なんだか行く末が不確実な東京オリンピックは、もはや政治家のプライドを守るためだけに精神論で推し進められている感じがする。
日本人は太平洋戦争の失敗から学んでいない。
大きな挑戦を始めるときには、先に撤退する条件を決めておくことが肝心だ。そうしないと当初の計画通りに運ばなくなった時に、「失敗を認めて責任を取る」という本筋から外れた葛藤が生まれてしまう。
このままじゃ明らかに成功しないけど、失敗を認めて自尊心を傷つけたくないから精神論で乗り越えようと無理をし、さらに傷口を広げるわけだ。
計画が狂った時に客観的に状況を判断して、ある程度の損害を受け入れてでも方向転換するためには、意思決定能力を「プライド」と「不安」で汚してはいけない。
そのためには損切りする条件を計画段階で決めておき、その条件を満たしてしまったならプライドや不安が襲ってくる前に自動的に意思決定できるようにしておくと効果的である。
撤退条件を定める
2019年。
人生3度目の長期無職生活をしていたとき、僕は大きな決断をした。
このまま就職活動はしない。もうサラリーマンには戻らない。会社に所属せずフリーランスとして生計を立てることを目指す。
ただ、こんな尊大な計画をアル中無職で意志薄弱な僕が実行したところで、アラフォーのプー太郎に堕ちていく姿がありありと目に浮かぶ。だから自分に緊張感を持たせるためにも、フリーランス計画から撤退して真っ当な就職活動を始める条件を定めた。
軍資金200万円。
僕は2019年にシンガポールの米系企業を会社都合退職しているので、その時に幾ばくかの退職金を頂けた。これはわかりやすい泡銭であり、ゆめゆめ貯金するよりも、夢の実現に投資した方が良いだろうと考えたのだ。
これを使い切るまでにフリーランスになるぞ(=^・・^=)!
そうと決まれば、長期戦に備えて物価の安い東南アジアで沈没生活をするのが合理的。幸運なことにコロナが発生する前だったので、マレーシアや台湾など、ビザなしで3か月暮らせる国でひたすらフリーランス修行する日々が始まった。
土地勘、程度の言語能力、こうした国で安く暮らすノウハウは必要だけど、何しろ長期無職も3回目だったので東南アジアの貧乏暮らしは慣れたものだ。
徐々に、でも確実に減っていく預金残高は適度な緊張感を生む。
だから一番カネがかかっていた酒も少しずつ量が減って、2020年10月をもって完全断酒に成功。断酒に関しては酒飲んでいる時間がないくらい忙しくなってきたのも大きい。
これで生活費を1か月全部込み5万円程度に落とせた。
結局かなりの緊張感をもって取り組んだおかげで、生活費をフリーランス稼業で賄えるようになるまで6か月しかかからなかった。シンガポールの退職金も160万円くらい残っていたので、これを次の挑戦であるオランダ再移住に全額ぶっこんで今に至るわけである。
プライドと不安で心を汚さない
失敗してプライドが傷ついたり、失敗したらどうしようと不安になるのは、突き詰めると何が失敗なのか明確に見えていないことが原因だ。
10年くらい前、1度目の長期無職時代には、これが出来ていなかった。
日本のサラリーマンをこなす能力が自分にないことは明らかだったのに、プライドが邪魔して精神論で乗り越えようとした。仕事を手放したときにどうなるのか不安で、退職する勇気がなく、明らかに精神を病んでからも状態を悪化させ続けた。
プライドや不安が邪魔した結果、適切なタイミングで損切りできず、傷口を広げてうつ病になってしまったのだ。まわりの人たちにも、会社にも、大きな迷惑をかけた。
そして、もうどうにも続けられず無職に堕ちたときには、労働する自信そのものを失い、精神安定剤デパスが欠かせないほど不安に憑りつかれてしまっていた。
2021年もオランダで相変わらず無謀な挑戦を続けているんだけど、無職1度目の教訓を踏まえて失敗の条件をきっちり定めてある。
6か月連続で赤字が続いたらオランダを撤退する。
オランダの生活費は高い。特に家賃が高い。なんだかんだ、毎月何もしなくても家賃・保険・税金だけで20万円くらいは飛んでいく。
だからフリーランス稼業でこの額を稼げなくなり、さらにその状態が半年続いたならば、これを挑戦の失敗とみなして撤退するのだ。このくらい具体的に何が失敗か定義しておけば、頑張る方向性と、どれだけ頑張れば良いのかも具体的に見えてくる。
オランダに移住した当初は、コロナの影響がフリーランス業界にどれくらい及ぶのか不安になって、必要以上に案件を受注して不安神経症になったり、結構大変だった。
プライドと不安で心を汚してしまったのだ。
でもこの撤退条件に照らせば、毎月20万円ちょっと稼げれば、それで「成功」なのである。あとは楽しめる範囲で仕事をすればよい。
失敗の条件を定めると、何が成功なのかも見えてくるので、必要以上に頑張って精神をすり減らすこともなくなるわけだ。
緊急避難計画
じゃあ、もし6か月赤字を垂れ流し、オランダ撤退に追い込まれたらどうするのか。
僕はとりあえず日本に帰国して、深夜のセルフガソリンスタンドでアルバイトしようと決めている。
セルフのガソリンスタンドには危険物取扱者の資格を持つスタッフを配置するべしと日本の法律で定められている。僕は大学で有機化学を勉強したので、過去問を解く限りこの資格はなんとかなりそうなのだ。
そして経験者の友人の話をを聞く限り、地方都市の深夜のガソリンスタンドはほとんどお客さんが来ないという。従って資格試験などに取り組んでいる人が仕事中にも勉強できるということで、この仕事を選ぶらしい。
僕にピッタリじゃないか(=^・・^=)♬
なにしろ僕は本を読んでいれば、それで結構幸福になれる。深夜のガソリンスタンドで半年くらい働き、空いた時間にひたすら本を読んでいれば、次の挑戦と、そこに踏み出すエネルギーがチャージされると確信している。
失敗の条件を具体的に定めて、その条件を満たしたら次にどうするかを、挑戦する前に決めておく。すると計画通りに進まなくなった時にプライドや不安に心を汚されることなく、客観的な意思決定ができる。
今日はこんな話でした(=^・・^=)♬