※この記事には日本人の大麻の使用や日本のマリファナ解禁を促す意図はありません
普段からボンヤリとダルく、疲れが完全に取れない日常を過ごしている僕にも、「なんだか今日は絶好調だな!」と感じる朝もある。
朝起きてトイレを済ませ、窓からいつもの景色を眺めているうちに、眠気がスカーッと晴れて「今日こそは有意義に過ごさないと損だ!」などと訳もなくウキウキしてくる。なんというか、ゆで卵の薄皮を上手に剥がせたときのように、脳を覆っていた半透明でベタベタした膜がペロンと剥ける感覚。
そういう吉日は、深く連続して眠れた朝に訪れる。
この快眠効果は1日中持続して、電車に乗ったり大勢と話したり、普段ならぐったり疲れるような状況もメンタルエネルギーをあまり消費せずに乗り切れる。
よく眠れた日は発達障害的な困りごとが明らかに軽減するのだ。
日本の会社員時代にうつ病になってからというもの、僕は10年以上も睡眠の質を上げようと努力してきた。
とはいえ最初の3年くらいは、フルニトラゼパムという強力な睡眠薬とか、デパスという依存性の強い精神安定剤から脱却することに費やされた。言わば薬に依存したマイナスの睡眠を、不満足でも薬なしで寝られるゼロの状態に戻すのに、3年もかかったことになる。
別に薬に頼っても快眠できるなら良いじゃないかと思うかもしれない。ところが寝る前に摂取した睡眠薬は翌日も血液中にかなり残るので、なにやらボンヤリとダルく、疲れが取れてないような毎日になってしまうのだ。
さらに睡眠薬に身体が慣れてくるため、摂取量は年々増えていく。すると翌朝の血中濃度も比例して高くなり、日中のボンヤリ感は悪化するばかり。こんな風に薬に頼った睡眠は、どこかで必ず破綻する悪循環を引き起こすのだ。
その後、シンガポールで米系企業のサラリーマンをクビになり、ITノマドとして独立に成功した。自分の上司は自分なので、好きな時間に起きられる。必要があれば布団で本格的に昼寝もできる。
これにより目覚まし時計を捨てられたことで、僕の睡眠はかなり改善した。ようは決まった時間に起きないと社会的に制裁を喰らう不安感が、僕の睡眠の質を著しく下げていたらしい。
でも…。僕は欲深い人間である。好きな時間に好きなだけ、薬に頼らずに寝られる状況になっても、睡眠の質に満足できなかった。
うつ病だった頃の最悪な状況と比べれば圧倒的に改善できたとはいえ、薄ボンヤリとダルく疲れが取れてない日が1週間のうち6日は続く。うつ病による睡眠の悪影響を完全に排除したら、今度は子供の頃から抱えていた発達障害的な睡眠の課題が表面化してきた感じ。
うつ病による不眠症を10年かけて克服したので、次は是非とも、無意味な思考をグルグル止めらない発達障害的な睡眠の課題をクリアしたい。
オランダの睡眠外来を受診して、翌日に残りにくい導入剤を処方してもらおうか。
オランダ人は不眠症に悩んだら大麻マリファナに頼る
僕が今住んでいるオランダ第2の都市ロッテルダム近郊は、欧州最大の港町の1つであり、北大西洋から船で欧州内陸部を目指す場合、国際河川網の一番近い入り口にあたる。だからオランダ、ドイツ、フランス、スイスにコンテナを運ぶ船は、中学校で習ったライン川の水運に合流するために、多くの場合この街を通過するのだ。
というわけでロッテルダム近郊には世界中の船舶に様々なサービスを提供する会社が集積しており、僕が通っているスポーツジムの会員など、半数以上は港湾に関係した仕事に就いている。
その中の1人、フィリピン系オランダ人の女性とスポーツジム併設のサウナで話していたら、自然と睡眠の話題になった。
「アジア方面まで航海するクライアントを担当しちゃって、ここのところ生活が不規則になっちゃって」
彼女は遠洋航海のコンシェルジュである。
大洋を航行中に船で困りごとが発生したときに、必要な手続きを陸で代行したり、各国の関係先との交渉を行う仕事に就いている。語学に達者でコミュニケーション能力に優れたフィリピンの血は、遠く異国で育っても威力を発揮するらしい。
「午前3時に仕事から解放されてもさ、午前5時から昼過ぎまで熟睡できるハズないじゃん」
そりゃそうだね(=^・・^;=) 眠気のピークに耐えると謎にテンションが高くなるよね。
「そうなのよ~。最初はアルコールに頼ってたんだけど、どんどん寝酒の量が増えて、酒が原因で息子と大喧嘩しちゃってね」
彼女は50代、1女1男の母である。大昔に離婚して長女は嫁に行き、現在は彼氏と高校生の息子の3人で暮らしている。
「それでカウンセリングを受けたら酒じゃなくて大麻の方が良いって言われて」
ほう(=^・・^=)♬
「言われるまま普段吸ってるタバコをハシッシュ入りの銘柄に切り替えたら、これがテキメン効くじゃない」
へぇ(=^・・^=)
「あんたも酒ばっか飲んでないでハシッシュを吸いなさい、めっちゃ効くわよ、ガハハハッ」
まじか(=^・・^=)!
大麻グミで得られるリラックスと快眠
ハシッシュとは大麻をペースト状に濃縮した代物で、日本ではチョコなんて呼ばれてるらしい。乾燥させたハシッシュは褐色の長方形に成形されているため、見た目が板チョコに似ているのだ。
ナマの大麻は植物のツボミそのまんまであり、乾燥させたとしても水分を多く含む。だからタバコみたいにパラフィン紙にくるんで吸う場合は火が付きにくいし、吸ってるうちに火がすぐ消えてしまう。大麻の有効成分THCを煙として吸引する場合は、生バッズよりも乾燥したハシッシュが便利なのだ。
オランダの法律では、大麻やマジックマッシュルームなどは酒やタバコと同列のソフトドラッグに分類され、免状を取得した業者なら規制に従って販売できる。大麻を原料としたハシッシュもソフトドラッグであり、成人ならば白昼堂々と安価で購入できる。
普通の使い方なら1回分は300円くらい。オランダのコーヒーショップは、まるでオトナの駄菓子屋である。
しかも大麻は、ただ嗜好品として酔っぱらうだけでなく、不安障害や不眠症、女性の生理痛軽減に効くとされる。さながら民間療法といったところか。そんな訳でオランダ人がメンタルや睡眠に不調をきたすと、病院に罹る前に嗜好用大麻で症状の改善を試みるのが一般的なのだ。
ところが残念なことに僕は肺や気管支が弱いのか、タバコを含め、煙を吸い込むと激しくむせてしまい、吸うのを止めても半日は激しい咳が続く。
だから睡眠の質を高めるべく、フィリピン コンシェルジュ女史オススメのコーヒーショップを訪れても、吸引摂取を前提にした乾燥ナマ大麻のバッズやハシッシュを購入する気になれなかった。
それで結局、エディブルと呼ばれる大麻食品、スペースケーキを買い求めた。宇宙のような浮遊感を味わえるケーキというニュアンスだろう。見た目と味はまるでヨモギカステラのようなノリで、普通のパウンドケーキに大麻草が深緑色に練り込まれている。
これは…。
まるで抜けが良いデパスではないか(=^・・^=)!
日本でうつ病だった時代に服用していた精神安定剤デパス。デパスを服用して15分もすると、全身のこわばりがグニャリと弛緩して、まるで温泉に浸かった時のように漠然とした不安感や緊張が解けていく。
そのフワフワした安心感に身を任せていると、次第にじんわりと眠くなってくる…。
この感覚、懐かしい(=^・・^=)!
シンガポールでインド タミルナドゥ州から密輸していた偽デパスを断薬してから7年以上経ち、すっかり忘れていたこの感覚を、スペースケーキによってオランダで追体験することになった。
人生とは不思議なものだ。
しかも大麻はデパスと比較して抜けが良い。強い酩酊感を求めて過剰摂取しない限り、翌朝に残るブレインフォグをコントロールしやすい。デパスを寝られる程度に摂取してしまうと翌朝も効果がずっしりと残るのに対し、大麻の場合は寝られるギリギリの量ならば朝のブラック珈琲で残留感を吹き飛ばせるのだ。
その後の試行錯誤の結果、消化に悪いバターを多く含むスペースケーキを夜に食べるよりも、大麻の有効成分THCの濃縮度が高く消化にも良い「スペースグミ」を口の中で完全に溶かす方が、睡眠の質を著しく高めることを発見した。
バッドトリップの正体
「大麻でハイになるとムラムラと性欲が抑えられなくならんか?」
彼は年収5000万円のネットワーク アーキテクト。Cisco最難関のベンダー資格を保有し、欧州のハブ空港スキポールに発着するエアライン各社を統合する、超巨大なネットワークシステムを維持管理している。
「やたらムラムラするからさ、俺なんて奥さんに夜の了解を取ってから大麻を吸うんだけど、独り身のお前はいったいどうしてるんさ?」
そりゃ君が普段から性欲を理性で抑え込んでるからだろう(=^・・^;=) 僕の場合、女性を含めて人間関係はすべて疲労の原因でしかないから、大麻を吸っても性欲が刺激されることはないね(=^・・^=)♬
「いつも思うけどお前はロボットみたいなヤツだな…。女は良いモンだぞ。この前なんて…」
大麻のリラックス効果は、論理的な思考力が麻痺させられることで実現する。大麻を摂取するとグチャグチャと難しいことを考えられなくなり、その結果として「もうどうでもいいや、ハッピー!」な気持ちになれるのだ。これは金曜日の夜にサラリーマンがついつい深酒してしまう感覚とまったく同じだと僕は感じる。
もっと器質的に説明すると、僕が調べた限り、前頭前野という理性や常識的振る舞いを司る脳の活性が下がり、その結果もっと本能的な、動物として根源的な意識が表面化してくるらしい。
そうした本能的に満たされない意識が、ネットワーク アーキテクト氏の場合は女を求める性欲なのだろう。
他にも、絡み酒のように大麻を吸うと他人に辛辣に当たってしまう人とか、家族や仕事について延々と涙ながらに文句を垂れる人とかが、僕の周囲にはチラホラ存在する。これが酒ならば、怒り上戸、泣き上戸というところか。
僕の場合は…強烈な孤独感である。リアルな周りの人たちには絶対言わないけど(=^・・^;=)
人間関係は精神的ストレスの元凶だと普段は理性で理解していても、どうやら本能のレベルでは良き理解者を渇望しているらしい。
いまでも週末などに、睡眠導入剤としてではなく、強い酩酊感を求めて嗜好品として大麻を過剰摂取すると、意図せずバッドトリップに入ってしまうことがある。
すると、思わず膝をギュッと抱えてしまうほど、強烈な孤独感に襲われる。
あまりにも自分は独りぼっちだ。地球規模で僕は孤独だ。
ずいぶん昔に別れた元カノと、もしあのタイミングで結婚して、今オランダに彼女を連れてきていたら、僕の寂しい日常はずっと華やかになったんじゃないか。彼女ならきっとわかってくれるだろうに、僕ときたら…。大学の部活のメンバーと、もし今でも密に連絡して、あの時のようにワイワイ鍋パーティーでも開催できたら。彼らのいい加減なボケが、どんなに僕の心を満たしてくれるだろう。あの時に実家で両親に理解してもらえなかったのも、僕があまりに人間として未熟だったからなんじゃないか。
さよならしてきた様々な人たちの顔、笑った顔、心許した顔、怒った顔、不安そうな顔が、次々と「超リアル」に音声付きカラー映像で意識に広がり、気付けば自分がやらかしてきた不義理を後悔し、目を腫らして懺悔している。
ごめん、ごめんよ…。
これが僕が大麻で経験するバッドトリップだ。
つまり大麻の初心者が陥りやすいバッドトリップの正体とは、潜在的に抱えているネガティブな感情を理性によって押さえつけられなくなり、顕在意識を潜在意識に乗っ取られてしまう現象 なのだ。
アムステルダムの雑踏で大麻を吸うとバットトリップに入りやすいというけれど、それはつまり夜の繫華街で見知らぬ風体の他人に囲まれることで誰しも本能的に感じる不安感や警戒心が、大麻で前頭前野が弛緩した拍子に顕在意識にのぼってきてしまうのである。
1週間で大麻に頼らず寝られるように
睡眠導入剤としてオランダで大麻を常用する最大のリスクは、うっかり外国に持ち出してしまうことだ。
もし祖国日本で手荷物から大麻が見つかれば、長期的拘留の末に裁判にかけられる。それでも日本で一度目なら刑事裁判の末に執行猶予になるかもしれないが、その後必ず立ち寄るシンガポールで見つかったら即時極刑に処されてしまう。
さすがの明るい北朝鮮、いとおそロシア(=^・・^;=)
そんな訳で、僕は普段使用する鞄や服とは別に、旅行用の鞄や服を完全に分けている。その鞄や服は海外旅行の直前まで別の部屋の別のクローゼットから出さないので、うっかり大麻やオランダのソフトドラッグが混入する可能性をゼロにできる。
旅行の装備は完全に隔離されば場所で保管しているので、警察犬にだって臭いを探知されないだろう。これは実家の飼い犬で実験したんだけど「ワンに何を期待しているの U・ェ・;U?」と意に介されなかった。
これで一件落着と思いきや、オランダで大麻を常用するリスクは他にもある。普段から大麻が与える安心感に頼って寝ていると、大麻が手に入らない旅行先で強烈な不眠症に苛まれるのだ。
この断大麻による不眠症は、オランダ出国前に2つの方法で解消できる。
旅行前に猶予日がある場合は、ショック療法というか、24時間寝ないことで元の大麻に頼らない睡眠に戻ることができる。当然、徹夜により生産性とメンタルが著しく損なわれるけど、猶予日は仕事をする必要がないので、サウナとか軽く外を散歩したりして、なんとかやり過ごせる。
もし猶予日を確保できない場合でも、1週間かけて徐々に大麻の摂取量を減らせば、なんとか寝られる状態に軟着陸できる。
どちらの場合も当然、夜に大麻を摂取しなくなって以降、睡眠の質が著しく悪化する。でも冷静に考えるとそれは発達障害が元から抱える状態に戻るだけであり、なおかつフルニトラゼパムやデパスのように、断薬の影響が数年も続くこともない。
大麻でも身体に耐性がつくものの、睡眠薬と比べると圧倒的に抜けが良いため、1週間くらいで元の状態に戻れるのだ。
こうした10年にわたる試行錯誤により、僕が物心ついてからずっと抱えてきた睡眠にまつわる困りごとは、オランダの大麻グミによって、ほぼ完全に解消された。
とはいえまぁ、それを踏まえても、わざわざオランダに移住して大麻を活用する価値はあるのか疑問だ。もし翌日に残りにくい最新の睡眠導入剤に出会えたなら、日本を離れることなく同じような効果を達成できたのではないか。
ここまで6000字近く書いておいて恐縮ながら、発達障害につきものの睡眠の課題を克服する上で、わざわざ合法国で大麻を利用しなくても、もっと良い他の方法がある気がする。
※この記事には日本人の大麻の使用や日本のマリファナ解禁を促す意図はありません