同じような生活をしている人々は同じような格好に収束する

平日の午前中はたいていカフェのテラス席でMacBookAirを開き、Unityでしこしこゲームを作っている。

僕は意識の高い無職なのでね(=^・・^=)♬

今日みたいに雨が降りそうで降らない朝はどこも席が空いていて作業にもってこい。常にクラブミュージックがズンドコしているシンガポールのカフェに慣れた身としては、少々ガキが騒ごうが日本のカフェは静かで楽園のよう。ただしWiFiと電源があればね…。

カフェのテラス席は人間観察するために存在する。まだ慣れないUnityに行き詰まっても、ボケーッと道行く人たちに目を移せば好奇心を刺激されて手軽に暇を潰せる。

自転車に幼稚園児を乗せたお母さん。ギャルを卒業しきれていないケバめのお姉さん…ごく自然にお姉さんと思ったけど良く考えたら僕よりずっと年下じゃん…。はぁヤバいよなぁ…。いやいや、まだヤバくない!黒いスーツのサラリーマン風の青年。重役出勤っすか。自転車に幼稚園児を乗せたお母さん。荷物コンテナを人力で押して配達に向かう宅急便のおっさん。お疲れ様です…。でもオフィス仕事より健康に良さそうですな。自転車に幼稚園児を乗せたお母さん…。

んん(=^・・^;=)!?

自転車に幼稚園児を乗せたお母さん、彼女はさっきから何度往復してるんだ!?しかも子供何人いるんだ。おそ松家か。

とかまぁそんなことあるわけもなく。当然、別の園児を送りにいく別のお母さんなんだろう。でもまるで入園規則できっちり決まっているかのようにみんな押並べて同じ格好をしている。電動アシストの同じ子供乗せ自転車、曇天なのに日よけ帽子を深めにかぶり、地味で薄手のロングコート、薄っすらと染めた茶髪、2人に1人は白いマスクをしている。

最近の意識高い幼稚園は生活指導の抜き打ちチェックでもやってるんだろうか。

制服化

でもちょっと考えればママチャリママの格好は理にかなっている。

最近は少子化対策なのか子供乗せ電動自転車に自治体が助成金を出すらしい。どうせ自転車を買うなら利用しない手はない。深めに被った日よけ帽子も、もしかしたら時間がない朝のすっぴん顔を隠すためかもしれない。脱ぎ着がラクで丈夫なコート、美容院のお任せにしたらこうなりそうな目立たず無難な茶髪。有給休暇がない専業主婦は風邪をひけない。予防のための常時マスク。

効率と合理性を突き詰めると、同じようなライフスタイルの人たちはみんな同じような格好に収束するのだ。

僕はこれと同じ現象を知っている。

僕が通った高校は指定の制服がなく、みんな思い思いの格好で登校して良かった。だからオシャレな女子はどこで手に入れるのか制服チックなブレザーとミニスカートを着回していたり、運動部はユニフォームのまま授業に出ている人もちらほら。教師も教師でユルくて、中二病が慢性化した茶髪のオッサンとかいた。

ししもんは当然ジャージ上下だったな。懐かしい(=^・・^=)♬

ポイントはオリジナル制服女子は卒業するまでオリジナル制服女子だし、ユニフォーム男子は受験で引退するまでユニフォーム男子なのだ。僕は陸上部を半年で辞めたのでジャージ男子からユニクロ男子に鞍替えしたけど。

こんな風に自由に何でも着ていい環境にも関わらず、自分のライフスタイルや価値観によって服装が固定化してくる。そして制服女子の周りには制服女子が、ユニフォーム男子の周りにはユニフォーム男子が集まってきてユルい「ギルド」が出来る。

この現象を「制服化」と呼ぼう。

ライフスタイルの合理性を突き詰めると、誰も強制していないのに同じような格好で同じような行動をするようになる。この自然な同質性に埋没している限り、毎日アレンジを考えなくても良いいし、所属するコミュニティの中で浮く心配もない。

「いつもと同じ」「みんなと同じ」はラクで無難なのだ。

同質化した集団でキャラを立たせる

自分の意志で行動しているにも関わらず、没個性的な存在として集団に埋もれていく「制服化」。

でもその一方で、人間は「自分とは何者であるか」を自問自答してしまう生き物。みんなと同じ、いつもと同じはラクでいいけど、その同質化した集団の中で自分のキャラを立たせる欲求が出てくる。

学校指定の制服女子高生が、缶バッジでデコったカバンにぬいぐるみを吊るすのが典型的。校則のシバリの中で個性を許されるのがカバンしかなくても、そこの枠の中で自分を出している限りは過剰に目立って集団から疎外される心配もまたない。例えば突然金髪ピアスにして呼び出し食らうような目立ち方をするよりも、校則の範囲で大人しく自己主張したほうが友達が出来やすいだろう。

エンジニアがおそろいの制服MacBookに思い思いステッカーを貼るのも同じような心理だろうな。

とまぁこんな風に、カフェのテラス席から道行く人々を眺めると好奇心を刺激されて飽きない。ちゃんと働けずに引きこもりがちなら、入りやすいチェーンの珈琲店で人間観察してみてはいかがでしょう。