世界最悪のニノイ・アキノ国際空港でフィリピンが途上国な理由がわかった

フィリピンの空港は基本的にどこも全部ヤバい。

その中でも特に首都マニラの玄関口であるニノイ・アキノ国際空港は、長年「世界最悪の空港」として名を馳せてきた。近年は付け焼き刃の改修が功を奏してその汚名を返上したかのようだけど、見た目だけ多少マシになっても醜悪なシステムはそのままである。バルス!

僕はプライオリティパスで使えるラウンジのクオリティとか、トイレのウォシュレットが温水かどうかの話をしているのではない。

空港に求めるのは「効率」と「安全」である。そのふたつについて、ニノイ・アキノ国際空港を始めとしたフィリピンの空港には不満しか無い。

僕は明るく細かいことに執着しないフィリピン人が好きで、特に7年前にうつ病から立ち直るに際して彼らから受けた根源的な「生きる喜び」に対する恩を忘れたことはない。そしてフィリピンという国に関しても、何もかもが安くて居心地が良い沈没地として気に入っている。まぁ正直ご飯はそんなに美味しくないし、WIFIも電気も止まるし、そもそもLTE回線はもちろん3Gでさえ毎日夜は不通になるのだけど…。だから間違ってもITノマド稼業にオススメする地ではない。

それでも、僕はフィリピンが好き。このすべてが無責任で適当、でもいい加減で衝動的な僕にも優しいフィリピンに暮らす人達が大好きだ。

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ただ、フィリピン社会の仕組み。これは本当にダメ。もう擁護のしようがない。

有名なところでは人工中絶の禁止がある。近年まで多産多死の典型的な途上国だったフィリピンも、医療技術の向上により多産少死になった。でもそれは望まぬ妊娠よる多産である。結果、いまでも爆発的に人口が増え続けており、でも仕事は無く人々は貧しいまま。結局このイビツな人口動態が日本で言う高度経済成長、人口ボーナス期を食い潰している。

事実上フィリピンの国教であるローマンカトリック教が中絶禁止の根本原因である。それはもはや厳格ではなく利己的で偏屈。宗教とは人間を幸福にする哲学であるべきだ。でもフィリピンでは宗教家を幸せにするために人々が苦役を強いられ、その結果、命までもが犠牲になっている。渋滞に巻き込まれるとモノを売りに来たり窓拭きしてチップをせびるストリート・チルドレン、そして望まれない赤子の間引き…。

この国は一体いつまで「中世」を生きるつもりなのだろう。

タイ、ベトナム、インドネシア。周辺のASEAN諸国が少しずつ困難を乗り越え「途上国」から「新興国」にステップアップしているにもかかわらず、フィリピンはいつまで経っても途上国から抜け出せない。

その縮図がニノイ・アキノ国際空港にあるように僕は思う。

空港に入れない!

フィリピンの首都マニラ。その玄関口であるニノイ・アキノ国際空港は、泣く子も黙る世界でも最悪な部類の空港だ。でもさ。いくらなんでも、そもそも空港に入れないって何だよ。

僕はもう灼熱の炎天下、40分もターミナルの入り口で行列に並んでいる。イミグレーションではない。空港の建物に入るのに、炎天下の屋外で40分も並んでいるのだ。

ここ世界最悪の空港では、建物に入るのにセキュリティ・チェックを受ける必要がある。そりゃ千葉の成田空港だって、劣化日本人たる団塊世代がテロしたせいで、未だに空港駅を降りると検問がある。でもよっぽど劣化団塊の劣化した顔をしてなければ止められないし、ましてや荷物を全部開けられうようなこともない。

でもここ、世界でも最悪のニノイ・アキノ国際空港では違う。

空港施設に入るだけで荷物はすべてX線に通されるし、ポケットも全部出してゲートをくぐる必要がある。そしてその手続きの全てが不効率にノロノロと行われる。もうホント、共感するよね。労働なんてクソだ。頑張っても給料が上がらないなら、そしてその給料が安いなら、クビにならないギリギリまで手を抜いてチンタラ働くのが経済的合理である。

フィリピン人は賢い。

昇給しないから極限まで手を抜くと人生の彩りが失われる

そりゃそうだけどさ。なにしろ僕が乗る飛行機はあと2時間も経たず飛んでしまうのだ。

しかも、ここでセキュリティを突破しても、さらなる行列を掻い潜りパスポートに出国印を押された後で、さらにもう一度同じセキュリティゲートをくぐることになる。あそこにもまた1時間の行列が出来るんだ。

頼むよフィリピン人。

お願いだからこの瞬間だけは血反吐垂れてでも決死の働きをしてほしい。

銃社会フィリピン

フィリピンの主要施設でここまでセキュリティが厳しいのには理由がある。フィリピンは銃社会なのだ。

国際的に批判されてまでギャングを手当たり次第に射殺し、フィリピン社会から暴力を徹底的に排除したドテルテ大統領。彼の時代になった今でも、フィリピンでは小さな拳銃ならあまり苦労せず手に入るらしい。

僕の恩人であるSkype英会話の先生の弟さんも、地元セブの医学部在学中に拳銃自殺した。それを機に先生もフィリピンを捨て、今では米国カリフォルニアでに2児の母をしている。

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日本ならビルから飛び降りたり電車に飛び込んだりするだろう。でもフィリピンには高層ビルも電車も満足にないのである。そして必要になったら然る場所にいけば拳銃を買える。フィリピンは今でもそういう状況にある。

銃社会を止めるのは不可能だ。

なにしろ日本だって200年も前に刀狩りとか廃刀令とか言って民衆から武器を取り上げたのに、21世紀の今でも「我が家に伝わる名刀」とかいって立派なサムライ・ソードが鑑定団に出てきたりする。あの番組は定年した爺さんたちの生き甲斐だ。もし放送終了してしまうことがあれば、日本社会のお荷物、劣化団塊世代が一撃でボケて社会保障費が爆増する予感。鑑定団は老人の生命線。あの番組は日本社会のインフラである。

そんなことはどうでもいいとして。

廃刀令や刀狩りから数百年経っても日本社会は日本刀を排除できていない。そこら辺の民家の押入れを漁れば「家伝の宝刀」がザクザク出てくるのである。フィリピンで圧倒的な支持を誇る強権的なドテルテ大統領がいくらギャングを虐殺したところで、この社会から銃を完全に排除するには数千年を要するだろう。

そうである以上、不便で非効率で、外国人が二度とフィリピンに来たくないと思っても、空港には厳格なセキュリティが必要なのだ。

と、思えればこんなにイライラしない。

この時間だけかかって非効率なセキュリティは、実にガバガバなのである。時間がかかるだけでバカバカでガバガバ。X線検査も、係員はろくすっぽ画面を見てない。ケータイを見ているか同僚とお喋りに夢中。

さらに。

空港内のレストランで提供される食材、制限エリア内の売店で売られるお土産品。そういうのは、通常一般客から隔絶されたバックヤードから搬入される。セキュリティ上、一般の搭乗口とは別の場所にあるべきなのだ。フィリピンじゃない空港はそういう仕組みになっているし、フィリピンじゃない空港はそうあるべきなのだ。

ところがここニノイ・アキノ国際空港では一般客が利用するトイレの横に、この業務品の搬入口がある。そりゃもう堂々と、一般客の目の前でトマト缶とか香水とかが荷捌きされているのである。僕がもしここでテロを起こすなら、間違いなく業務用缶詰に爆薬を仕込むだろうね。

いくら一般客のセキュリティを強化したところで、空港の運営がこんなんじゃ意味ない。ニノイ・アキノ国際空港は、利用客に最悪の印象を与えるだけでなく、近い将来ここで凄惨な事件が起きても僕は驚かない。

誤解を恐れずに言うならば。

アメリカみたく銃の乱射事件のようなテロで大勢の人々が犠牲になるのは、裕福だからである。宗教が違う、民族が違う、なんかムカつく。そんな偏屈な人が武器を買い揃え、実際にそのムカつく標的がいる場所まで赴いて凶行に至るのは、裏を返せばそれだけ生活に余裕があるのだ。

でも貧しい場所では違う。

今日、食べるために奪う。今日を生き抜くため、家族を支えるために他人から奪い、人命が犠牲になる。貧しいとはそういうことなのだ。

でもだよ、フィリピンってそこまで貧しいかい?

この空港で凶弾に倒れた、空港の名前にもなっているニノイ・アキノ上院議員。彼のような銃の犠牲を二度と出さないという決意で、頑迷なセキュリティチェックをしているなら喜んで受けよう。時間がかかって搭乗に間に合わなくても、それがフィリピンの正義なのなら耐えるしかない。ここは彼らの国なのだから。

ところがニノイ・アキノ上院議員をこの空港で射殺したのは、当時の独裁者マルコスなのである。

政府かよ!もう頭が悪いにも程がある。バルスとしか言えない。

ターミナル移動で大渋滞に巻き込まれる

とりあえず、事なきを得た。

フィリピンの国内線で空港に到着してから3時間近く。僕はファイナルコールが鳴り響くなか、このグソグソな国から脱出する国際線の搭乗口に無事たどり着いた。

もうマジ。フィリピンってアホだ。

数千の島からなるフィリピンでは国内の移動でも飛行機が必須である。そして首都マニラに行くならば国内線のターミナル4を使うことになる。ここから国際線にトランジットするには、なんとタクシーを捕まえて一般道に出る必要があるのだ。

しかもニノイ・アキノ国際空港の4つあるターミナルを移動するこの道は、沿岸部から内陸部に移動する、格好のバイバス道なのである。空港になんの用事もない地元の人も、この空港道路を通らないと生活が成り立たない。バカかと。なんで国際空港のターミナルを移動する道路を、地元の人たちの生活手段にしてしまうのか。いくらなんでも頭が悪すぎる。

だから当然、大渋滞。

なぜ同じ空港のターミナル4からターミナル3に移動するのに、30分もピクリとも動かないタクシーで缶詰にならないといけないのか。そもそも、その渋滞に巻き込まれるためにタクシーに乗るのが大行列で一苦労だった。そりゃ公共バスだってあるけど、いつ来るかわからない。それにバスだって同じ空港道路渋滞に巻き込まれる上、変なところで途中停車するから僕は二度と乗らない。

あれに乗ってたら3時間余裕があっても国際線を逃していただろう。

フィリピンは今後も途上国

この文章を書いている今も、僕が乗る飛行機は全然飛ぶ気配がない。もう1時間も飛行機の中で缶詰になっている。さっき音が割れたスピーカーから機長のアナウンスがあり、滑走路が混雑していていつ飛べるかわからないと言っている。

もうね、フィリピンは今後もずっと、滅びるまでずっと途上国なんだと思う。

こんな体験をしたら誰だって二度とマニラに来たいと思わないし、ましてこの国に資本を投下してビジネスを興したいとも思わない。空港はその国の品格だ。国際空港が非効率で危険ということは、その国が非効率で危険だと世界に向けて発信しているに等しい。

搭乗から1時間半経って、僕を乗せた飛行機はようやく動きだした。

そりゃもう機長だってよっぽどイライラしていたんだろう。グソグソな管制塔から離陸許可を得た搭乗機は、横Gをモロに感じる勢いで滑走路に飛び出し、一時停止もせずフルスロットルで星空に飛んでいった。

もうこんな空港は懲り懲りだと言い捨てるように。