医者に肉まん、喪中と結婚、シンガポールの縁起について

シンガポールから友達が遊びにきた。

僕は浪の民なので、せっかくだから彼と一緒にAirBnBの物件を転々としながら日本を観光している。不安定なインターネットと時間が変則的な毎日のなかで、旅をしながらフリーランスとしてきちんと仕事をこなせるのか。ブロガーとして記事を更新できるのか。

これは僕の挑戦でもあるのだ。

とか言っときながらさっそく昨日は記事書けなかったしw そもそも専念しているときと同じクオリティなんて無理だよねw

それでしょうがないから日本に到着したばかりの友達に最近シンガポールでなにか面白いことない?などと他力本願にネタの提供を求めたんだけど。そしたらシンガポールで信じられている迷信(Superstitions)について面白い話をしてくれたんで今日はそれを紹介する。

猫に小判、医者に肉まん

そろそろ日本に行こうかというタイミングで喉に痰がからむようになってしまい、彼は抗生物質をもらいにGPと呼ばれる町医者に行った。子供の頃から通っている病院らしく、そのかかりつけ医とは長い付き合いなのだそう。

GPのお医者さんって何でも屋なところがあって、ただの風邪から不眠症、そしてただ会社を休むための診断書がほしい僕みたいな不届き者もわんさかやってくる。それでも医者の仕事としてGPはラクな方で、友人のかかりつけ医が昔いた総合病院では多忙を極めたという。日本でも医者が過労死ラインを超える残業を強いられていることが問題になっているけど、古今東西、勤務医というのは大変なんだな。

まぁそんなわけで昔馴染みの先生に診てもらう彼は、会社の昼休みに病院に行ったこともあり、地元で人気の「肉まん」を差し入れに持っていった。日本で食べ物をあげるとなると菓子折りみたいなかしこまった感じになってしまうけど、シンガポールでは気軽に誰にでもそこら辺の食べ物を差し入れるのが一般的。大家さんが麺料理を多めにテイクアウトして僕にくれたり、繁忙期には上司からサモサっていうインドの揚げパイがどっさり届いたり。こういう優しさが嬉しかったなぁ。

でも肉まんを渡されたお医者さんは浮かない顔。

「ありがとう。でも医者に肉まんはあまりあげない方がいいかもしれない」

シンガポールには迷信が多い。

特に贈答品に関するNGは多く、事情を知らない外国人は知らず知らずに地元の人に不適切なものをあげてしまうことも。それでも中華系の人は優しいからたいてい黙って受け取ってくれるんだけど、後で贈答品の迷信NGを知って気まずくなるんだよね。まぁそれ以降は送る前にちゃんと縁起が悪いものを調べてからプレゼントするようになる。何事も経験が大事なのだ。

これはシンガポールっていうより中国や中華文化圏の言い伝えなんだろう。例えばプレゼントに時計を送るのは呪いめいた意味になってしまい、これは中国語で時計を意味する「时钟」と、死を意味する「送终」の発音が似ているかららしい…。ダジャレか…。でもまぁ確かに日本でも同じ理由で数字の4が嫌われるよね。駐車場の番号が1,2,3,5になっていたり、ホテルに4階が無かったり。

中国・中華系の人たちへ送るとNGなプレゼント
誰かに何かを贈るというのは、かなりハイコンテクストな行為だ。そもそも人が喜びそうなものを考えるのが難しいし、相手の文化や宗教が違うと日本の常識では推し量れないマナーや、意外な失礼グッズが地雷のように埋まっている。しかも、そういうハイコンテク

そんな感じで医者には医者の縁起が悪い贈り物があり、例えば「肉まん」は肉を白い皮で包むことから遺体を想起させるのだとか。想像力が豊かである(=^・・^;=)

でも肉まんって持ち運びやすいし値段も気軽なことからか、事情を知らない知り合いや患者さんから頻繁にもらう。だからそのお医者さんも最初は気にしていなかった。でもその昔に総合病院で当直医をしていたとき、やたら患者さんが亡くなる時期があり、それで思い返すと担当者が肉まんをもらった日の当直とリンクしているではないか…。それで肉まん禁止令が出たという。

マジ(=^・・^;=) 医療事故なんじゃね(=^・・^;=) 点滴に混ぜものをする死神看護師がいたんじゃね(=^・・^;=)

とはいえまぁそのお医者さんも今は死と向き合う必要がない町医者である。だから2人で肉まんをほうばりながら昔話をしてくれたんだって。

迷信は文化を深くする

シンガポール人の元同僚が昨年に結婚したんだけど、相手と同居することを親が快く思っておらず、いまだ実家を出られずにいるんだとか。なんだ、毒親か!?と思って話を聞いていると、どうやらお婆ちゃんが亡くなってからまだ日が浅いからだという。

ああ、喪中って日本だけの文化じゃないんだ。忌中とか喪中には結婚すべきじゃないし、他人の結婚式にすら出るべきじゃないとかいうもんね。まぁ僕はよく知らないけど…。詳しく話を聞くと、どのタイミングで喪中を切り上げるかがその人の信仰心(?)によって違うんだとか。49日、3ヶ月、3年…。

3年(=^・・^;=)!?

婆ちゃんが亡くなってから3年も結婚出来ないんじゃ少子高齢化の現代では一族が滅びちゃうじゃんか。しかも若者と親の世代間でこうした縁起や言い伝えを気にする度合いが違うもんだから問題になると。元同僚は喪中なんて気にせず結婚したいのに、親からしたらとんでもないことなのだ。

結局、彼の同僚は籍だけ今入れて表向き通い婚みたいな状態にし、結婚式を挙げるのは喪が明けてからということで親と合意したらしい。戸籍上正式に結婚しないと新築の公団住宅HDBを買えないから、とにかく早い段階で籍を入れたかったんだろうな。

こうした縁起や言い伝えを迷信は時として不便だ。

でもグローバル化で世界がどこでも同じようにフラットになっていくこの世において、昔ながらの風習が大事にされていることは文化的に豊かなことだ。でもまぁそうは言っても僕自身は一切迷信に従う気はないので、日本に根をおろしていらっしゃる方々にはぜひ受け継いで頂きたいという他力本願がのである。