仕事を辞めたい人はごまんといる。でも終身雇用制度が崩壊した今でも、サクッと転職に踏み切る人はまだまだ少ない。僕もウツで身体が動かなくなり、本当に辞めざるを得なくなるまで辞められなかった。
なぜか。
自分の人材価値をちゃんと見積もれず、人材市場の商品棚に乗って値踏みされるのが怖いのだ。定期的に転職エージェントに会って、現職の業績に見合う求人から客観的に自分の人材価値を把握する。そんな意識高い人ならいざしらず、ウツになるような時点で落ちこぼれ…。
きっと大した値段はつかない。ひょっとしたら買い手がまったくつかないかもしれない。そうしたらズタボロのプライドは、はかなくも崩れ去る…。これ以上、自信を無くすくらいなら、不平不満はあれど現状維持に徹しよう…。
そもそも次のステップに進みたいんじゃない。今のステップから降りたいのだ。こんな低空飛行する意識を引っさげて面接で何をアピールできる?今の仕事を辞めたい理由なら100も思いつくのに、次にどんな仕事をしたいのか、そこでどんな能力を発揮できるのかを考え始めると胸が苦しくなる。
じゃあどうするか。結局、人材価値を高めるべく手を動かすしか無い。
英語は転職の幅を広げる
じゃあ何をするのかって話だけど、どうせやるならコスパが高いのがいい。あと、せっかく苦労してきた現職とは関係のない、まったく新しい業務知識をゼロから学ぶのは大変だ。どうせなら今のキャリアにプラスするようなスキルが良いだろう。
英語である。
英語ほど安く学べて、転職に直結するスキルは他に思いつかない。
業務スキルは今と同じでも、英語をプラスすれば職を求める幅がグッと広がる。チャンスが増えるのだ。いまある経歴がパッとしなくても、そこに英語をプラスするだけで、例えば日系だけじゃなく海外の転職エージェントにも登録できるようになる。当然、日本人を雇いたい外資企業が射程に入る。これだけでも転職の幅はかなり広がる。
それに語学はコツコツ努力して成果を出せる証明でもある。独学で英語面接に望むなら「どうやって勉強したか」みたくアピールするポイントにもなる。
格安で英語を学ぶ方法
じゃあどうやって英語を身につけるのか。
そりゃオーストラリアやカナダにでも語学留学すればいいんでっしゃろが、そんなカネは無いという前提。
ここは基本に立ち返り、NHK語学講座である。中学生のころ、ラジオの基礎英語を聴けと言われた人も多いハズ。アレ。
NHKゴガクのアプリ
NHK語学講座いまはNHKゴガクという南アルプス市みたいな名前になってしまっているけど、内容はかなり進化している。そもそもラジオでオンタイムに聞く必要はなく、スマホアプリでオンデマンドだ。
英語に関してはめっちゃたくさんコースがあって、ざっくりレベル順に基礎英語、ラジオ英会話、エンジョイ・シンプル・イングリッシュ、英会話タイムトライアル、高校生からはじめる「現代英語」、遠山顕の英会話楽習、入門ビジネス英語、実践ビジネス英語がある。
なにしろアプリで無料で聴き放題なわけだから、とりあえず上から順に聴いていって自分の今のレベルに合った番組から始めると良い。
じゃあ毎日これを漫然と聴くのかというと、そうではない。
ディクテーション
NHKゴガクを始めたらテキストを絶対に買うべきだ。ゼッタイだ。
毎月たった500円。Kindleなら400円である。これなら無職でも買える。
僕はKindle版が良いとおもう。音声をせっかくNHKゴガクアプリで聴くのだから、そのままKindleアプリに切り替えてテキストを確認するのが便利。紙の冊子はそもそも買いに行くのがダルいし、持ち歩かないと勉強できないんじゃスキマ時間も活用しにくい。なんでもスマホで完結させるのが継続・習慣化のカギ。
なぜテキストがゼッタイに必要なのかというと、それはディクテーションの答え合わせのためだ。
どのコースを始めても、その日のトピックになる文章がネイティブの発音で読まれる。そこですかさず白い紙と鉛筆を用意して、この音声を一言一句聴き取る。スペルを1文字も間違えなくなるまで、紙に書き起こす。聴き取れない箇所はアプリのスライダーで巻き戻して何度も何度も聴き直す。
これをディクテーションという。
ディクテーションはめっちゃ効く。
なにしろ紙に書き起こすのだから誤魔化しが効かない。「なんとなくわかったつもり」が一切許されない。細かいところまで聞き取れているか、スペルや文法を正確に覚えているかまで、細部まで試されるのだ。
Skype英会話
ディクテーションに慣れていくると、なんとなく「俺英語デキるんじゃね?」的な自信が湧いてくる。でもそこには一抹の不安が…。
俺の英語って、本当にネイティブに通じるのだろうか。
この不安を払拭してくれるのが、Skype英会話である。主にフィリピン人の先生とSkypeのテレビ電話で繋がって、基本的に毎日30分間会話することができる。アレ。このようなサービスを提供している会社は今ではものすごくたくさんあって、独自のカリキュラムや特色ある教材を強みにしている。
ただ、そういうのは一切無視(=^・・^=)♬
Skypeでフィリピン人先生に繋がったら「フリートークさせてください!」「ここでフリートークしたいんです!」と叫ぶのである。たいていの先生はOKしてくれるはずだ。
フリートーク(自由会話・雑談)で何を話すのかと言うと、こうである。
「いま僕はアメリカ企業に転職を目指しています。面接の練習をしたい。面接官になったつもりで、僕になんでも質問してください」
フィリピンのSkype語学学校の先生には、アメリカ企業のサポート・コールセンターで勤務経験がある人が多い。というのも、マニラやセブにはITパークと呼ばれる外資企業が集積している地区があり、語学学校が集中しているのもこの周辺の地域になる。近いのだ。
コールセンターの仕事はフィリピン国内ではまずまずの給料がもらえるのだけど、なにしろ夜勤もあるし厳しい規律を守らないといけない。そこで女性なら例えば子供が産まれたタイミングで退職し、もっと条件がユルい(給料も安い)Skype語学学校に転職してくるのだ。
というわけで、Skype英会話の先生には外資企業の面接を英語で突破した経験がある人が多い。彼らが繰り出してくる「模擬面接」の質問は的を得ていて臨場感がある。転職目的でSkype英会話をするならフリートーク1択、そして模擬面接1択である。
でもお高いんでしょう(=^・・^;=)?
そうね。毎日話せるコースの相場は、月額5000円から1万円くらいだろうか。無職にはちょっとキツい出費である。でも大丈夫。
前述の通り、この手の語学学校は供給過剰ぎみであり、そのほとんどが無料お試しレッスンを提供している。これを有効活用するのだ。別にアカウントを作り直すみたいなセコいことをする必要はない。とにかく検索してヒットする学校の無料お試しを、上から順に手当たり次第試すのだ。これだけで1ヶ月くらいはレッスンを受けられるんじゃなかろうか。
その場合、まずは安定している大手の無料体験レッスンが良い。

なにしろ学校のカリキュラムはガン無視して「フリートークさせてください!」なのだから、先生が英語が堪能なフィリピン人でありさえすればよいわけ。学校はどこでもいい。
英文履歴書と英語面接がゴール
さて、リスニングとライティングはNHKゴガクのディクテーションで完璧。Skype英会話を活用してトークも出来るようになった。めでたしめでたし。
に、なりがち!!
やった気になって自己満足ではダメだ。よくTwitterにいる「Skype英会話 〇〇時間達成!」みたいなオッサンになってはいけない。これまで仕事を辞めたい一心に英語を勉強してきたのだ。辞表を叩きつけるその日まで、ゴールではない。
まずは英文履歴書を書こう。書き方フォーマットはネットにいくらでも落ちている。ディクテーションで培ったライティングがここで火を噴く。ネイティブチェックも必要だ。このころにはSNSで英語話者の友達が出来ていると良いのだけど、最悪Skype英会話の先生にPayPalやWestern Unionなんかでおカネを渡してこっそりお願いするのも良い。本当はアメリカ人とか、受けたい外資企業のネイティブ話者が良いのだけど、まぁチェックが入るだけ全然役に立つ。
ResumeやCVと呼ばれる英文履歴書、そして英文職務経歴書、ついでに母校から英文の卒業証明書と成績証明書も取り寄せておこう。いわば外資企業をターゲットにした「転職書類キット」をこしらえるのだ。
この英文書類たちが目の前に揃うと、俄然ヤル気になってくる。ここまでやったからにはどこかで雇われないハズがないような気になってくる。
その勢いが衰えないうちに、日本人を雇いたい外資企業の求人を扱う転職エージェントに登録だ。なんといっても面接はタダで受けられる!しかもたとえ落ちても経験値がバク増。外資の転職活動はめっちゃコスパが良いのである。
というわけで。仕事を辞めたいなら、とりあえず英語をやるべきだ。コスパのよい勉強法がこれでもかってくらい整っていて、今までの職歴を活かせる幅がグッと広がる。僕みたいにそのまま日本脱出してしまうのもいいかもしれない。
ししもんは読者の皆さんの成功を願っているよ(=^・・^=)♬