AIが真人間を滅ぼし、発達障害の黄金時代が到来する

「なんど教えりゃできるんだ!」

ランチタイムの秋葉原に怒声が響く。何の気なしに入った某B級グルメの店で、日本人店長が調理担当のバングラデシュ人3人をどやしつけている。

帰国する度に外国人に接客される機会が増えているけど、こうした職場のトラブルも同時に悪化していると感じる。

小麦色の肌にクリクリした大きな目。南アジア系の風貌だけど、インド人ではない。シンハラ系のスリランカ人っぽくもあるけど、おそらく東南アジアっぽい目鼻立ちからバングラデシュだろう。シンガポールなら建設業に従事していそうな、20代前半の若者である。

一方、怒鳴っている日本人店長も20代半ばというところ。高校中退後、居酒屋なんかで叩き上げられ、B級グルメチェーンの新事業を展開するにあたり、人手不足も相まって店長に大抜擢されました、みたいな雰囲気を纏っている。

他人を大声で怒鳴るのは、ひとつのスキルだ。いきなり怒鳴れと言われても、人は声を張れないのである。

この日本人店長は、親に怒鳴られ、教師に怒鳴られ、ガテン系飲食店で怒鳴られ、今までの人生で怒鳴る以外の教育方法を身につける機会に恵まれてこなかったんじゃなかろうか。

あぁ…。

こうしたトラブルを目にしたとき、普通の日本人はどう感じるのだろう。人手不足で勝手がわかる日本人を雇えない店長に同情するのだろうか。それとも外国人労働者の劣悪な扱いに憤りを覚えるのだろうか。

僕自身がシンガポールで外国人労働者をやっていた関係で、現地人vs外国人の軋轢から、構造的な問題が見えてしまう。

外国人労働者でチームを作るなら、各民族のリーダーを育成できるかが成功のカギである。外国人労働者たちの頂点に日本人が君臨するのではなく、外国人の中から1人リーダーを立てて中間管理職を任せる。そして現場への指示や教育は、このリーダーを介して行う。

こういうノウハウは海外進出して成功した日本食ブランドに蓄積しているハズなんだけど、イマイチ外食産業全体で水平展開されている感じがしない。

日本の外食業界って、もしかすると経営に関わる上層部でさえも、データを読めない気合と根性の叩き上げなんじゃなかろうか…。

21世紀はレストランがインスタ映えで成功する時代。外食の売り物は、ネットで自慢できる体験だ。だから当然、この怒声が多い料理店は前回の帰国時に跡形もなく消えていた。

機械以下の仕事

高校時代、アルバイトといえばコンビニで売ってる菓子パンの工場だった。

就労経験がない高校生でも雇ってくれ、ガッツリ働けばかなり稼げるということで、夏休み明けに羽振りが良いヤツがいたら山パンバイトと相場が決まっていた。

そんな中、みんなと同じが嫌で東北地方の酪農場に住み込みしに行った僕は、当時から異端だったんだな(=^・・^;=)

まともな若者が出ていきアホと年寄りしか残らない

そんなことはどうでもいいとして。

イギリスの産業革命から200年が経過しても工場ラインの単純労働が残っているというのは、ちょっと考えると不思議だ。機械やAIが仕事を奪うってチャップリンが言ってなかったっけか(=^・・^;=)?

高校時代に山パンで稼いだクラスメイトと同じような話をした記憶がある。なんで機械化されないのか、と。

「やればわかるけど同じラインで違う製品を入れ替えで作るんだよ」

「カスタードパンを作って、次にチョコ味、イチゴジャムとか。」

「いちいち専用のラインを用意してたら1日1時間しか稼働しないベルトコンベアが100本は必要だろうな」

「マイナーチェンジが多いから完全に機械化するよりバイト雇った方が安いんだ」

つまりは機械以下ってことか。いや、さすがに現役で一橋大学に合格しただけあって、今思い返しても彼の考察は的確だ。機械やAIで置き換えるよりコストが安いから人を雇う。まさに桐野夏生が「OUT」で描いた世界だ。

今では、こういう「機械以下」の仕事がさらに増えている。

たとえば、Uber Eatsがわかりやすい。

いずれドローン配達に取って代わると言われているけど、相当先の話だろう。紛失や破損が発生しても交換や返金で対処できる宅急便とは違い、調理済みの食品は途中で毒などを混入されるリスクがある。だから責任を負わせる人間が必要だし、対面で直接手渡しすることが重要になる。

自動運転タクシーもそうだけど、機械は事故を起こしても法的責任を負えない。こういう法律の問題は、ロボット技術の進化より解決するのに時間もカネもかかる。

バイトを雇うより高額なカネが。

2年前にシンガポールのサラリーマン稼業をクビになり、僕はいまテック企業のWebサイトを翻訳して生計を立てている。翻訳業も、AIに奪われると言われる代表的な仕事のひとつだ。試しにこのブログをGoogle翻訳にコピペしてみてほしい。ハッとするほど意味の通る英語にしてくれるハズ。

ところがこれも、少なくともあと10年は人間がかなりの部分を担当することになる。

カネをかけても翻訳が必要な文章は、大抵ミスが許されない。だから法的責任を負わせる人間が必要というのが最初の理由。

それ以外にも文脈というか、どの企業の、どんな目的の文章なのかによって、翻訳も山パン工場よろしく微調整を加える必要がある。

たとえば同じクラウドサービスでも、Google、Amazon、Appleのドキュメントを比較すると、それぞれの企業文化が文章のタッチに色濃く反映されている。そして同じ企業の同じ製品でも、技術マニュアルとマーケティング資料では、使われる言い回しがまったく違う。

こういう文脈ごとの微調整までを機械翻訳で実現する場合、もとになる教師データが重要だ。ある企業の特定の目的に特化した翻訳ができるように、学習データを選別して、結果を評価するところまでこなすには、あやふやな人間の経験頼りな部分がまだまだ大きい。

当然、全速力で研究開発が進んでいるとはいえ、その費用をペイできるほど特注の機械翻訳が安価になるまでには、まだ相当の時間がかかる。

技術翻訳という頭脳労働でさえも、今のところAIに投資するより人間を雇った方が安いのだ。

発達障害の黄金時代が到来する

そんなわけで、機械が起こした事故や損害について、どこに、どれだけ責任を負わせるか法律で決まった時が、人間による労働の終焉だ。

最終的にはベーシックインカムとか「完全に無用になった人間を飼う」仕組みが出来るのかもしれない。けど、セーフティネットが整うまでの過渡期には、人類の幸福度が激減することが予想される。

なにしろ、大学を出てもUber Eatsやるしかない人も多いのだ。他にも銀行員、会計士、事務系の公務員など、その地位を努力によって勝ち取った人の仕事が脅かされる。これは収入がなくなるだけでなく、人としての尊厳を失うダメージが計り知れない。

それでも残る仕事は何だろう。東南アジアの大都市に沈没してフリーランス修行をしていたとき、漠然と考えていた疑問。

僕が出した回答は、魅力的な体験を生み出す仕事だ。

ラフロイグっていうスコッチウイスキーがあるんだけど、ネットでポチれば4000円で1本飲める。ところがBarで飲むと、まったく同じ酒なのにグラス3杯飲めば4000円を超える。でもBarは世界中にあるし、コロナ後にどうなるか未知数だけどゼロになることはないでしょう。

この差額が、バーテンダーの価値である。

Barの空間デザイン、常連の客層、そして人柄とトーク技術。わざわざBarで飲むひとが求めるのは酒だけではないのだ。だからこそ、ロボットバーテンダーには同じ価値を提供できない。

じゃあ、みんなバーテンダーになれっていうのか?

ぶっちゃけ、AIの生産性に追いつかれたら、悪あがきせず新しい仕事に就くしかないと思う。社会的地位が今いくら高くても、技術の進歩に飲み込まれてジリ貧に陥るときがいつか来る。それをいち早く察知して「残りそうな仕事」を見つけ、鞍替えする柔軟性。俺は翻訳家だ!と職業で自尊心を規定せず、ゼロから新しい世界に飛び込むことに幸福を見出す好奇心。

おやっ(=^・・^=)!

多動して新しい情報を探し、新奇性探求で知らない分野に興味を持ち、過集中で一気に学習してカネになるレベルまでスキルを上げる。これはサラリーマンをクビになってから、フリーランスの翻訳者になるまでに僕がやったことだけど、実はこれこそがAI時代を生き残る必須スキルなんじゃなかろうか。

めっちゃADHDの時代が到来してますやん(=^・・^=)♬

マジ、真人間の枠からハミ出さないように我慢する時代は終わった。これからは、多動・新奇性探求・過集中を全開にして、フルスロットルで真人間をぶっちぎるくらいの勢いこそが最強のスキルだ。

人類史上2万年続いた農耕定住社会は終わり、未知の地平に踏み出して生き残る狩猟採集社会に再びシフトしている。多動・新奇性探求・過集中を備えた遺伝子は、まさにこの日のために進化してきたのである。

ぶっちぎるぞ!