大人のチック症/トゥレット障害とその対策

無職になっても将来の不安みたいな精神面の問題は尽きない。

それでも毎朝好きな時間まで寝ていられるというだけで明らかに身体はラクだ。というのも僕の体調不良のほとんどは満足に寝られないことに起因していたっぽく、サラリーマン時代に毎朝味わっていた心臓がバクバクしてシンシンと痛むような、あの明らかに寿命が縮んでいく感覚から開放された。連日の深夜残業をしたことがあるアラサーならこの有難味をおわかり頂けると思う。

やっぱり「勤労は寿命を縮める」「無職は健康に良い」と言わざるを得ない。

ただ、大きな問題が無くなると今度はいままで意識していなかった小さな不調が顕在化してくるものだ。ホワイト企業に転職しても職場の悩みが尽きないように。だから最近は、毎朝苦労して起き通勤電車で便意を催すのに悩んでいた頃には気にもとめなかった身体の不調をなんとかしようと戦っている。

電車が苦手な人集まれ!
いやー、今朝はヤバかった。 電車乗って2駅目を出たあたりで激しい便意をもよおし、次の駅で降りてトイレに駆け込んだ。ギリギリなんとか無事に間に合ったけど、冷や汗ダラダラ。 一難去ってまた一難...

そのひとつが幼少の頃から患っているチック症。子供の頃は長いことこれで小児専門の心療科へ罹っていた。中学生になって追い出されるまでね。

チック症っていうのは首や肩や人によっては全身を、突然ビクッと動かす病気だ。僕の場合は全身をすくめて頷くような動作が突然なんの前触れもなく起こる。人によっては他にも目をギョロッと見開いたり、強く目をつぶりこむような瞬きを何度もする人もいる。

あと音声チックと呼ばれるタイプもあって、これは「キャ!」「ワァァァ!」みたいな叫び声や、多民族国家では特定の宗教や民族を罵るような言葉を無意識に発する人もいるという。音声チックに関しては僕もたまになぜか「かわいくない!」ってなんの脈絡もなく発音することがあり、これが本当に音声チックなのかは診断が無いのでわからないけど、とりあえず周囲に女性がいるときは間違いなく気マズくなってしまう。なお、部屋に籠もって技術書を読んでいるときにも「かわいくない!」って言ってるっぽいので、特定の誰かや周囲のかわいいもの(=^・・^=)♬をけなしている訳では決して無いことをこの場を借りて表明させていただく。

今日は僕がもう25年近く困っているそんなチック症/トゥレット障害についてちゃんと文章にしておく。

フラッシュバック

チック症は原因不明の病気とされているものの、最近では遺伝的要因によりドーパミン系神経の働きが異常であることが併記されるようになってきている。あと、僕みたいに大人になるまで症状が残る場合はトゥレット障害と病名が変わるらしい。

ドーパミン…。またお前か。ADHD、不眠症、そして二次障害の鬱病に至るまで、僕の人生はこの脳内物質ドーパミンの不調に翻弄されている。

チック症は貧乏ゆすりとか髪をいじるようなクセとよく混同されるんだけど、僕の個人的な感覚としては首をポキポキ鳴らすのと似ている。あれってゾワゾワと肩周りに不快感が溜まってきて、もちろん強く意識すれば首バキせずにいることも出来るけど、半端ない不快感と常に戦わなくてはならない。そしてふと気が緩むと理性が誘惑に負けてバキバキやっているっていう。

あんな感じで僕の場合は両耳の上あたり、こめかみの奥の脳みそに綿を詰められたような異物感(脳コリ!?)を感じる。この脳コリがまるでアメーバのように増殖してゾワゾワと脳内を蠢いている感じ。不快極まりない。とはいえ脳コリがあるのは頭蓋骨の内側なので頭皮をボリボリ掻いたところで解決するわけもない。それでどうしようもなく頭を激しく振って刺激を与え、少しでも不快感を軽減しようとするんだけど…実際あまり効果はない。だからまたすぐに頭を激しく振りたい衝動が襲ってくる。この繰り返し。

そう、でも僕の場合は強く意識し続ければ発作的な首振りを一時的に止めることは出来るんだよね。意識がどっかへ行っちゃってハッと我に返ると身体が勝手に動いている、みたいに説明する人もいるからチック症の感じ方や程度にかなり個人差があることが予想できる。

あと僕の感覚と世間一般のチック症の説明が違うのは、フラッシュバックにも結びついている点だ。

フラッシュバックっていうのは過去のトラウマや恥ずかしい体験、友達や上司に言った(やった)失礼な振る舞いみたいな失敗が、これまた何の脈絡もなく意識をジャックしてウッ…って身体がこわばるヤツ。どのくらい脈絡がないかっていうと、彼女になりそうな女性と一世一代のデートしているっていうのに、小学生頃プールの授業で水着を忘れた時の情景で頭がいっぱいになったり。これがまたすごい鮮明で、当時の脳の状態がそのまま戻ってくる感じ。だから当然視覚や音もあって、僕を残して着替えを済ませ「地獄の水シャワー」をダッシュで通過しプールサイドに上がっていく同級生たちが見えて、そのうちひとりの女子がつけた名札ワッペンまで読める。

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このフラッシュバックでウッ…ってなるときにチック症のビクッという動作が乗っかってくる。

つまり僕の場合は純粋に脳コリの不快感を軽減したくて頭を振るときと、過去のトラウマにプラスして頭を含む身体がビクッと動いてしまう2パターンあるのだ。

そんなチックの症状が顕著だと言われている有名人が北野武氏や石原慎太郎氏で、ネットで検索すると不自然に身体をビクッと動かしたり目を強くつぶりこむような瞬きをしている姿をみることができる。どういう症状なのかピンとこないなら、そういう動画を見ていただくと四六時中こんな動作に苛まれる人生が結構しんどいことをおわかり頂けると思う。

チックになった小4の記憶

この発達障害ブログを書き始めてから、チック症みたいに今まで困ってきた症状についてネットで調べたりKindleで専門書を読んだりしている。その中でチック症は遺伝的要因によると知ったとき、僕は強い違和感を覚えた。なぜなら子供の頃にチックを発症した瞬間のことを鮮明に覚えているからだ。遺伝的要因なら産まれてしか死ぬまでなんじゃないの?知らんけど。

あれは小学4年生の秋くらいだったと思う。僕は校庭のウンテイの脇で田中くん(仮名)っていう友達とその夜の「ドラえもん」がスペシャルかどうかってな会話をしていたんだ。そのウンテイからは小学校の校舎に取り付けられている時計がよく見える…ハズなんだけど4年生になってからというもの僕には時間を読み取るのが難しくなっていた。

急速に近眼が進み1年足らずで0.4くらいにまで悪化していたと思う。

僕はこの事実を親に言い出せずにいた。

なんていうか親とか教師っていう生き物は「大丈夫?」などと白々しく聞いてくるくせに、実際に困っていることを相談すると怒り出すフシがある。「それはお前が判断を間違ったからだ」「去年も同じミスをした」そんな風に大人から糾弾されるってことは、つまり問題が2倍になるってこと。それなら近視でいくら困ってもそれを親に隠して独りで耐えた方がマシだ。

ところが視力はみるみる悪くなる。もうドラえもんがスペシャルだろうとテレビにかなり近づかないとストーリーを追えないだろう。でも親にバレるからダメだ。それにこの頃はもうまともに黒板を読むことも出来なくなっていて、二学期の通知表が出るときが僕の人生の終わりだな。

田中くん(仮)の話を聞きながら、僕は遠くに霞む校舎の時計をながめてそんな不安に駆られていた。

ウズウズ…

あれ?こめかみの奥に違和感を感じ、頭を手で触ってみる。異常はない。

ウズウズ…。

おかしい。目が疲れたんだろうか。何かがおかしい。目の次は頭の病気になってしまったのか…。あぁもう僕はどうしたらいいんだ…。

これが脳に異物感が初めて発生した瞬間だった。その後受験や就職なんかのストレスにより程度は変われど、この小4の金曜日以来、僕は25年にわたり頭蓋骨のなかに異物感を抱えて生きている。

不安とストレスを減らす

僕は批判されることを恐れる。そりゃ誰だって面罵されれば頭にくるし自身を失ってふさぎ込むこともあるだろう。でもそういうレベルではなく、こうして文字を打っている最中も間違ったことを書いて読む人を怒らせないか不安になるし、それならいっそ記事を上げないほうが良いかもしれないと思うレベル。

いままでも批判されることを不安に思い、行動を止めたことは数知れない。その一方で衝動を抑えられずフラッシュバックするトラウマを日々積みましているのだが…。

そんなことはどうでもいいとして。

どうやらチック症のビクッという発作は、僕の場合不安やストレスと強く連動している。なお極度の緊張にさらされると、あと発達障害的な過集中に入ると、発作はピタっと止まる。でもそれは未来からの借金であり、緊張がとけてふと安心した瞬間に堰を切ったように脳コリが暴れだすんだけどね。

でも成長してから気づいたのは、酒を毎日飲み続けていれば脳の異物感が大幅に改善するってこと。これはアセトアルデヒドがドーパミンの流れを一時的に良くするかららしいけど、まぁ二日酔いとか身体に負担をかける代償が伴う一時的な対処法に過ぎない…。それでも不安で仕方ない時に、コンビニでビールを買えば一撃でチック症が抑えられラクになるのは重宝している。酒が無ければ僕は今頃気が狂っていたかもしれない。

落ち着いていたチック症が断酒によって再発した
チック症をご存知だろうか。Wikipediaなどで客観的な定義をみると、ざっくり「身体の一部を何度も速く動かし続ける症状」ってな風に書いてある。これだけ読むと貧乏揺すりみたいに思えるけど、実は全然...

というわけで、チック症を根本的に軽減するにはストレスがない安寧な日々を送るしかなく、それは現代社会においては不可能だ。それでもストレスを少なくする生活を模索することは出来る。そしてその第一歩は、まず自分にとって何がストレスなのかを明確にしてひとつづつ人生から取り除いていくことだ。

僕の場合、まず毎日同じ時間に同じ場所に通勤して、同じ人と同じ仕事をするのが負担だった。だからもうサラリーマンという生き方をやめることにした。次はなんとか収入を確保して、貧しくも東南アジアでダラダラ暮らせればなにも言うことはない。

チック症は身体からのSOS何だと思っている。「いまの生き方、お前に合ってないよ」みたいな。だからチックが出たら人生を方向転換する合図として捉えて行動するのみだ。僕は幸せになってやる。