる独自の手順を研究するのに打ってつけだろう。
そう思いたち今月実践しているのが次の3つ。
Earwormを駆除する
瞑想に取り組んだり呼吸法を実践したり色々努力したけど、ザワザワと意識を支配して放さない雑念をシャットアウトすることは諦めた。僕の脳は騒がしい。これはもう死ぬまで治らないんだろう。
でもこの雑念を観察すると、バックグラウンド再生されている音楽があることに気づく。いわゆる音楽が耳について離れないってヤツ。ただ僕の場合は寝るときでさえ音楽の脳内再生が止まらない。日本語でこの不快な現象を表す言葉はないと思うけど、英語では耳の虫「Earworm」というらしい。
脳内再生を止めるのは簡単ではないけど、それでも雑念を意識から排除するよりは出来る気がする。
僕の場合はぜんぜんジャンルの違う音楽を思い出すか、イヤホンで静かなホワイトノイズを聞くことで再生を止めることができる。波の音とか瞑想音楽とかね。
Earwormを駆除するだけで脳のザワザワ感はだいぶ軽減する。
火照った体を冷やす
ぬるいお風呂に15分浸かりましょう、靴下を履きましょう、湯たんぽで布団を温めておきましょう。
そんな温める系の快眠法は僕には逆効果。おそらく筋肉量が多い男性は、冷えではなく逆に体が火照って眠れない。だから風呂は水シャワーのみ、冷房をつけっぱなしで寝ている。これだと風邪をひくので加湿器も併用。
それでも寝られない場合は水シャワーを滝行のように背中に当てて全身を冷やす。こうすると肩コリの不快感も軽減して寝付けることが多い。
脳みそジンジンに意識を集中
常に雑念でフル稼働している疲れなのか、ドーパミンみたいな脳内物質が詰っているからなのか、僕は目を閉じると脳みそがジンジンと痺れる感覚をおぼえる。発達障害持ちが全員この感覚があるわけではないっぽいけど、以前ブログに書いたら同じ感覚を持っている人たちに出会うことが出来た。そういえばなぜか全員女性だったな…。
その中のひとりSachiさんに頂いたアドバイスが、このジンジンする感覚に意識を集中して雑念を駆除するという方法。瞑想で雑念を消すときにマントラという短いフレーズを繰り返し唱えるんだけど、要は意識を雑念から逸らすためのスケープゴートであり、言葉でも感覚でもなんでもいいっぽい。
これは調子が良いときは効果を感じている。まぁもともと調子が良くて寝付きやすいことが大きのかもしれないけど、脳みそジンジンに意識を集中できる夜はよく眠れることが多い。
それでもダメなら寝酒と昼寝
30分頑張ってそれでも寝付けないなら、または途中覚醒して再入眠できないなら、僕は迷わず冷蔵庫に走ってビールを煽る。やがてアルコールが全身を駆け巡り、脳関門を通過して意識を侵食する感覚に頼って意識をシャットダウンするんだ。
当然翌朝のコンディションはスッキリ爽快とはいかない。二日酔いほど不快ではないけどやっぱり酒に頼って寝ると脳に異物感があって、ブレインフォグなのかモッサリと混濁した意識で1日を始めることになる。
そんな時は昼寝だ。
昼間眠くて効率が落ちたと感じたら時間を作って積極的に昼寝をする。仕事していたときも非常階段で隠れて寝ていたけど、仕事クビになった今なら好きなときに好きなだけ寝られる。無職はいいぞぉ(=^・・^=)♬
当然寝酒は睡眠の質を下げるし、昼寝は睡眠のリズムを狂わせる。そんなことは百も承知だ。そのデメリットに耐えてなお、トータルの睡眠時間を確保しないとマトモに人間生活を営めないんだよ。この世の快眠法は100点満点を目指しすぎだと思う。僕は今後も「発達障害のための」「時間に縛られない無職のための」60点を目指す睡眠法を身を挺して研究していく。