35歳マイホーム購入ラッシュにピンとこない落ち着きがない僕の胸の内

「あら、ロバート・キヨサキって日本人じゃなーい!」

チーズをどっかに消しちゃう人?ビットコインの教祖?Ruby作ったのは日本人だよ(=^・・^=)♬

「それは別人よ。金持ち父さん。」

なんかこのキヨサキさんは日本人じゃなくアメリカ人なんじゃね(=^・・^;=)?

「まぁ、どうでもいいわ。そんな感じでね、労働者から起業家へ。人生の象限を超越する切り札が…これってわけよ」

無駄に難しい単語ばかり使って話す、大学を出たばかりというこの23歳の台湾女子は、黒いアタッシュケースからドブからさらったカビみたいな緑の苔を僕の顔に塗ったくる。それドロだろ!って思ったら、本当に泥パックらしい。有名な湖の泥は売れるのか。

午前1時。

なぜか僕は台湾第二の都市、高雄で、マルチ商法の勧誘を受けている。AirBnBで予約した物件が、なんでかどうして化粧品マルチ大手の地区部長様のお宅だったわけ。

いや…。まぁ僕もブロガーですからね。行く先々でこうしたネタに巻き込まれるのは本望なんですけどね。いや、それでもやっぱ。イケメンでもなんでもない35歳の僕に化粧品を勧めるのは、あまつさえ女性をターゲットにセールスさせるのは、いくらなんでも無理があるってもんだぜ(=^・・^;=)

「日本には【傑尼斯】ってあるでしょ。これを塗ればあなたも2週間でデビューよ!」

いや…。デビューするためにヤツら全員掘られてるからさ。僕は嫌だよ…。じゃあまぁ台湾女子と結婚できるし、せめてEXILEにしとくわ(=^・・^;=)

物価が安く給与水準も低い台湾の庶民は、みんな月収10万円くらいで慎ましく暮らしている。だけど不動産だけは別で、日本と同じく平地が少ない土地柄も相まって、新築信仰が根強い日本人からしたらボロ屋の範疇であろうガチ昭和な中古物件にも数千万円の値がつく。億ションだってまったく珍しくない。

それなのに彼女は若干23歳にして杉並区的な閑静な住宅街に家を持ち、猫二匹と優雅に暮らしている。マルチ商法ってそんな儲かるのかと思ったら、やっぱりそこは金持ちのご令嬢ってわけ。この家も父親が複数所有する物件のひとつで、生活のために働く必要がないので好きなことだけやってるらしい。

うらやましい。

親と家とボンボン

「やっと裁判が終わって。晴れてこの家は俺のもんになったわけさ」

無職、家を持つ。僕の7年来の友人であるこの台湾男子は、亡くなった母の遺産相続で裁判沙汰に巻き込まれた。

彼の父ちゃんは典型的な台湾ボンボンで、彼の爺さんが金持ちだったため若い頃は働く必要がなかった。ところが結婚して子供を3人ももうけたタイミングで金持ち爺さんが亡くなってしまい、急転直下。妻である彼のお母さんのヒモとして、日がなギャンブルなどに興じるダメ男に堕ちた。

「働く習慣がないと、もう働けないのさ」

そう言う息子の彼も、かれこれ3年くらいまともに働いていないように思う。ポケットにおカネがなくなると、工場の組み立てラインで何週間か働き、そのカネで次の数ヶ月をやりくりする。そんな感じ。でもまぁ物価が安い台湾では、住む家さえあれば、安定収入が無くても実際問題なんとかなるらしい。

「父方に加勢した姉たちの攻撃が執拗でさ。近所にあらぬ噂話を流されたり…。酷いもんさ。でもローンを払ってたのはオフクロだし。俺、長男だし」

台湾では今だに男子が家督を継ぐ文化が残っている。遺産相続で親族が揉めた場合、とにかく直系の男子が有利なんだそうな。それに加えて彼の場合は、家のローンをほぼ全額払った母の遺言で相続を約束された身。金持ちだった父方の爺さんが頭金を出したとはいえ、70歳を超えて息子に経済的に寄生するボンボン父さんの主張が裁判所で認められることはなかった。

そう。

この、親が金持ちで、不動産を持っていれば、ちゃんと働かなくてもなんとかなるという感覚。中華文化圏で一般的なこの金持ちマインドに、僕はいまだに馴染めない。

なんというか…。

家族も不動産も、水物じゃんね。実際に彼が相続した物件も、ここ数年で価値が目減りしている。かつては世田谷みたいな新興住宅街だったこの地区も、再開発の流れに立ち遅れ、港湾地区に林立するタワーマンションに完全にもってかれている。

さらに台湾は、日本と同じく地震と台風がある国だ。明日にでもゴルフ場のフェンスが倒れて家がぶっ壊されるかもしれない。裕福な家族にしたって彼の父ちゃんが良い例。親がいつまでも有ると思うなってヤツ。それにキッチリ財産を使い尽くす金持ち父さんかもしれない。そういう親はたまに聞く。

父方親族との相続民事裁判を勝ち抜け、台湾高雄の下町で一国一城の主になった彼だけど、手に職はない。そんなどことなく自力で食い扶持を稼ぐ気概に欠ける友人を、僕は心もとなく感じるのだ。

家は契約が問題

台湾って漠然と「島」って感じだけど、その実けっこうデカい。例えば首都台北と、第二の都市高雄は、東京と名古屋くらいには離れている。350キロ。あるいは大阪-名古屋かもしれない。

ところがですよ。奥さん!

ししもんはアホなので、今回は高雄に宿を取ったのに台北桃園空港着の飛行機を買っちゃったんですね。日本で言えば名古屋に出張なのにセントレアじゃなく成田便を選んだ勢い。マジでクソ。なんでこうなった。おかげで5000円くらい無駄して台湾新幹線に乗るハメに…。まぁ台湾のビールと駅弁は美味いので、それはそれで楽しかったけどさ。

僕は決して台湾オンチではない。台北も高雄も何度か訪れているし、台湾新幹線はもちろん、なんなら臺鐵で往復もしている。

それなのに。

いざ飛行機と宿を予約する段になると、見聞きした情報、地理的な感覚、ビザ無し滞在条件、そしてパソコンの画面に映るいささか多すぎる情報で頭が真っ白になり、なぜだかどうして意味不明な買い物をしてしまう。

ししもんは馬鹿である。名前はししもん(=^◎ ◎^=)

もうほんと。こういう事務作業というか、フォームを個人情報で埋める的な、「住所に不正な文字が含まれます」的な、「クレカ決済で謎のエラーが」的な、「復路は出発より後にしてください」的な、そういう手続きが苦手。ししもんはライオンだから入国より前に出国できるんだよ、ばーかばーか(=^・・^#=)

取り乱しました…。

そんなことはどうでもいいとして、こんな僕が本当に困るのが家なんだよね。家を借りるってのは契約の塊みたいなもんだ。賃貸借契約はもちろん、住み始めたら水道やガスの契約があるし、それでいてNHKや新聞や宗教や町内会のヤクザどもとは契約しちゃいけない。

住宅にまつわるこういう明文化されないルールが多すぎる。借りるんでもコレだ。もし持ち家だったら、固定資産税とか登記とか…。備品が壊れたときに大家に電話して終了というわけにもいかなくなる。

あと、1か所に定住するのが生理的に気持ち悪く、どこに住んでも1年くらいで引っ越してしまうのもキツい。「それでも町は廻っている」という漫画で商店街に魅了されて、翌月には実際に引っ越し完了とかそんなノリ。

だから水道やガスやネットみたいな家に紐付いている契約とその内容をすべて把握しておかないと、契約解除を忘れてクソ面倒なことになる。っていうかなった。

そんな僕にとって、住所不定で永遠のホテル暮らしが気楽でいい。予約を間違ってもキャンセル出来るし、何より変な条件を掴んでしまっても2週間もすれば後腐れなくおさらばできる。大家がマルチ商法だったり、エアコンがついてなかったり、毎朝5時に猫がニャゴニャゴ起こしに来るような物件ね。

事務作業が苦手だと家の契約に苦労するけど、これはホテル暮らしすれば万事解決する。

国際ホームレス

たまに帰国して日本のゴミクソ満員電車に乗ると「あぁこの隣の女がキャーとか叫ぶだけで僕は無条件に逮捕されちゃうんだろうな」と一抹の恐怖を覚える。日本の電車はほんとゴミ。時間なんて守らなくていいいから混雑をなんとかしてほしい。例えばラッシュ時間帯の運賃を2倍にして、オフピークを半額にすれば、時差通勤を推奨する企業がもっと増えるハズだ。

出来ることがあるのにやらない。日本の鉄道会社はほんとクソ。

そんなことはどうでもいいとして。もし満員電車で僕がお縄になったら、きっと「住所不定」として報道されるだろうな。なにしろ世界規模の迷子である。こういう事実を踏まえると、僕だって住所を持たない暮らしに戸惑うことだってある。

20代後半の結婚ラッシュから5年あまり。30代半ばになった今、僕の周りにはマイホーム購入のビッグウェーブが来ている。もはや親しい友人のほとんどが中華系〇〇人になってしまったので日本の状況はわからないけど、35歳というのは東南アジアで仕事が安定してマイホームが視野に入る年齢らしい。

特にシンガポールでは35歳になると独身でも公団住宅HDBに応募できるようになる。住宅難のため、割安な公団住宅は既婚者、特に子供がいる世帯に優先して充てがわれる。やっぱりシンガポールは住宅政策も極めて合理的かつ厳しい。

なんだけど…。

この住宅購入ラッシュが僕にはいまいちピンとこない。結婚ラッシュの時もそうだったけど、なんか別の世界の話みたいだ。

それは結局、不動産を持っていること、家族を持っていることで、逆に不安になるからだろう。

マイホームを買ったらゴルフ場が倒れてこないか気が気じゃないだろうし、どうせ1年もすると引っ越したい遠くの街がデキてしまう。家族ってヤツはほんとピンと来ないけど、死ぬまでメンバーが固定されたシェアハウスみたいなもんだと仮定すると息苦しいことこの上ない。

こと不動産をめぐる親しい人達の反応をみると、社会の「普通」と自分の人生のズレを意識せざるを得ない。けど、僕は住所不定有職、国際ホームレスとして独自の幸福を追求していこう。

振り切れるまでの傾奇者。かっこいいじゃない(=^・・^=)♬

なんか投げ銭いただいたら焦って記事書くみたいな忙しさになってますが、1000円をお恵みいただいた方々、本当にありがとうございます。下のコンビニでビール買ってくるです。