コロナが絶賛大流行しているヨーロッパなのだけど、各地で暴動が起きて外出禁止令みたいな強硬策を打てずにいる。特に武闘派のオランダにあっては、パトカーをひっくり返して燃やすのが国技であり、反ワクチン勢力が非常に強い。
だからワクチンをきちんと接種してパトカーに火を付けないだけで、簡単に「おりこうさん」の部類に入れる。そして新たな規制が設けられても、「おりこうさん」は行動制限の対象にあまりならない。
たとえば、僕が毎日通っているサウナ付きのスポーツクラブでは、まず最初にワクチン未接種者の利用が停止され、二週間後の政府による対策強化で今度は営業時間の短縮が義務付けられた。それでも、ワクチンをきちんと接種してパトカーに火を付けない「おりこうさん」の僕は、相変わらずマスクなしでサウナもトレーニング機器も使い放題である。
この状況がコロナ対策として良いとは思わないけど、新参移民の僕からしたら、目立った行動を謹んでトラブルを避けることが一番大切。
この目立った行動を慎むというのは、政府の規制を完全に守ることと必ずしも一致しない。
たとえば日本では、法的強制が適用されない場所でも、事実上マスクをしないと白い目で見られるんじゃないか(知らんけど)。逆に、通勤を控えて在宅で仕事しろと推奨されても、勤務先がリモートワークに対応していなければ満員電車も「しょうがない」ことになる。
つまり政府が定めた規制をもとに市民が勝手に作り出した「常識」。これこそが新参移民が従うべき穏便に暮らすためのルールなのである。
空気を読むには前提知識が必要だ
そんなわけでワクチンを接種してパトカーに火を付けない僕は、おりこうさん証明書であるワクチンパスポートを早々に手に入れた。これさえあればEU圏内を自由に移動して、不要不急じゃない旅行も許可される。
向かうはサウナの聖地、フィンランド(=^・・^=)♬
まぁ、フリーランス稼業も3年目ということで、日本人の平均以上には稼げるようになった。だから久しぶりの海外旅行、ちょっと良いホテルにでも泊まろうか、とも思った。だけど本能的に Hostelworld.com を開いてしまい、結局サウナ完備のユースホステルを予約した。
だって寂しいじゃないか笑
シンガポール時代に高級ホテルを利用する機会が何度かあった。そりゃ部屋も設備も良いし(サウナもあるし)、ラウンジに行けば美味しい食べ物や酒もある。
でも、宿泊客同士の交流だけがないのである。
プライバシーこそが高級ホテルのウリモノだから、それは当然なんだけど、独り身の独り旅で高級ホテルに泊まったら、誰とも会話せずに旅が終わる気がしてならない。
元バックパッカーとして、新しい旅友ができないんじゃ醍醐味に劣るとうものだ。
古今東西のユースホステルには、コモンルームというか、居間というか、どやどや集まって食ったり飲んだりする空間が用意されている。そして黄色人種はレアキャラなので、そこでビールでも飲んでいればきっと物好きな旅行者が話しかけてくれると相場は決まっている。
ヘルシンキのホステルで仲良くなったのは、イタリア・ローマのタクシー運転手氏(50歳、男性、孫3人)と、スペイン・マドリード郊外の男子学生2人(ヒゲが濃い、英語が微妙)であった。
コロナでタクシー稼業はヤバそうですね(=^・・^;=)
「仕事はめっきりなくなったけど、だからこそ旅行してるわけよ。普通なら9月は繫忙期なのに、こうして昼からビール飲んでられるのは、ある意味幸福さ」
めっちゃイタリア人っぽいポジティブ思考である。
「まぁ奥さんがちゃんとフルタイムで仕事してるから、俺が遊んでられるってのもあるがね笑」
このあたり、イタリア人はタイやフィリピンと似ている。
女性にとって男などグダグダかつ最初からどうしようもない生き物であり、頼りにするつもりなんてサラサラない。女性の人生は、男に依存せずに女性自身で切り拓くのだ。でもそれでも女性がグダグダなパートナーをつくるのは、優しいイケメンに大切にされると元気が出るからだ。むしろちょっとダメダメな男のほうが可愛くて良い。
いいなー。僕もグダグダ生きたいんでイタリア女性と結婚すべきですね。ティアモ(=^・・^=)♬
「大変だぞぉ」
「さっき電話してたのも奥さんからでね、もう着信を逃すとかダメ。ありえない」
「彼女が満足するまで、話したいことを話しきるまで、最後の最後まで情熱的に聞き入らないといけない」
「奥さんの話を邪険にすると、この世が終わる。奥さんの機嫌を保つことが僕の本当の仕事さ」
イタリア女性、やめときます(=^・・^;=)
「その話でいくと、スペイン女性はもっと激しいんじゃないの?」
そう、こうやって場のすべての人に話を振って、かといってリーダーっぽくマウンティングすることもなく、ただただ楽しい時間を演出しようとする能力。これは古今東西のイタリア男性が備える尊敬すべき点だ。
逆に言えば、こんな日向のひまわりみたいなキャラじゃないと、イタリアの男は幸福になれないのかもしれない…。
ここでヒゲモジャなスペイン学生の発言なのだけど、僕がいままで聞いたことがないスペインなまりの英語で、正直ちゃんと聞き取れなかった。僕は英語で話をするとき、脳内で日本語に自動変換され、その翻訳済みの日本語を順々に記憶していく。
だから会話の自動変換に失敗すると、対話型でブログに引用できなくなってしまう。
大まかな内容としては、彼らは大学に入ったばかりだし、結婚とかまだ考えられない。彼女がいたこともあるけど、今は疲れてしまって男の親友と旅している方が楽しいな、みたいな感じ。彼らはご近所さんで、子供の頃から一緒に育ったらしい。
情熱の赤いバラ、スペイン男子も、闘牛士から草食動物に変化しているのか。
これでホステル談話室のテッパンネタである「各国の女性あるある」が一段落して、オススメの旅行先に話題が移った。ここから僕のミスが始まる。
実は僕はイタリアもスペインも行ったことがない。
陰キャである僕がローマやマドリードに降り立ったら、空港から出た途端にラテン系の強烈な直射日光に焼かれてしまうだろう。フランスを境に南西にある国々は歌と踊りを愛する陽キャ専用。プログラミング言語と読書を愛する陰キャには、ゲルマン系のドイツ、オランダ、英国、そしてビタミンDが足りてない北欧あたりが心地よいのである。
とはいえまぁ、あんたらの国に興味ないっす、と言うわけにもいかない。
バルセロナのサグラダファミリア、あれはコロナが落ち着いたら1度は見ておきたいな(=^・・^=)♬
その場の空気が2秒くらい凍った。
「あー、君はミスしたね笑」
見かねたヒモ イタリアンが明るいラテンの日差しで解凍を試みてくれる。
「バルセロナはカタルーニャ、彼らはマドリード出身だろう」
つまり、こういうことだ。スペインは複雑な民族で構成された国だけど、その中でもカタルーニャ地方に住むカタルーニャ人は、過激にスペインからの独立を目指している。
いわば関西に集結した在日朝鮮人が「大阪民国」として日本から独立しようとしている感じ。当然、その他大勢の日本人は面白くない。そんななか、外国人から「日本に行ったら鶴橋でサムギョプサルを食べたいな」と言ったらどう思うだろうか。
カタルーニャ人やカタルーニャ地方に関する話題は、日本の在日問題くらい、暴動とか起きてるからおそらくそれ以上に、スペイン人には御法度な話題だったのだ。
そもそもバルセロナってカタルーニャ州の州都だったのか(=^・・^;=)
カタルーニャ独立運動についてニュースを読んだ記憶はある。でもそれは中東の戦争やアフリカの貧困くらい、遠く離れた世界の他人事だった。
ところが今の僕は2時間飛行機に乗っただけでカタルーニャに行けてしまう。
スペイン学生たちは「いや、知らなかったんだし、気にしないでくれ。でもバルセロナじゃなくてマドリードに来てよw」と言ってくれて事なきを得た。
コロナパスポートを引っ提げて、いよいよヨーロッパ移住の醍醐味を堪能するぞ!とテンションを上げていた矢先、最初に訪れた陰キャ都市ヘルシンキで僕は早くも失敗してしまった。僕には、ヨーロッパ人が当然身につけているべき常識的な知識がない。穏便な会話を成立させるための前提を、僕は持ち合わせていない。
オランダに移住して最初の海外旅行で、その事実を突きつけられてしまった。
まずはオランダ人になろう
とりあえず問題が発生したら、悩むエネルギーで具体的に行動することが肝心。
安住の地オランダに帰国した僕は、さっそくサウナ完備の会員制スポーツジムに登録した。安くない固定費である。
ヨーロッパ人の常識の前に、まずはオランダ人の常識を身につけたい。知識の核だ。
そのためにはコロナを言い訳に家に引きこもってばかりではダメ。毎日外に出て、オランダで暮らすオランダ人と、もっと会話しなくてはいけない。
ただ、社交そのものが目的のミートアップは僕にとって地獄。会話するならテーマを決めて、静かな場所で、1対1。これこそ複数の音声を聞き分けられない僕が、交流を続けていく秘訣。
そこで筋トレである(=^・・^=)♬
テストステロンさんの檄文を参照するまでもなく、筋肉を愛する人にとっては筋肉の話題が共通言語になる。そして筋トレと理系男子は相性が良い。頻繁に会話する友達を作るなら、サイエンスかエンジニアリング系の理系男子に限る。
僕は感性や協調性を求められる感情的な話よりも、知識と数字が求められる論理的な話の方が得意というか、まだマシなのだ。
こうした目論見の元、ジムに入会して2か月。具体的な行動が実を結び、週末に遊びに行くレベルの友達が2人できた。
モロッコ系とパキスタン系のオランダ男子である。
とりあえずこの話はここでひと区切り。今からモロッコ君とBCAAに特化したプロテインを買いに行くのだ。イスラム系オランダ男子の生態については次の記事で書くことにする。