海外就職するなら日本に国力がある今がラストチャンス

「なぁ、東京の不動産がタダで配られてるってヤツ、あれってフェイク・ニュース?」

シンガポールに長年住んでいるフィリピン男子氏から突然メッセージが来た。彼はホステルでアルバイトしていたころの同僚で、無類のパーティ好き・女好き・カジノ好きという絵に描いたようなダメ男である。そんで彼の話を聴くに、なんでもFacebookでバズってた話によると日本では余った家が外国人にもタダで配られていて、それは首都東京でも例外じゃないという。

マジ!?どういうこと(=^・・^;=)

投稿しても1円にもならないTwitterとFacebookを辞めちゃった関係で、最近僕はSNSのバズりネタに疎いのである。
それで彼から送られてきた元ネタがコレ

あぁ…CNN、そういうことか(=^・・^;=)

日常的に英字メディアを読む人にとって、アメリカのニュース大手CNNは日本で言う朝日新聞的な立ち位置になってしまっている。これは事実を伝えるニュースではなくCNNが語りたいモノガタリなのだから、まぁ話半分に聞いといた方がいいよな…みたいな。だから特定の政治思想に強い思い入れがなくても「CNNってことは何か裏の意図があるんじゃ」と疑ってかかる感じ。

それでも腐っても鯛、没落経済大国ニッポンの首都で不動産がタダで手に入るとなれば、フィリピン人ダメ男氏は僕に事実を確認せざるを得なかった。なにせ彼はインバウンド需要を喚起する日本の政策でフィリピン国籍者の観光ビザ取得が緩和されるやいなや、さっそくその年に日本にやってきて、空港電車に乗ってきた女子高生集団の可愛さにすっかり魅了されてしまったのだから…。なお、好みの女性は小澤マリア嬢とのことである(=^・・^;=)

まぁそんな話はどうでもいいとして。この記事は長くなるから出だしからこんなペースじゃ終わらん。

さて、たとえ出処がCNNでもこの記事に関しては概ね本当なんだと思う。奥多摩の空き家をタダで譲り受けた一家が都心から移住して、チャリダー向けのカフェを開くという幸せ家族計画。彼らはラッキーだったわけじゃなく、人口が急速に減少していく日本社会では今後もっと空き家が増える見通し。その結果立ち行かなくなる集落や自治体も出てくると予測されていて、彼らが移住した奥多摩町も2040年に消滅する可能性があり、行政が主体となって空き家を活かそうと活動している。そんな空き家を手に入れる事ができるのは日本人に限られず、ニューヨークや中国、フィリピンから来た人もいる。そんな内容だった。

とりあえずまぁ、この話を「東京の不動産が無料で手に入る」と認識すると大変なことになる気がする。

記事に自費で修繕しなけりゃならんと書いてあるし、そもそも空き家の半数は荒廃したり土砂崩れの危険でもう住めないという。さらに古民家を活かした僻地のカフェで子供を養うほど稼ぐなんて普通は無理だ。あ、町が斡旋する空き家を手に入れるには条件がいろいろあって、子供がいることもそのひとつ。そんなんじゃ哀れな父ちゃんは往復5時間かけて都心まで通勤する羽目になりかねない。

ってかそもそも奥多摩を首都東京というのはフェイクだろう。…と思ってよく読んだら記事にそんなことは書いてない。でも本文中のこの地図である。

あぁ…。記事の中ほどにGoogle Mapで大まかな奥多摩町の位置が示されているんだけど、その隣にでっかくTOKYOって表示されちゃってるんだね…。これじゃ土地勘がない人が都会に近いと勘違いするのは致し方ない…。実際にフィリピン人ダメ男氏は「東京郊外の一軒家が外国人でもタダ」くらいに認識しており「四季のある日本の田舎で野菜でも育てながらのんびり暮らしたい」とか言い出している。

おいおいおいお(=^・・^;=)

家庭菜園の肥料と種を買うにはクルマが必要で、そうすると固定資産税と自動車税と強制加入の各種保険と年金と…。結局サラリーマンしないと生活出来ないのに、シンガポールの水準で給料が貰える仕事なんて人口5200人の奥多摩には無いんぞ…。

出稼ぎフィリピン人技術者の悲哀

それにしてもパーティ好き・女好き・ギャンブル好きの彼が「隠居してのんびり暮らしたい」とは世も末である。かつては労働条件が良いシンガポールで稼いで物価が安い日本やフィリピンで使うのが賢い!俺たち世界の勝ち組うぇーいwwwみたいに盛り上がったのに。なんかあったのだろうか。

「シンガポールの暮らしが不安でもう疲れたよ」

彼は就労ビザの更新を2019年早々に控えていて、SPASSという中程度スキルビザだけに転職しなければ拒否されることはないだろうけど、その更新条件は毎年のように上がっている。しかもそれは給与水準だけじゃなく生活面でも外国人への締め付けは厳しくなる一方で、今年は公団住宅HDBに住める人数が制限されてしまった。小さなベッドルームを同僚と2人で借りている彼は(日勤と夜勤だから丁度いいらしい)大幅なスキルアップをしない限り確かにもう長いことシンガポールには住み続けられないかもしれない。

そんな「歓迎されていない感じ」が社会や会社からヒシヒシと伝わってきて、最近は退勤後の疲労感がすごいと言う。

おいおい、老いぼれてんじゃねーぞ。ドバイ行くぞドバイ(=^・・^=)♬

なおSPASSでさえそんななんだから、三十路過ぎたグダグダ人材に専門職ビザEPはもう無理ゲーである。どうしてもEPにこだわる見栄っ張りさんは、世界のFラン東大でサクッと修士でもとって1千万稼げるようになってから渡星しましょうね(=^・・^=)♬

ステータスにこだわってシンガポール就職すると詰むよ
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さて。彼が疲労するという「歓迎されていない感じ」とは具体的にこんな状況である。

フィリピン人ダメ男氏はITと呼ばれる、日本で言うところの情シスみたいな仕事をしている。新人が入ったらWindowsのライセンスを申請したり、パソコンやコピー機が不調になると何も悪くないのに怒鳴られちゃう感じの、要は「何もしてない」のに色々ぶっ壊すおっさんの世話係。でも彼の勤務先はかなり規模が大きくて、新築の高層ビル丸々一棟にIPネットワークと電話網を構築し、その不具合の監視からメンテナンスまでをワンストップに手がけている。

ところがシンガポールの情シス稼業は英語が必須なのはもちろん、本当は中国語も喋れた方がいい。

中華系シンガポール人はもちろん、エリート中国人も英米に留学経験を持つ人が多くマジで流暢な英語を話す。でもシンガポールには僕みたいな中程度技能でグダグダ働いている中国人も多く、彼らも英語を話すものの複雑なパソコンの不調を具体的に説明できない人もいる。それで僕の元勤務先のアメリカ系企業では社内研修が英語クラスと中国語クラスにわかれていたくらい。

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もちろん建設現場ではバングラデシュやインドの言葉が重宝されているのだろうけど、ことオフィスのホワイトカラーに携わる外国人の多くは大陸から来た中国の中国人および近隣諸国から来た中華系〇〇人なのである。

つまり「何もしてないのに壊れた」的な保守依頼を受けた時、英語で状況を把握出来なかった案件はフィリピン人ダメ男氏の手を離れ、中国語が堪能な中華系シンガポール人同僚のもとへ行ってしまう。これはすなわち中国語が喋れない彼は中華系シンガポール人の下位互換の人材ってこと。

もっと単刀直入にいうなら「給料が安い」のが彼の人材価値なのだ。

ガラパゴス日本は外向きグダグダ日本人に有利

しかも彼みたいな給料が安いフィリピン人技術者が入ってくることによって、シンガポール人情シスの給料を押し下げている事実もある。

中程度の技能でグダグダ働ける仕事はシンガポール人にとっても必要なのに、そのポジションを外国人労働者に奪われたあげくシンガポール人の給料も不当に安くなっている!そのような主張は2012年以降顕著になっていると感じるし、しかも実際その通りだと僕は思う。

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そしてダメ男氏にとってさらに悪いのは、フィリピンの商習慣に詳しかったりタガログ語ネイティブが強みになるような仕事って海外にほとんどないんだよね。まぁそもそもフィリピン国内には「良い仕事」ってのがまず無いらしいのだが…。

何にせよ、ビジネスで決定権を持つようなエリートフィリピン人は間違いなく英語を話すし、購買力がある中流階級でさえも英語で必要なコンテンツを受容できる。だから営業やコールセンターみたいな仕事でタガログ語の求人は非常に少ないし、さらにタガログ語は「メイドの言葉」と認知されてしまっている感があり、憧れを持って学ぼうとする人が少ないのか語学学校の職もあまりなく…。

祖国フィリピンの経済規模が小さく、安い労働者の輩出国であること。ダメ男氏の「歓迎されていない感じ」を突き詰めると、こんな残酷な現実に行き着く。

すなわち同じシンガポールで外国人労働者として働いたとしても、日本人とフィリピン人では見える世界が違う。

それは幸いなことに日本経済がまだまだ大きいのと、日本人は裕福層や経営者でさえも英語が喋れないことがデカい。だから外国資本であっても日本に大きなシェアを持っているなら、日本人の営業担当を雇い日本語でサポートを提供している企業は多い。そして放漫な駐在員の下請けになってしまうリスクはあれど、シンガポールには日本企業が800社以上も進出している。この多くが日本人を雇っていると仮定すると、その求人は「日本語ネイティブの日本人である」ことが大きな強みになる。

さらにその仕事内容はネイティブ日本人にしか務まらない業務も多く(セクハラ・パワハラ・長時間残業に耐えるとかね)シンガポール人の雇用を奪っていることにも直接なりにくい。

もちろん専門性や学歴も求められるにせよ、とりあえず中程度の技能を持つ「日本人」を雇いたい企業が海外に沢山あることは事実だ。祖国日本が言語鎖国真っ最中の独自商習慣まみれのガラパゴスであることで、皮肉にも僕ら外向き人材の価値が相対的に上がっているのである。

日本人としてこの幸運を「今」生かさない手はない。

今後確実に人口が減って東京都奥多摩町は消滅し、日本は購買力が無い老人とそのささやかな生活を支える低賃金外国人ばかりの国になる。

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日本がマケドニアやポルトガルみたいな「歴史でブイブイいわしてた国」になるまでもう本当に時間がない。そうなった時に国際社会で日本人の扱いがどうなるか、フィリピン人ダメ男氏が人生を賭して示してくれている。

まずは日本語や日本人であることを活かせる仕事で海外キャリアを始め、徐々に日本と関係ない真のグローバル人材を目指そう。老人とともに沈みゆくこの島国から逃げるなら今が最後のチャンスだ。