海外就職してみると、同じように現地に根を下ろした日本人にある共通点が見えてくる。仕事を辞めたいけど踏ん切りがつかない、文句言いながらズルズル続けるみたいな人がほとんどいないのだ。思いついたらすぐ行動、即断即決な人が本当に多い。まぁ僕は続けたかったのに整理解雇されましたけどね(=^・・^;=)
そんな海外現地採用者にインタビューするこの企画。
今回ご登場を頂くのは、即決断!即行動!を体現している星乃雪さん。彼女にインタビューするのはこれが3回目。だってその度に人生模様が一変していて面白いんだもん笑
彼女と会ったのは僕が現地採用としてシンガポールで働き始めた5年ほど前。当時、彼女は地元九州でフリーターだった。でも意を決してシンガポールにやってきて、日系企業のサービス部門で3年頑張った。
そしてその後は海外に関われる教職の仕事を見つけ、また地元に戻っていった。彼女はもともと教員免許を持っていて、教育現場で働いた経験もある先生なのだ。でも一度、東南アジアの「自分の仕事だけ考えていればいい」環境に慣れてしまうと、職場の根回しが大事だったり上司に相談するタイミングを見計らうような日本の労働環境に再び馴染むのは並大抵の苦労ではない。
それで彼女は再び地元を離れる決心をして、今回飛んだのは成長著しい中国!今はなんと中国深センのインターナショナルスクールで日本語教師をしているのだそう。
星乃雪さんインタビュー
シンガポールから九州の地元に戻ったときの仕事が、日本の私立高校の海外事業の運営と留学生サポートっていう謎のポジションだったの。だからもし次に海外へ転職するなら、この経歴を最大限に活かそうと考えた。日本語教師とか日本語の授業とかは、ぶっちゃけそんなに経験ないんだけど笑 でも日本語教師っていう職業そのものは成長市場だから、この路線でとにかく行動しようと。
働きながら学んでスキルを身につければいいやって考えてた。実際、いまそうしてる。
台湾、韓国、中国、インド、マレーシア、タイ、ベトナム、香港、あとたまに北米とヨーロッパ。日本語教師を募集している地域は大雑把にこんな感じ。日本語教師の募集サイトを毎日はしごして、情報収集しまくったよ。
日本語教師の募集要項でよくある条件は…
- 日本語教育能力検定試験合格者
- 日本語教育を主専攻または副専攻した者
- 日本語教師養成講座を420時間修了した者
ってあるんだけど、ぶっちゃけ私はどれにも該当しない笑 だから日本で中学高校の国語の教員免を許持ってるっていうのと、実際に学校で指導経験ある、そのコンボでゴリ押しした!
日本語教育能力検定試験は合格率20%という超難関の資格で、日本語教育を選考できる日本の大学はほとんどなくて、通信制なら2校くらい。日本語教師養成講座は50万円も払って半年間カルチャースクールに通わないといけない。
この3つの条件はどれもお金と時間がかかる割に、資格の地位としてはぶっちゃけ「なんとかマイスター」くらいの評価しかない。例えば国家資格ならがんばろうと思うけど、そんなふわふわ資格なら要らないと思った。
そして最近は「指導経験あれば資格不問」とか「未経験歓迎」っていう求人も多いから、結論として資格なくても応募できるよ!日本語教師が売り手市場になってる。いい傾向ですね。
勤務時間は7時40分から16時30分まで。毎週1度だけ20時40分まで居残りして自習監督があるけど、それは別途手当が出る。1日に受け持つ授業は2コマか3コマ、1コマは75分か40分だね。
日本に留学を目指す日本語科の日本語授業、普通科で日本語ゼロの生徒に外国語として日本語を教える授業、あとは部活みたいな文化活動の3種類の担当を持ってる。授業以外の時間は授業準備とか採点とか。
プリントだけササっと作ったら、あとはTwitterしたり中国語勉強したり、ブログを書いたり書かなかったり笑
16時半になったら即帰る!
日本語科チームは私と日本人先輩と中国人先輩の3人!一緒に食事に行ったり、授業の進め方を話し合ったり、中国語が必要なときは助けてもらったり。2人とも優しい。日本人の先輩は中国在住5年で中国語完璧、中国人の先輩は日本の国立大に留学してて日本語完璧。
私達3人は「日本って働きづらいよね、深センは働きやすくていいよね」っていうのが共通してるからすごくラク。
Zビザっていうのを取得しないといけないんだけど、これは超大変だった。
大学卒業証明と無犯罪証明を準備して、それを日本の外務省に送って承認印もらう。そしてさらにこれを中国総領事館に送って承認印もらう。これだけで1ヶ月かかるよね。ちなみに中国総領事館は承認印もらうのに1枚1万円!
ものすごいビジネス笑
各都道府県警に行けば発行してもらえるよー。
あと気をつけないといけないのが健康診断で、中国政府が指定した日本の病院で受けないと無効になる。しかも各都道府県に1つしかないし、平日の日中しか行けない。費用は自由診療で2万円から3万円!ビザ取得の費用が会社負担ならいいけど、こういう費用が自己負担っていう会社もあるからそこは覚悟しよう!
業種・職種によるかなー! 教師は今のところ大丈夫そうだけど、年々厳しくなってるという噂。まあどこもそうだとねー
中国語の勉強とSNSが毎日だねー! 深センの高円寺みたいなところに住んで、職場は中野みたいなところだから、わざわざ山手線まで出るのがめんどい感覚だね笑
彼氏できたよー!日本人先輩の友人に紹介してもらった。
中国でオススメの出会い系アプリおしえてくれって中国友人に聞いたら、中国は人からの保証が大事。友人、家族、会社の紹介以外は信用しない。アプリ使ってる中国人なんて信用できない。っていわれたから、紹介してもらったー。
正直、就労ビザをもらって安定した生活をするだけの仕事なので、この仕事でバリバリやってやる!っていう意気込みはもうないなあ。なんか日本で燃え尽きちゃった笑
それよりSNSやブログで発信して収入を得られるようになりたい!
でももし、この仕事の延長線でバリバリやるなら、中国語を覚えて、英語の発音を矯正して、日本語と中国語ができる英語教師になりたいなー。英語教育の熱気がすごいのよ、深セン。日本みたい。
超たのしーよー!中国というか深セン!来てよかったなって毎日思う。
安心安全、インフラがしっかり、接客が優しい、中国語わからなくても怒られないし、むしろ逆に親切にしてもらえる。かと思えば、道端の茂みで子供におしっこさせてるステレオタイプな中国笑 子供はトイレまで我慢出来ないよね、うんうん、って心が寛大になる錯覚だね笑
深センって中国のなかでも特別なのー。中国国内からの移民に寛容で、発音とか言葉遣いも中国の中でも柔らかいみたい。
そうそう!深センの対極が上海なんだって。上海の外から来た人が住むと、発音とか言葉遣いの違いとかでちょっと下に見られるんだってー。なんか京都みたいって初めて聞いたときにおもった。
よく聞かれる!
日本で騒がれてるような空気の悪さとかはまったくないよー。海側から山側に空気は流れるから、むしろ山奥の田舎のほうが空気悪いらしいよw
うちの大家さんは英語できる人だからすごくありがたい!でも中国語はできた方がいいかもねえ。あと「日本人はきれいに使ってくれる、信用できる」ってイメージあるから、まあ日本人なら大丈夫かも!
今住んでる部屋は地下鉄駅から徒歩5分の24時間警備つきのマンション。26階のワンルームで5万円ってところかなー。シンガポールみたいに高級マンションをシェアすれば、3万台におさえられるかと。
食事はシンガポールみたいに価格帯が広いねー。1食300円のおかず載せご飯とか、屋台村もあるし、ちゃんとした日本食は高いし、もちろん高級レストランもあるよ。私は学校の学食で3食無料だから食費は週末しかかからない!あと外卖(ワイマイ)っていうデリバリーアプリが便利で、美味しいお粥とか麺とか1杯300円で家まで配達してくれる\(^o^)/
わたしはししもんに救われて、シンガポールで転職できて今がある。だから次はわたしが誰かを手伝いたいなー!っていう気持ちでSNSやブログで発信を続けてます!
日本がしんどくてもいいじゃない、じゃあ日本じゃなくてもいいじゃない。っていうノリと勢いでアジア転職をオススメしつづける!
日本人なら中国で働くのは良いかも
徹底したコネ社会。
これはシンガポールや海外で僕が出会った中国人が口をそろえて言うことだ。まともな仕事につくなら実力とコネが必要で、もし実力しかないなら海外に出て頑張ったほうがまともな待遇を得るのは簡単だと。実力もコネもなければどうなってしまうのだろう…。
中国の労働環境に対する僕の印象は、ながらくそんな感じだった。
でも、我ら日本人は中国では外国人である。日本市場をターゲットにした商売や、日本語に深く関係した職業には、やはりネイティブの日本人が求められる。この枠はいまシンガポールでは急速に潰されているのだけど、中国は国も広いし経済規模もシンガポールとは比較にならない。